ヤリスクロス
やりすくろす
2020年4月23日に発表された。同年8月31日から日本市場で先行発売されており、ヨーロッパ市場にも2021年から投入されている。
外観からはあまりヤリスと似通った部分は見られないが、プラットフォームはヤリスと同じGA-Bで、内装のデザインもほぼヤリスそのまんまである。
ただし燃費を稼ぐために空気抵抗を抑えたデザインをした結果後部座席の居住性が悪化し2by3のスポーツカーと化してしまったヤリスと比べて後部座席の居住性は桁違いに向上しており、ラゲッジルームも広くなっていてゴルフバッグや自転車を載せることもできる。また後部座席の倒立比は4:2:4で、真ん中の2は倒すと後部座席用肘掛けになるという工夫がされている(ドリンクホルダーもついている)。
排気量は全て1,500ccで、ダイレクトシフトCVTもしくはハイブリッドが用意されるが、ヤリスにはあったMTの設定はない。
この他ヤリスの4WDが滑ってから後輪が駆動する『アクティブトルクコントロール』なのに対し、ヤリスクロスは後輪を常時積極的に動かしていく『ダイナミックトルクコントロール』で、路面状況に合わせたモード切り替えやダウンヒルアシストのボタンも備わっているため、意外にもSUVとしての走破性も一定のレベルで持ち合わせている。
ヤリスでは大きかった日本仕様とヨーロッパ仕様の差は本車では少なく、日本仕様車もヨーロッパ仕様と共通サイズ・ホイールベースになっていて、全車3ナンバーになる。また日本仕様にも電動パーキングブレーキが採用されているため渋滞での自動追従が可能になっている。ただし、手動パーキングブレーキの設定は無い。
ターゲットとしてはハリアーの下に位置する都会派のSUVという位置付けで、ヴェゼルやCX-30などの市場を想定している。また女性も積極的にターゲットにしているとのことである。
なおこのクラスのクロスオーバーSUVにはC-HRやライズが既に発売されているため同士討ちになりそうと言う意見もあり、実際にトヨタ社内でも海外専用車とする予定であったが、ボスの「なんで日本で売らないの?」の一言で一転国内発売となった経緯がある。
考えてみるとC-HRはヤリス同様後部座席や視界を割り切ったスポーツカー寄りのSUVのため、ヤリスクロスとは被らない。一方ライズは実用性ばかりかヤリスクロスと同じ4WD機構を備えており、燃費・税金でも有利な上5ナンバーサイズで未だに3ナンバーアレルギーを抱えている人も安心、そして2020年上半期販売台数は1位と、こいつは確かに一見するとヤリスクロスの上位互換にしか見えない強敵である。しかしライズはよそさまから融通してもらっているがゆえ、トヨタブランドにおいて強力な販売力を示しているTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)を持っていないという大きな弱点がある(こちらは2021年11月のマイナーチェンジでダイハツ製のe-SMART HYBRIDが搭載されている)。蓋を開けてみるとプリウスやアクアからヤリスクロスへの乗り換えが多く、発売初月はライズをも上回る勢いで売れている。アクアのフルモデルチェンジやカローラクロス登場で一時の勢いこそ失ってはいるが、高い人気を維持している。
またヤリスの低燃費かつリニアなパワートレインと走りに魅力を感じつつも、後席の狭さや渋滞自動追従機能が無いことを理由に購入を見送った人にもうってつけの一台だろう(こちらについては2021年の改良でヤリスにも装備されたが、停止保持機能がなく停止すると解除される仕様なので注意が必要)。
2022年の改良でGR SPORTとZ“Adventure”を新設定することが発表された。GRスポーツの開発には、GRヤリスの開発ドライバーも携わり、細部の部品にまで改良を加え、操縦安定性・応答性を向上するなど「GR」の「走りの味」を「GRスポーツ」でも継承することを目指した。
新興国向けの、事実上の同名の別車種である"ヤリスクロス"に関してはYarisを参照。