えびす
えびす
概要
他の表記の一つに「蝦夷」があり、中央から見た地方、異邦の神という性格を持つ。
海に流された神ヒルコと同じく「蛭子」とも表記し、同一視もされる。
他に同一視される神として事代主がおり、全国に分布する「えびす神社」の祭神はヒルコか事代主である。
えびす=事代主、大黒天=大国主という解釈をとるなら二人は親子ということになる。
実際、七福神の中でも大黒天と一組で祀られる事が多い。
鯨やイルカ、ジンベエザメのような大型の海洋生物も「えびす」と呼ばれ(彼らがやって来る事は餌となる魚も来ている事を意味するため)海の恵みをもたらす存在として尊ばれ、特に鯨は浜に打ち上げられると住民達に大量の食料や臨時収入をもたらす。
えびす神は「異邦(海の向こう)からやってきて恵みを与える漁業の神」であると言える。
異なる場所から実利を運んでくるという性格からか商業の神としても祀られるようになった。
神々が出雲に集まる神無月において、そこに行かず留守を守ることから家内安全の神とされ、さらには五穀豊穣も司るとされた。
現世利益の、かなり広範なジャンル(神徳)をカバーする神となっている。
同体とされる神
ヒルコと事代主のほか、以下の神にえびすとの同体説がある。
本地
文献上の記述で最古に遡れるのが『伊呂波字類抄』という文献であり、ここでは「夷」表記で言及され、本地は毘沙門とされる。広田神社の末社について列挙するくだりであり、同時に記される「三郎殿」という神の本地は不動明王とされる。
『諸社禁忌』では同じく広田神社の末社を述べるくだりがあるが、こちらでは「衣毘須」の本地が不動明王で、「三郎殿」の本地が毘沙門天になっている。
『慶長見聞集』ではイザナギの子として三貴子(日神=天照大神、月神=ツクヨミ、素盞嗚)に続く四人目の子として蛭子(ヒルコ=えびす)が言及され、「三郎殿」はその別名という形で統合され「ゑびす三郎」とも呼ばれているが、その本地は阿弥陀如来とされている。