カイパーベルト天体
かいぱーべるとてんたい
概要
カイパーベルト天体とはカイパーベルトに存在する天体の総称である。エッジワース・カイパーベルト天体とも言う。領域としてのカイパーベルトは「カイパーベルト」を参照。
海王星の軌道の外側を円盤状に囲む様に存在しており、軌道は円に近く、黄道面からの傾斜角が比較的小さい。
よく似た用語に太陽系外縁天体があるが、これはカイパーベルト天体に加え散乱円盤天体(エリスなど)や分離天体、オールトの雲などのより遠方の天体も含む呼称である。なお、散乱円盤天体はカイパーベルト天体に含む場合もある。
冥王星とその衛星以外で初めて発見された天体は1992年8月30日に発見されたアルビオン(1992 QB1)で、それ以降数多くのカイパーベルト天体が発見された。
やがて、比較的大きな天体も多数発見されたことにより、2006年8月24日に国際天文学連合によって冥王星は惑星から準惑星に再分類され、「カイパーベルト天体に属する準惑星」となった。なお、今の所準惑星に分類された天体は小惑星帯に存在するケレスを除き、全てカイパーベルト及び散乱円盤に存在する天体(冥王星型天体)である。
長い間、詳しい事については分かっていなかったが、NASAの探査機ニュー・ホライズンズが初めて冥王星とアロコスの探査を行い、地形などの詳しい様子が明らかになった。
主なカイパーベルト天体と族
主な天体
散乱円盤天体に属するエリスについては準惑星エリスを参照。
※以下の表にソース元として貼り付けている外部記事には英文のものもあるので、読めない場合は各自でGoogle翻訳を使うなどして読んで下さい。
天体名 | 小惑星番号 | 発見日 | 概要 |
---|---|---|---|
冥王星 | 134340 | 1930年2月18日 | 元太陽系第九惑星。カイパーベルト天体の中では圧倒的な知名度と人気を誇る。詳しくは冥王星の記事を参照。 |
ハウメア | 136108 | 2003年3月7日 | 4時間弱で自転しており、ラグビーボールのような形はその為とみられる。準惑星としては珍しく輪を持つ事が知られている。 |
マケマケ | 136472 | 2005年3月31日 | エリスや冥王星に次ぐ大きさの準惑星。カイパーベルト天体としては冥王星に次いで明るい。2016年に「黒い月」が発見された。 |
クワオアー | 500000 | 2002年6月4日 | 準惑星候補天体。平均密度が4.2g/㎤と非常に高い(火星より高い)ため、他の外縁天体と異なり氷をほとんど含んでいないと考えられる。 |
レンポ | 47171 | 1999年10月1日 | 珍しい三重小惑星で、ヒーシとパハという近い大きさの小惑星と公転し合っている。ニュー・ホライズンズ2号の打ち上げが検討された際、探査目標の候補とされた。 |
アロコス | 486958 | 2014年6月26日 | ウルティマ・トゥーレの名でも知られる。2019年にニュー・ホライズンズの探査が行われ、赤みがかった雪だるまの様な姿が明らかになった。 |
アルビオン | 15760 | 1992年8月30日 | 冥王星以降初めて発見されたカイパーベルト天体。この天体が属するキュビワノ族の名称は、自身の仮符号である1992 QB1のQB1が語源である。 |
主な族
似たような軌道を持つ天体は、それらをまとめて「○○族」と呼ぶ。
キュビワノ族
知られているカイパーベルト天体のうちおよそ3分の2を占める、海王星の重力的な影響をほとんど受けていない天体。軌道も円に近く傾きも小さい。古典的カイパーベルト天体とも呼ばれている。
冥王星族
冥王星と似たような軌道を持つ天体で、知られているカイパーベルト天体のうちおよそ5分の1を占める。海王星と3:2の共鳴関係にあり公転周期が約2分の3倍(243~253年)となる。
カイパーベルトが起源とされる天体
海王星最大の衛星トリトンや、土星の衛星フェーベなど、いくつかの衛星はカイパーベルト天体が巨大惑星の重力にとらわれたものだと言われている。
また、彗星のうち公転周期が200年未満のもの(短周期彗星)は、カイパーベルト由来だと推測されている。
木星と海王星の間の軌道を公転する小惑星、ケンタウルス族はカイパーベルト天体が太陽系内部に入り込んだものだとされる。ケンタウルス族天体は軌道が不安定であり、太陽系外に飛ばされるか巨大惑星に衝突、あるいは衛星になるものと思われる。