「箱庭学園の創始者にして 平等なだけの人外だよ」
「ままならねーな 人生は まるで週刊連載だぜ」
「頭おかしいんじゃねーの お前」
CV:水樹奈々
概要
球磨川禊が中学で生徒会長をしていた時に副会長を務めていた女性。
魅力的過ぎる人格と、魅力的過ぎる容姿を兼ね備えた人物。
一人称が「僕」の女の子で、周りには「僕のことは親しみを込めて『安心院(あんしんいん)さん』と呼びなさい」と言っている。(ある人物だけは例外。また不知火半纏は『なじみ』と下の名で呼ぶ。)
球磨川が「最後に恋した女性」(なお後に喜界島や財部にも惚れている)であり、その「かわいすぎる」容姿のせいで好きになっているだけではないかと疑問に思った彼は、彼女の顔を剥がす暴挙に出る。
そして、変わり果てた彼女の姿を見ても、以前と変わらずに好きなままであることを確認した。
この際に球磨川の過負荷『却本作り(ブックメーカー)』と『大嘘憑き(オールフィクション)』によって存在を封印され、それ以来彼女は世間的には死亡しており、黒神めだかの乱神モード発動のきっかけにもなっている。
その後、生徒会戦挙庶務戦にて、大量のハブに噛まれて死に瀕した人吉善吉が、教室のような空間で出会う。(「生徒会戦挙編」)
彼女本人の弁によると、何人かの心の中に住み着いており、特に球磨川禊とは、彼が死ぬたびに会っている(球磨川は『死んでも会いたくない』と語っていたが)。
生徒会戦挙編の後、球磨川の『大嘘憑き』が消滅し『却本作り』が弱まったことにより、全身をマイナス螺子に貫かれ、髪が白く変色した姿で箱庭学園に姿を現す。(「黒神めだかの後継者編」)
善吉の「主人公化」を完遂し、全てを諦めて自害しようとするが、めだかにその病理を看破された上で制止され、「現実を学ぶ」ために1年13組へ編入させられた。
その際、残り一本になっていた螺子が完全に外れた。
ちなみにこう見えて139箱(作中の12/24)の時点で「3兆4021億9382万2311年と287日生きている」という宇宙誕生よりも長生きな超スーパーロリばあちゃんだったりする。人外だから仕方がない。
※宇宙誕生については諸説あるが、一説では約137億年前と言われている。
しかし、「漆黒の花嫁編」(「黒神めだかの後継者編」の次)の次である「不知火不知編」にて唯一人外に勝った古の英雄獅子目言彦に輪ゴム鉄砲で射殺された。
所持スキル
7932兆1354億4152万3222個の異常性と、4925兆9165億2611万0643個の過負荷、合わせて1京2858兆0519億6763万3865個のスキルを持っている。
『ジャンプのバトル漫画も真っ青のインフレだよ』とは球磨川の弁。
実際、大ボスとしてのテーマは「究極のインフレ」。
ちなみにその中の100個ほどは不知火半纏に作ってもらったものらしい。
100個でも普通に考えたらとんでもない数だが、あまり多く感じないほどのインフレを起こしている。
おそらく、彼女がやりたいと思ったことは全てでき、今までに登場した異常性・過負荷を考えると("ある人物"と"人の心"を除き)森羅万象を操れるといっても過言ではないかと思われる。
心の中に住み着いていたのは、好きな時に、好きな場所にいられる『腑罪証明(アリバイブロック)』という、一京分の一のスキルによるもの。
生徒会戦挙会計戦ではそのスキルのひとつ、他人の視界を盗み見る事ができる『欲視力(パラサイトシーイング)』を善吉に貸し、勝利への糸口を見つけさせた。
そして安心院なじみの最大の特徴は、自分の所持するスキルを他人に貸与することができることになる。
球磨川にはかつて『手のひら孵し(ハンドレッド・ガントレット)』を貸しており、それを元に過負荷『大嘘憑き』が作り出されている。
再び球磨川が本来の能力である『始まりの過負荷』を返してもらう目的で彼女に会いに来た時、彼の格好つけない(括弧をつけない)偽りなき本音を聞いた彼女は『口写し(リップサービス)』のスキルを使って『大嘘憑き』をもらう代わりに、『始まりの過負荷』を返した。ちなみにこの時のキスがファーストキス。3兆年近く生きていてこれがファーストキスの割には、この後キスを乱発している。
自身に施された封印が解けて、完全体、通称完全院さんとなった、安心院さんは143箱で凄まじい量のスキルを披露し、漆黒宴の参加者を鎧袖一触粉砕した。その際使ったスキルの数、100×6で600個。
一体何人の中二病患者、作家志望者、現役作家がネタ被りや名前被りに泣いたのだろうか。
ちなみに作者がジャンプの巻末コメントで「安心院さんが一番重宝しているスキルは多分、スキルを数えるスキル『指折り確認(カウントアップ)』」とコメントしている。
なお連載終了後、ストックとか無い状況から土日月の三日で考え切ったという恐ろしい事実が判明した。
性格
