概要
1999年の初代から、2020年現在の4代目まで発売されている、トヨタの世界戦略車のひとつ。初代から3代目までは日本では「ヴィッツ(vits)」の名で発売されていた。日本人がYarisの単語の響きをよく思わないのと同様に、Vitzが英語圏の人間(特にイギリス英語圏の人間)にはBit(s)と聞こえてしまうため、外国ではYarisの名が採用されている。
フランスで生産されるヤリスはアウトバーンの時速200km走行に耐えるため、日本のそれより若干丈夫に作られているなど仕様が異なる。また日本で150台限定で生産されたヴィッツGRMNターボは、ボディ剛性を確保するためにヤリスの3ドアをベースにしている。このためウィンカーレバーは左側についていた。
トヨタは2017年から世界ラリー選手権に復帰しているが、そのマシンはヤリスをベースとした「ヤリスWRC」であり、日本でヤリスといえばこちらを指す場合が多かった。ヤリスWRCは2018年にマニュファクチャラーズチャンピオン、2019年にドライバーズチャンピオンマシンとなった。
なおかつて日本で売られていたコンパクトセダンのプラッツ及びベルタは海外では「ヤリスセダン」とも呼ばれていた。
北米向け
北米では、政治的事由により南米に輸出できなくなったマツダのメキシコ工場を救うべく、デミオ(マツダ2)セダンをヤリスiAの名で現在もOEM販売している。
さらに、アメリカ市場では、ヨーロッパや日本ほどコンパクトカーの需要がないため、3代目限りで自社生産モデルの販売を打ち切り、代わりにマツダ2ハッチバックをヤリスとして販売していた。しかし、アメリカではこのクラスの車はあまり売れないため、トヨタは北米向けヤリスそのものの生産を2020年11月で終了することを決定。さらに、GRヤリスの北米投入も現状未定となっている。
新興国向け
新興国(主に中国・台湾・東南アジア・中近東)で販売されるヤリスは3代目(日本市場ではまだヴィッツであった)の頃から日本・欧州仕様車とは全く別のクルマになっておりサイズもやや大きい。型式も異なっているがプラットフォームそのものは日本・欧州向けの3代目と同じ。
東南アジアでは派生モデルのヤリスクロスも投入されている。これは日本や欧州市場に投入される同名モデルと異なり、新興国向けヤリスを元にSUV風に仕立てたもの(要はスペーシアギアやフィットクロスターのようなもの)。中国向けにもヤリスLクロスオーバーとしてSUV仕様車がある。
また、セダンタイプも存続しており、国によって異なる名前で販売されている。