設計
兵装
特徴として、主砲である2A46M-1 125mm滑腔砲から射程約4000~5000メートルの9M119MレフレークスMレーザー・ビーム・ライディング誘導対戦車ミサイルが発射可能にした。この装備は後のT-90にも引き継がれることとなり、西側戦車の射程範囲外から攻撃可能な能力を得た。
また、125mm滑空砲の通常砲弾は分離装薬式のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)及びHE-FRAG(破片効果榴弾)を使用する。
装甲
T-80の装甲は砲塔最大410mm、車体最大420mmの複合装甲で構成されているが、その防御性能は未だに未知数である。その他、爆発反応装甲も追加できる。
機関
T-80ではT-64で計画中止となったガスタービンエンジンの採用があげられる。
ロシアでは以前からガスタービンエンジンの開発に熱心な国であった。ガスタービンエンジンの特徴である小型軽量で大馬力なので戦車シルエットの小型化に全力を傾けてきたロシアとしては非常に重要なことであった。しかし、ガスタービンエンジンの開発は困難を極め、当初T-64シリーズにも搭載される予定であったが開発に失敗してしまった。
T-80ではガスタービンエンジンの搭載が至上命令となり、航空機用ジェットエンジンの開発の実績も豊富な、クリモフ名称化学生産合同企業に開発が引き継がれて開発に成功、実用化することができた。しかし、ガスタービンエンジンは燃費が非常に悪く、1リットルで400mほどしか走行できないとも言われる。そのため、ディーゼルエンジンを搭載したT-80UDも並行して調達されることになった。
電子装備
T-80はスタビライザー付きの125mm滑腔砲を装備し、新型の火器管制システムとトランスミッションを搭載している。自動装填装置はT-64の改良型で、装填トレイ上には28発の砲弾を搭載可能にした。NBC装置の他、夜間暗視装置も備え付けられているが、本格的に生産が始まる頃には、ソ連経済の失速もあって非常に高価なT-80は悩みの種となった。
燃費向上
急遽保険として開発されていたディーゼルエンジン搭載車も1985年に採用された。
戦車も引き続き調達され、ハイローミックスで運用されることになった。その後エンジンをパワーアップした型や爆発反応装甲を搭載したモデルなどの改良型が登場し、1985年にはT-80シリーズの決定版とも言えるT-80Uが登場、燃費と機動力も大幅に向上した。
市場売買
これにより、ソ連が当初目指していた究極の戦車としてT-80は完成した。
ソ連崩壊後はT-80も輸出商品の目玉として盛んに海外への売り込みが図られており、パキスタン、キプロス、韓国などへ輸出され、5ヵ国で約4000両の戦車が運用されている。
ただし韓国に対しては債務支払いの代わりであり、韓国軍では当初朝鮮人民軍を模したアグレッサーとして運用されていたが、現在はK1等と共に実戦配備されている。
韓国の国産戦車がK1A1、K2と色々アレなせいで実質的に韓国軍で唯一マトモな戦車であるといえる。
また、T-80の開発を行っていたウクライナでは、独立後も自国で運用するT-80UDの改良作業を続行し、国産部品を使用したT-84、そしてオプロートへと発展。その一過程として、前述の通りパキスタンへ輸出された車輌の一部にはウクライナ製の新しい溶接砲塔が採用された。
諸元性能
全 長 :9.66m
車体長 :7m
全 幅 :3.6m
全 高 :2.2m
重 量 :46 t
懸架方式:トーションバー方式
最高速度:65 km/h(整地)~45km/h(不整地)
航続距離:335km~600km(外部タンク搭載時)
発動機 :GTD-1250 ガスタービン1250馬力
乗 員 :3名
主 砲 :125 mm滑腔砲 2A46M-1
副武装 :12.7mm NSVT機関銃、7.62mm PKT機関銃