過剰と言うのも憚られる程あらゆる面で飛び抜けた存在であるため、「自分以外は全て平等にカス」という極めて平等な思考を持つ。
カスと思っている相手にも親身に接している点では、かなりの人格者である。
誰よりも上に立つが故に、誰よりも人を見下している。
また、幸せと不幸のような対極に位置するものも、全て同じ意味という論理感を持つ。
また「めだかを倒すために主人公ならないか」と人吉善吉を誘う時にはどこぞの暗黒セールスマンのような話術を使っていた。
…まあ、フラスコ計画のことを多少は(少なくとも、一般人に施せば9割方壊れるというくらいは)知っている善吉に対し、自らの魂胆の全てを晒した上で誘っているのだから、アレよりはマシである。
悪平等(ノットイコール)
彼女が所属するのは、『異常』でも『過負荷』でもなく『悪平等』と呼ばれる勢力。
劣等感(マイナス)なんてくだらない、優越感(プラス)でも全然あがれない。だったらそんな差別は無意味極まる。
プラスもマイナスも自分たちの前ではおしなべて普通に平等であると、まるで神であるかのように達観する。
2人だけの「悪平等(ノットイコール)」
「悪平等(ノットイコール)」と称する存在は安心院なじみと不知火半纏の2人のみである。ただし、安心院の端末という形で途方もない数の悪平等が存在する。
7億人の「悪平等(ぼく)」
「悪平等(ぼく)」に属する彼女の端末はこの世界の7億人程度らしい。つまり世界人口の十人に一人は悪平等の一員ということになる。端末とは何者であるかは表現することは難解だが、端末とはどういう存在かを理解した瞬間にその人物は安心院の端末と化す模様。どうも、安心院はすべての端末の個性、能力、経験、記憶などなどを自身のものとして感じとっているらしい。
一方、端末たちは自分が端末であるという自覚はあるが、個人個人はごく普通の独立した存在である。安心院にとっては「7億の端末は僕と繋がっている」という感覚はあっても、当の端末たちは安心院や他の端末と繋がっているという感覚は全く持ってない。ゆえに、端末たちのほとんどは安心院に従っているわけではない。
どちらかというと自分の人生を勝手に「盗聴」されているようなもので迷惑でしかないというところだろうか。だから、安心院なじみの「分身」ではなく「端末」なのであり、能力によって作り出された存在というよりは、たまたま1/10の確率で因子を宿し生まれた存在と言った方が正しいだろう(実際彼女が「死」を迎えた時も端末たちには何の影響も無かった)。
端末たちは、自分が化け物の端末にされているという事実をひた隠しにしながら普通の生き方をしようと必死になっている。そんな7億の凡人どもの人生を自分自身と感じれる安心院にとって、思想だの個性だのの差異で好き嫌いすることなぞ馬鹿らしいのだ。男も女も子供も老人もすべての感性を安心院なじみは平等に理解し共感している。
なお、「悪平等」とは造語ではなく実際にある言葉で
「平等に扱うこと、平等を重視する政策等が向上心の減退や逆差別等を生み、かえって社会に弊害をもたらすこと」である。
一生懸命頑張ってるやつも、サボって笑っているやつも平等に尊重する、
いわゆる「お手繋いでみんなで仲良くゴール」である
病理
「この世界がもしも『週刊少年ジャンプ』に連載されている漫画だったら」と仮定して物事を話すことが多く、彼女の台詞は非常にメタフィクションの要素が高い。
「主人公」「ラスボス」「最終回」「アニメ化」など、現実を漫画に例えることが多いが、それはもののたとえなどではなく、彼女は本気でこの世界を「『週刊少年ジャンプ』に連載されている漫画の中の物語であり、だから漫画みたいなスキルが使えて、漫画みたいな事件が起こっている」と信じている。自身の倫理観である「悪平等」もすべてが平等に紙の上のインクと考えるからである。
一方で安心院は第四の壁を破る存在ではない。漫画の「外側」の存在(つまり我々読者)を観測することはできないので、この世界が漫画の中だなんて誰に対しても証明も説明もできないのだ。つまり、根拠などないが最初から「この世界は漫画だ」となぜか知っているのが安心院なのである。
安心院以外の作中登場人物は誰一人として彼女の言葉は妄想として信じない。それゆえに孤独に苛まれてるのである。
だから、安心院にはみんなと同じように、この世界を現実だと認識したくて仕方がない渇望がある。フラスコ計画による完全なる人間作りも、完全なる人間を作ることが目的ではなく、失敗することで「できないこと」があるということを証明し、この世を現実だと認識したかっただけである。
めだかは、安心院が何でも出来過ぎたがゆえのシミュレーション仮説という病理に陥っていると分析していた。
しかし、「外側」にいる読者の視点からすると何が真実なのかがわからなくなってくる。そして本作はこれについての解答は決して語ることはなかった。