ランベール
らんべーる
データ
CV | 松本忍 |
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概要
ファーガス神聖王国の国王で、ディミトリの父。本編開始から4年前の「ダスカーの悲劇」により、混乱の中、息子の眼前で襲撃者に首を刎ねられる無残な最期を遂げたという。
フラルダリウス家当主のロドリグは親友で、王となってからも公の場以外ではタメ口で語り合う仲であった。
鷹揚だが型破りな人物であり、生前から急進的な政治姿勢と、それにより多くの王国貴族から反感を買っていたことは良く知られていた。ただし、具体的にどのような政策を打ち出していたかは、作中では言及されていない。
一人称は「俺」。
以下にネタバレあり
ランベールの政治姿勢とは
これは飽くまで本編全体からの推測だが、ランベールが反感を買った政策は、主にダスカーやスレンなど異民族を巡るものであったと考えられる。他にも考えられないこともないが、「ダスカーの悲劇」が起こった年の内にダスカーが武力報復によって王国領にされてしまったこと、事件の殆どの責をダスカー人が負わされたこと(実際、王国貴族からも事件で処断された者が出たのに)、事件以前ダスカーと王国との関係は良好であった(ランベール談)こと、ダスカー人に精兵揃いで会談に赴いた(ドゥドゥーとシルヴァンの支援会話より)ランベールらを謀殺出来るだけの戦力は有していないことなどを考慮すれば、可能性は高い。
元々、ファーガス神聖王国は10年前までスレンなどの異民族と激しい戦いを繰り広げた歴史を持つ国である。現実でも中国の万里の長城に象徴されるように、異民族への恐怖感は口で言えるほど生易しいものではない。
ランベールが打ち出した政策で最も王国貴族の反感を買ったのは、恐らく異民族に対する宥和政策――人的・文化的交流を積極的に推し進めることだったと考えられる。本編でも語られているダスカーでの会談はその第一歩で、ゆくゆくはスレンなどとも同様の条約を結ぶ予定だったのだろう。そうなれば行く行くは王国に異民族出身の将軍や領主・貴族が誕生したことであろう。実在の人物ピョートル大帝も身分を問わぬ人材登用を行ったばかりか、ドイツ人など外国人からも積極的に登用し、実際に将軍などになった者たちもいたというから、有り得ない話ではない。
ランベールの政策に反対する貴族たちは、これらの事態を危惧していた。このままでは自分たちの特権が脅かされるばかりか、「紋章と英雄の遺産を受け継ぐ者が、王国を守る」という根本原理の一つが覆されるかもしれない(異民族は紋章など宿していない筈であるから)。そればかりか、異民族の宗教など文化の流入によって、信仰してきたセイロス教の教義が歪められてしまうかもしれない。最悪の場合、内応によって王国そのものが異民族に乗っ取られる事態も在り得る。極論すぎるかもしれないが、前述の異民族への恐怖感も手伝って、そう思い詰めてしまったのだろう。そして「闇に蠢く者」に唆されてしまった部分もあったが、「王国を異民族の侵略から守る」という「正義」の下、ランベールらの殺害を実行に移してしまった。
なお、王子のディミトリは最初から生かしておくつもりだったのだろう。ランベール亡き後は、彼が紋章を宿す唯一の王位継承者だからだ。恐らく今回の事件を利用して、ダスカー人を始め異民族への敵意を植え付け、ランベールの進めていた異民族政策を潰してしまう心算だったのだろう。しかし、ディミトリはその期待に見事に反して異民族を自分の従者に据え、何故か帝国に憎悪の矛先を向けた。
しかも摂政を務めるイーハ大公リュファス(ランベールの実兄)は女に熱を上げて政治そのものを放棄した。結果、盗賊になる民が続出するほど、王国の治安は大幅に悪化してしまった。
ただ、不思議なのは、そういう貴族の代表格とも言えるゴーティエ辺境伯(シルヴァンとマイクランの父)が、最後まで王家に背かず忠誠を誓い続けたことである。
後妻の謎
ランベールは、9年前から後妻を娶っていた。発端は同年に起こった政変「七貴族の変」により、アランデル公と妹のパトリシア、その娘のエーデルガルトが王国に亡命して来たことに始まる。アランデル公の思惑によるものなのか、ランベール自身が早くに母親を亡くした息子を気遣ってのことなのか、詳しい経緯は本編でも断片的にしか語られていないが、この件によって、ディミトリとエーデルガルトは義理の姉弟の関係を結ぶことになる。
しかし、後妻のパトリシアは未亡人ではなく、夫は(政変で有名無実の存在と化したとはいえ)アドラステア皇帝で、しかも未だ健在。彼女自身も正妃ではなく側室の一人に過ぎないとはいえ、他国の王と二股をかけるという行為は外交上、大いに問題があり、「紋章を宿す子が現れるまで産ませ続ける」思想が最も強いファーガス神聖王国でも醜聞とみなされた。結果、彼女は「非公式の後妻」とされ、ロドリグやグレンに次いでディミトリに近しいフェリクスですら、彼女の存在を知らなかった。
ともあれ、継母という前妻の子から敬遠されやすい立場に在りながら、彼女はディミトリに大いに好かれ、またディミトリもその娘であるエーデルガルトとすぐに打ち解け、短い間ながら幸せな家庭を築くに至った。
しかしそれから5年後、パトリシアは会談のため赴いたダスカーで件の惨劇に巻き込まれ、ディミトリによると、その最期は襲撃者たちの放った炎に巻かれたとのことであった。