オオミズアオ
おおみずあお
分類・名前
オオミズアオ Actias aliena (Butler, 1879) は、鱗翅目・ヤママユガ科の一種である。
日本では北海道から九州にかけて分布し、平地から高原まで生息域は広い。世界的には極東アジアに産するようである。
和名漢字表記は『大水青』
学名はかつてはギリシア神話の月の女神アルテミスが由来である『Actias artemis』とされていたが (井上, 1982)、近年はActias alienaであるとするのが一般的である (岸田, 2011;岸田, 2016)。なお岸田 (2011) と岸田 (2016) によると、日本にActias属はオオミズアオ A. aliena (Butler, 1879) とオナガミズアオ A. gnoma (Butler, 1887) の2種のみが分布し、オオミズアオはA. aliena aliena (Butler, 1879) とA. aliena yakushimaensis (Kishida, 1994) の2亜種が、オナガミズアオはA. gnoma gnoma (Butler, 1887) とA. gnoma miyatai (Inoue, 1976) の2亜種を産するとされる。
特徴
青白い体色をした大型の蛾である。
その大きな翅が非常に特徴的であるため、一度見たら忘れられない外見を有する。
幼虫は主にブナ科、カバノキ科、バラ科、ミズキ科などの広葉樹の葉を食べ、都市部でも見かけることがある。幼虫は長毛を疎に備えるが、毒は持っていない。
ヤママユガ科の多くは成虫になった時点で口器が退化しており、餌を摂取することなく1,2週間程度で死ぬ。オオミズアオもその例に漏れず、幼虫の時に蓄えた養分で分散・交配を行い息絶える。
一方ヤガ科の大型蛾類の多くは口器と消化管を備え、成虫のまま数か月単位で生活する種も珍しくない。
pixivでのオオミズアオ
先述したような美しく幻想的な外見を持つことから、イラストの題材にされる。擬人化することもままある。
また、蛾特有の体毛をもってもふもふしていることから、公言するほどではないが、秘かに好きだと言う人は多いようである。
引用文献
井上 寛, 1982. ヤママユガ科. 井上寛・杉繁郎・黒子浩・森内茂・川辺湛・大和田守, 日本産蛾類大図鑑 1:587-590. 講談社, 東京
岸田泰則, 2011. ヤママユガ科. 岸田泰則 (編) , 日本産蛾類標準図鑑 1:(うろ覚えです。後で確認して入れます) .学研, 東京
岸田泰則, 2016. Zolotuhin (2011) 「極東のオオミズアオ属には何種いるか」の紹介および意見. 蛾類通信 278:88-89