フー子
ふーこ
概要
漫画「ドラえもん」コミックス第6巻に収録されたエピソード「台風のフー子」、
および映画「ドラえもん のび太とふしぎ風使い」に登場したキャラクター。
双方ともに「台風の子ども」であり、悲劇的な結末を迎えた点も共通するが、
設定が大きく異なるため本記事では別個に解説を行う。
「台風のフー子」版
ペットに憧れるのび太の為、ドラえもんが「台風のたまご」と呼ばれるひみつ道具を作って生み出した「生きた台風」。暖かい空気を食べて育つ。
外見は人間の眼球のついた単眼のつむじ風のように描かれている(わさび版では眼球が二つあるなど、ふしぎ風使い版とも異なる外見になっている)。
また、言語を話す事は出来ず、「フーン、フーン」という声を発する。
のび太からは非常に可愛がられたが、台風であるため内に秘めたエネルギーは凄まじく、軽いイタズラで家がメチャメチャになるなど、徐々に飼育が困難になっていった。
そんなある夜、関東地方に超大型台風が接近してきて……
「ふしぎ風使い」版
スネ夫の家に落ちた黄色い玉から生まれた、台風の子どもと言うべき未知の生命体。
偶然出会ったのび太に懐いたため、彼の下で保護されることになった。
原作同様、暖かい空気を食料にしており、逆に冷気には弱いという弱点がある。
やはり「フーン」という声しか発せないが、人間との意思疎通は十分に可能。
また、メイン画像に使用されている外見は、「ドラコッコ」というのび太が好きなマンガ(劇中劇)に登場するキャラクターをモデルにひみつ道具「フリーサイズぬいぐるみカメラ」で制作した着ぐるみである。この着ぐるみの効果で風が制御できるようになった為、原作のように意図せず周囲に被害を齎すことはない。
のび太からはペットというより妹や娘のように可愛がられるが、やがてその正体が世界を滅ぼす風の怪物・マフーガの一部であることが発覚。世界征服を企む「嵐族」やその支配者であるストーム、亡霊ウランダーにその身を狙われることになる……
結末(以下ネタバレ)
原作版
野比家の屋根は傷んでおり、台風に耐えられる状況ではなかった。
このままでは屋根を剥がされてしまうと焦る野比家の一同を見たフー子は家を飛び出し、太平洋上で超大型台風と激突した。
「超大型台風と突如現れた小型台風がぶつかりあった」という天気予報からフー子が台風に戦いを挑んだことに気付き、必死に応援するのび太達。その甲斐もあってか台風は消滅したが、同時に小型台風も気象図から消えていた。のび太はフー子の死を察し、一人涙を流すのだった。
その後、のび太は小さなつむじ風を見ると、ついフー子を思い出してしまうと語っている。
ふしぎ風使い版
ストームやウランダーとの熾烈な戦いの末、かつてマフーガを封じた赤い玉から封印の剣が引き抜かれたことにより、遂にマフーガが覚醒。フー子もその一部として取り込まれてしまう。封印の剣を手にしたのび太の活躍でフー子を切り離すことには成功したものの、マフーガは弱体化しつつも邪悪さを増して復活し、のび太に襲い掛かった。
その様子を見たフー子は火山の熱エネルギーを吸収してパワーアップ。マフーガとは逆向きの渦を発してその力を相殺しようと試みる。それがフー子の死を意味する事を知り、最初は止めるよう叫んでいたのび太だが、最後はフー子の意思を尊重し、彼女を応援した。
激闘の末にマフーガは消滅、空からは陽光と共に微笑みを浮かべたフー子の着ぐるみだけが落ちてきた。それを受け止めたのび太はフー子と出会ってからの記憶を思い出し、一人涙に暮れる。その様子を見たドラえもんたちには彼を遠くから見守ることだけしか出来なかった。
当然ながらのび太の精神的なダメージは大きく、漫画版に至ってはゲストキャラクターのテムジンたちと別れる際にもずっと泣き通していたが、やがて彼は「フー子はいつまでも僕らのそばにいる」という悟りに達したことで立ち直った。