概要
イタリアの自動車メーカーランチアが、グループB規定による世界ラリー選手権向けの037に代わるマシンとして開発したラリーカー。
名前こそマーケティングの関係で大衆車である「デルタ」を名乗るものの、構造的には全くの別物。
一応外見もデルタに似せてはいるが、正直ほとんど似ていない。
排気量1759ccのエンジンは、ターボとスーパーチャージャーを両方搭載するツインチャージャー方式。
最高出力は少なくとも400馬力以上、1986年のアクロポリス・ラリーでは600馬力を発揮していたと言われる。
このエンジンをパイプフレームに縦置きミッドシップで搭載し、4WDで駆動していた。
実践投入は1985年。
圧倒的な速さを見せるが、あまりに過激なスペックは扱えるドライバーを選んだ。
完全に支配できるドライバーはヘンリ・トイヴォネンだけと言われたが、そのトイヴォネンが1986年のツール・ド・コルスで崖下に転落して事故死。
これを契機にグループBの廃止が決定し、「グループB最強」とまで言われながらもチャンピオンを獲得することなく終わった。
その後、ラリーカーたちはコレクターに放出され、別のラリーや競技に転戦していった。
日本にもグループB仕様の保存車が存在する。
余談だが、グループBの規定に則り、ホモロゲーションモデル(市販車)も生産・販売された。
こちらはラリーカーに較べればまだデルタに似ている。