概要
2013年より発売されている3ナンバーサイズのクロスオーバーSUV。
Bセグメントコンパクトカーのフィットをベースに開発されている。
ホンダの専売特許である、薄型にした燃料タンクをキャビンの床下に置く「センタータンクレイアウト」を採用しており、同クラスの他車種と比べて少しだけ車内が広い(ただしその分重心は高めになる)。
本格的なクロスカントリー系SUVのようなヘビーデューティーには当然向いていないが、現代的な都市型クロスオーバーSUVとしてはライバルのトヨタC-HRに負けない走破性は確保している。
輸出仕様車は「HR-V」(2代目)という名前となっており、派生車に「XR-V」がある。
初代
エンジンは3代目フィットの「RS」グレードと同じi-VTECの1,500cc直列4気筒。ハイブリッドは1モーター式で7速DCTを兼ね備える「i-DCD」、非ハイブリッドはCVTがそれぞれ組み合わされた。
当時はまだ上級車向けの装備であった、電動パーキングブレーキ+停車時ブレーキホールドを発売直後から全車に標準装備していた。
加えて後部座席のリクライニングができるのも、ライバルのSUVには無い特長であった。
2019年のマイナーチェンジで登場した「ツーリング」グレードでは、1,500ccターボエンジン+CVTが追加された。これは欧州仕様ヴェゼルの高剛性ボディにFC1型シビックセダンのパワートレインを移植したホットモデルで、最大172馬力を発生した。
またこの時コンプリートカーの「モデューロX」も用意された。
同クラスのライバルたちに比べて使い勝手やデザインがちょうど良かったことや、豊富なグレード展開から販売は好調かつ安定しており、2019年にはモデル末期ながらSUV年間販売台数1位を記録するほどであった。
2代目
2021年4月にヴェゼルは2代目へフルモデルチェンジ。先行発売されていた4代目フィットがベースとなる。
目玉はi-DCDに代わって採用された、2モーターによるストロングハイブリッドの「e:HEV」仕様である。
エンジンはハイブリッド・非ハイブリッドともに先代の改良版となるが、ターボ仕様が廃止されている。
先代のウリであった、後部座席のリクライニング機能も廃止された。
分かりやすく「フィットのSUV版」であった初代と異なり、2代目はロングノーズ化されてフィットとは全く異なる方向にデザインされている。
しかしフロントがマツダのCX-3、リアがトヨタのハリアーにそっくりであったため、発表後は「CX−ハリアー」がTwitterでトレンド入りするという、ホンダの意図しない方向で注目を集めてしまった。
とはいえ販売は初代に続き好調で、ベースのフィットが伸び悩むのを尻目に、N-BOXに次ぐホンダの稼ぎ頭となっている。