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F-15SEの編集履歴2019/03/23 20:52:24 版
編集者:iks
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F-15SE

えふじゅうごえすいー

F-15Eをベースにした第4.5世代戦闘機。F/A-18E/Fのようにステルス性能を取り入れ、近代化を図っている。現在も鋭意開発中。

サイレント・イーグルとは

1996年、マグダネル・ダグラス社はF-15Eをもとにステルス性能を取り入れた改修型F-15の開発を発表する。そうして開発されたのが『F-15SE』で、「サイレント・イーグル」と命名されている。

一番の特徴はステルス性能のために大きく変更された外観で、これは

・ステルス性能のため、兵装を機内(コンフォーマルタンク)内部に収容する

・垂直尾翼を外側に10度倒して巡航飛行時の抵抗軽減

・電子機器を入れ替えて最新式に

・機体各所にレーダー波吸収材を採用

といった改修によるもの。

その代わり、搭載できるのはAIM-120・AIM-9等のミサイルが計4基程度となる模様。またステルス性を考えなければ従来通り外部兵装による重装備が可能。(要コンフォーマルタンク換装)

他にもボーイング社は『機体前面のステルス性は、F-22F-35などの第5世代ジェット戦闘機に匹敵する程度にまで向上させることが可能』(wikipedia)としているが、正面以外のステルス性は劣るということでもある。やはり第4世代ジェット戦闘機を基にするには限界があるのだろう。

正面だけのステルス性

たとえ正面だけでも馬鹿には出来ない。

現在、戦闘機が空戦に移る際、まずはレーダーでお互いを捕捉し、中距離ミサイルから順番に撃ちあうことになる。

この時に正面のステルス性があると、敵の捕捉を避け、なおかつ先制して攻撃することができる。

現代の空戦はすでに戦闘機の性能だけでなく、レーダーやコンピュータの性能で優劣が決まるようになって来ているので、たとえ正面だけだったとしても重要な事である。

特徴の現在

なお、現在は計画に若干の変更が加わっており、

・傾けた垂直尾翼⇒諦めて垂直のままになった

・各所のレーダー吸収材⇒オプション扱いになって別料金化

と、当初の計画からはかなり後退している。

現在、海外市場への売り込みで主にライバルとなるのはF-35ユーロファイター、そしてSu-27系列の発展型となっている。だがF-15SEはこの中で最も基本設計が旧く、かつ完成もしていない。未完成という点でこそユーロファイターも同様だが、こちらは生産すら先の話なので、出遅れは明らかと言ってもいいだろう。販売の道がより険しく、厳しいものになるのは明白になりつつある。突き崩すカギはあるのだろうか。

採用について

F-15SE輸出先の有力候補として国名がいくつも挙がったが、結局いずれもF-35を採用している。F-22の輸出がありえない現在、次世代の戦闘機としてF-35が有力視されているのだ。

これはF-15SEの能力には疑問が残ること、『どうせ買うなら、まっさらの最新式のほうがいい』と見られている事実がある。過去にはF-20も同じように見られ、結局売れなかった事がある。

いちおう現在も開発は続けられ、開発の成果は本国のF-15や輸出型にも取り入れられる予定。

だがまだ形にもなっていないので、完成はとうぶん先のようである。

と思ったら・・・

2013年8月、韓国は次期主力戦闘機の選定コンペにおいて、F-15SEを単独候補として、採用についての議論がはじめられる事になった。これはもともとF-35ユーロファイター、そして本機F-15SEの3機種が候補として挙げられていたのだが、他の2機種はいずれも予算オーバーで計画は頓挫。結果としてF-15SEだけが残る事となった。

2014年9月現在、結局のところ選定作業はF-35に決定となった。

2018年3月には最初の機が引き渡されてメーカーで教習が行われており、本国に戻って任務に就くのは2019年以降とみられている。

運命の2020

ベトナム戦争の教訓をばねに生まれたF-15だったが、21世紀となった現在でも世界一級の戦闘機として君臨し続けている。その進化の究極形態ともいえるようなF-15SEだったのだが、ステルス戦闘機としての能力はF-35には劣っており、このままF-15は徐々に姿を消していくものかと思われた。

2019年1月、突如発せられたF-15X(制式型番:F-15CX/EX)採用の一報が界隈をにぎわせた。登場から40数年を経た、F-15の返り咲きである。これはアメリカ議会が「ステルス性を中途半端に取り入れた発展形(F-15SE)」を求めるよりも「F-35以上の搭載力を生かした重装戦闘機(F-15CX/EX)」としての方に将来性を感じたという事だろう。また、21世紀に入って第5世代戦闘機を完成させていないボーイングへの、テコ入れの意味合いもあるものと思われる。

今回の計画はボーイングが以前より提案していた「2040C(2040年代まで現役で使い続けるための改修案)」という重装備化計画で、今回の採用はF-35一本に集約されるとも思われた各国の空軍次世代機計画に、まさに一石を投じることになった。

当然こちらのF-15CX/EXも、F-35開発で生み出された最新鋭の電子機器が採用されて能力向上が図られ、またステルス性をかなぐり捨てたからこそ可能になった重装備によって、F-35を補う役割を担えるものと考えられている。現在、日本でもF-15Jの近代化改修計画、およびF-3開発計画が持ち上がっているが、このF-15CX/EXの方向性も、F-15Jの将来を占う一つの参考になるだろう。

・・・あれ? F-15SEはどこに行った?

F-15X ~挑戦者たち~

ところで、過去にもF-15は改修計画に「X」の記号を使っている。

F-15X(初代)

まずは1980年代の「ATF計画」において、YF-22・YF-23の代替として提案されたもの。電子機器は更新、空力も若干洗練されたものになるようだったが、要するにただの手直しである。不採用。

F-15XX(二代目)

初代の不採用にもめげない第2弾。やはり不採用。

前作の電子機器更新に加え、今度は低観測性を取り入れてステルス性にも配慮した。主翼も原型の56.5㎡から62.2~63.2㎡程度まで拡張する予定だったようだ。低観測性と考えあわせれば、主翼付け根がLEXのように成型される予定だったのかもしれない。

F-15XXX(今回)

順当に考えればこうなるはずだが、XXXという表記には「X指定(=成人向け)」という意味もあるためか、F-15X(2040C)という面倒な表記になった模様。

関連動画

F-15SE サイレント・イーグル(紹介映像)

英語だが、従来のF-15からの変更点や、F-15Eと同様に爆装できることが解説されている。

この中で『通常のCFTに変更するには30分、機外にも爆装する場合には3時間の作業で対応できる』のだとか。

F-15SE AIM-120 AMRAAM 発射試験(2010年7月14日実施)

F-15SE サイレント・イーグル(説明映像)

※おなじくボーイング社によるかっこいい宣伝ビデオ。ボーイングはF-15の売り込みには相当な熱意を持っているらしく、F-15Kでは売り込み当初から専用ウェブサイトを立ち上げるなど盛んな宣伝を行っていた。なお、このビデオの内容について『ステルス性関係ないっぽいし、F-15K揃えときゃ十分じゃね?』とか思ってはいけない。

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