概要
CV:田中敦子<ストリートファイター×鉄拳&ULTRA STREET FIGHTER IV>
敵組織であるマッドギア構成員の中で特に身軽で動きが素早く、時々トンボ返りしながら登場する。
それゆえ一方にまとめ辛く、挟み撃ちを受けやすい。
外見はパンク・ファッションの巨乳ギャル。
性別に関しては、SFC版ファイナルファイトの説明書にあるニューハーフ設定が有名な感があるが、女性であるという説もある。
詳しくは後述。
髪の色は紫色。オレンジの方はロキシーと呼ばれる兄弟(姉妹?)である。
FC版『マイティファイナルファイト』に登場しているのはポイズン本人ではなく、その妹のポイズンキッス。
こちらは公式に正真正銘の女性である。
「ストリートファイターⅢ」シリーズ(「2nd」以降)では、ヒューゴーのマネージャーとして新プロレス団体を旗揚げしたり、数々の名マッチメイクを組んだりと、かなりの敏腕マネージャー振りを発揮している。
プレイヤーキャラとしての参戦となった「ストリートファイター×鉄拳」でも同様、マッドギアを脱退しプロレスラー・ヒューゴーのマネージャーとして自分達を世間にアピールするという目的を持ってストーリーに絡んでくる。
「ストリートファイター×鉄拳」での勝利台詞等から人格を察する限り、なぜマッドギアという犯罪組織の構成員となっていたのか疑問に感じる人は多いかもしれない。
キャラ性能としては、飛び道具技、対空技、移動攻撃技とオーソドックスな必殺技が一通り揃っており、初心者でも比較的扱いやすいキャラとなっている。
ストリートファイターシリーズ最新作『ULTRA STREET FIGHTER IV』にヒューゴーと共に参戦
公式トレーラー動画
性別について
このキャラの性別については「ニューハーフである」という説と「女性である」という説が存在し、度々論争となる。
現在最も有名な説は、
- 当初は女性キャラクターの設定だったが、アメリカでの稼動中に夫からDVを受けていた女性から「女性に対する暴力を助長する」という抗議を受けた際、カプコンが「実は彼女ではなく彼だから問題ない」と返したのがきっかけでニューハーフとして扱われるようになった。
と言う説である。
この説の元は、キャラクターデザインであるあきまん氏の発言(2001年刊行『カプコンデザインワークス』より)である。
また、1993年刊行の『ゲーム・オーバー 任天堂帝国を築いた男たち』においても、
- 開発当初は性別は「女性」だったが、CAPCOM・USAから「女を殴るなどとんでもない」ということから急遽ニューハーフ設定となった。
と言う記述がある。
だが、レトロゲームを集めたPS2ソフト『カプコンクラシックスコレクション vol.1』に収録されたポイズンのキャラクター設定資料ラフにははっきりと「ニューハーフ」の文字が書かれており、開発の時点で、すでにニューハーフであった可能性が浮上した。
そして2014年7月10日、企画を手がけた西谷亮氏がこのキャラの性別問題に関して
- (家庭用の事はちょっとわからないが)出荷後にとある(海外の)婦人団体からそういった訴訟を受けそうである、という話を聞いたので、「じゃあ、ニューハーフにしちゃいましょうよ」と提案した
という旨をツイート。
ファイナルファイトというゲームが世に出た順は
・1989年12月 AC版が稼働開始
・1990年12月 SFC版が日本で発売
・1991年9月 SNES版がアメリカで発売
となっており、西谷亮氏の言う"出荷後"とは「家庭用の事はちょっとわからない」と言っている以上、AC版の事を指しているものと思われる。
また、「じゃあ、ニューハーフにしちゃいましょうよ」という西谷亮氏の発言から、元々は(少なくとも氏としては)女性設定であったと考えられる。
これらより
『ファイナルファイト』というゲームが世に出た1989年12月時点(AC版の稼働開始時)では女性設定であったが、SFC版の開発中(日本でSFC版が発売される前)にアメリカの訴訟対策でニューハーフ設定に変更された
というのが真相ではないかと推察される。
そう考えると、『カプコンクラシックスコレクション vol.1』に収録されたポイズンのキャラクター設定資料ラフについては、SFC版の開発中に起こされた資料という解釈ができる。
なお、日本では有名なこのキャラの性別疑惑であるが、実はそもそものアメリカではあまり話題にならなかった。
これは、『ファイナルファイト』というゲームが広く知られるようになった要因が、日本でもアメリカでもSFC版であったためと思われる。
日本でこのキャラが"ニューハーフ"であるという認識が広まったのは、SFC版で説明書のキャラの説明に"ニューハーフ"と明記されていた事、更には攻略本などでもこぞって"ニューハーフ"と記載されていた事が大きな原因と思われる。
しかし、日本でのSFC版発売から9か月後に海外で発売されたSNES(海外版SFC)版では、ポイズン(および色変えキャラのロキシー)が別キャラ(ビリーとシドというサングラスの男性キャラ)に差し替えられたため、SNES版で初めて『ファイナルファイト』というゲームに触れた人にとっては、このキャラの性別疑惑どころか、そもそもポイズンとロキシーの存在すら知らなかったのである。
元々アメリカ向けに急遽用意した設定が、実際にはアメリカでは(AC版でのクレーム対応が迅速且つあまりにウルトラCだったためか)それほど大きな話にはならず、本来はまったく関係ないはずの日本で広く浸透してしまったというのは、なんとも奇妙な話である。
このように、元々の出演作品である『ファイナルファイト』というゲームの設定において"女性である"、"ニューハーフである"との設定が確定していない(女性 → ニューハーフ → 確定せず)ため、このキャラの性別について長らく性別論争が続いている次第である。
ちなみに、よく言われる
- ニューハーフはアメリカ版のみの設定であり、日本では女性のまま
という説だが、この説の出所は新声社『ギャルズアイランド5』の読者コーナーで新声社の編集者が回答した内容に過ぎず、しかも「日本では女性の設定のママのはず」と推測混じりのコメントである。
他に出演している各作品毎においては
ファイナルファイトリベンジ
日本版で追加されたEDの表記が"女"、"彼女"で統一され、実は男性であるというような話も一切出てこない。
カプコンファイティングオールスターズ(開発中止)
男性キャラは青文字、女性キャラは赤文字で表示されるのに対し、ポイズンは青と赤の中間色である紫文字で表示されている。
SNK VS. CAPCOM カードファイターズDS
ポイズンのカードテキストにおいて「ドコにナニを入れてどうすればああなるのかはまったくの謎だが、とりあえずれっきとしたオトコ」「自分と瓜ふたつの、ポイズンキッスという妹がいる」と明記されている。
ただし、この作品のテキストは全般的に悪ふざけや誤解釈、本家公式設定との矛盾も多い事を付記しておく。
ストリートファイター×鉄拳
キャラ説明に「この一見変わった女性、いつもこんなに綺麗だとはかぎらない…」との記述があるが、このキャラの参戦決定時の当初の説明では「一見女性のように見えるが実は......?」との一文があった。
その他、吉光とクロに上記の性別変更ネタを元にした対ポイズン勝利メッセージも存在する。
RYU FINAL(ストリートファイターIIIのコミック化作品)
ヒューゴーのマネージャーとして登場。
旅先で出会った隆に勝負を持ちかけたところ、オロの「今は男が女子の格好をするのが流行っておるのかのー?」と呟きに「何故バレた?!」と切り返しており、おそらくはニューハーフ説を起用しているものと思われる。
鬼武者soul
「性別」欄に"-"と記載されており、明記されていない。
ストリートファイター×オールカプコン
「タイプ」欄に"女性"と記載されている。
他の女性キャラ(たとえばキャミィ)も同様の記載があるので、このゲームでは"女性"で確定していると言える。
ウルトラストリートファイターIV
「見た目は美しいが姉御肌で男勝りな性格をしており、その本性は謎に包まれている」と紹介されており、これだけでは判別は難しい。
なお、ゲーム内でも性別には特に触れられていない。
関係者の見解としては
ストリートファイターⅣプロデューサー 小野義徳氏
2007年の海外インタビューにて「北米での公式設定は性転換手術を受けて男性から女性になった人、日本ではうまく隠して女装していることになっている」と回答。
しかし、その後2011年の東京ゲームショウにて「カプコンの公式回答では、これまでもこれからも(ポイズンの性別に関して)回答を持たない」と回答。
ファイナルファイトの企画を手掛けた西谷亮氏
Twitterにて「個人的感想は女性です」と述べている。
ちなみに、事の発端である「ニューハーフにしちゃいましょうよ」という提案をしたのも彼。
デザインを手掛けた安田朗(あきまん)氏
ストリートファイター×鉄拳 アートワークスにて「個人的な見解としては、アメリカではニューハーフ、日本では女性という設定で見ています」と述べている。
以上のような形となっている。
このように、元々の出演作品から性別設定がバラバラ、その後の出演作品でも表記しないなどで明確化されていないことも多く、その上でカプコンとしての公式回答として「回答を持たない」とし、このキャラの性別について「不明のままにする」というカプコンの意向が垣間見える現状、このキャラが男性(ニューハーフ)なのか女性なのかという論争は、はっきりした結論は出せず、それぞれが「個人的には○性キャラだと思う」という形におちつくものと思われる。
むしろ、「性別が不明」というそのミステリアスな部分こそ、ベルトスクロールアクションの単なる雑魚キャラの一体でしかなかったこのキャラがここまで有名になった一因であり、このキャラの大きな魅力の一つとなっているのではないだろうか。