概要
『風都探偵』第78話「fに感謝を4/鼠と獅子」から登場した、「蟹」の記憶を持つドーパント。
外骨格で覆われた細身のボディを持ち、頭部は蟹のハサミが絡みついたような形状で、背中からタカアシガニのような長い脚が生えている。
変身者は暴徒集団「蒼炎群」のメンバーであるヒカルと、リーダーである風吹鉄男(愛称テツ)。
かつてのNEVERを信奉し気に入らない風都の滅亡を企む彼らは、以前からマグマ・ドーパント等何種類ものドーパントに変身しては小さな悪事を働いていた。
そして風都タワーの感謝祭を建物ごと潰す事を計画し、仮面ライダーに阻まれない力を模索していた所、支援を持ちかけた万灯の勧めで、半信半疑ながらクラブメモリを試すに至った。
なおテツが変身する気になったのは、ヒカルが変身した個体の強さを目の当たりにしてから。そうして堂々と子分を実験台や道具扱いする彼の横暴さに、ヒカルは以前から辟易していた模様。
能力
見た目通り全身の外骨格は高い硬度を誇るが、それより特筆すべきはその「攻撃力」と「再生能力」。
頭部右側面のハサミから力を溜めて放つ斬撃波は、凄まじい切断力と貫通力を誇り、その威力はWのフォーム中最も硬いメタルのボディやメタルシャフトを戦っていた会場ごと軽々と切り裂いてしまう程。
加えて外殻の下には、クラブの体組織を急速に修復再生する特殊な泡が満ちており、傷を負った瞬間そこから泡が吹き出しどんな致命傷をも即座に完治してしまう。
ドーパントの異能力を無効化できるエクストリームの攻撃さえ、プリズムソードの切っ先が刺さると同時に再生の泡が機能し、攻撃の威力を弱めて封殺してしまったレベルである。
唯一の急所は泡の生産器官である背中に付いた子蟹だが、同じ攻撃ではそこすら破壊する事は難しいとフィリップは判断。変身者の適性によって高められたその難攻不落ぶりから、「現在のWが持つ力では打つ手がない」と悟る事態にまで陥るが…。
ネタバレ注意
スロットルを吹かせたアクセルのパンチを喰らった時の再生が遅かったことに目をつけた翔太郎が、スーツアクターであり格闘技の実力者でもある鷹岩降雄に習い一晩で空手の型を身につけたことで状況は一変。自らが「型落ち」と称したヒートジョーカーの攻撃で甲羅に複雑な亀裂を入れられたことで復元が追い付かなくなり、二対一の状態で劣勢に追い込まれる。
風都タワーに当てる予定だった二人での合体攻撃も躱され、ヒートジョーカーのジョーカーとヒートの連続マキシマムドライブで揃って撃破されてしまった。
変身者の二人は仲良く捕まるが……？
余談
メモリ自体は原作で少しだけ登場したメモリである。
終盤でフィリップが言及しているように同じメモリを使いながら能力に明確に差がある。
ヒカルが変身した個体はテツが変身した個体より一度に泡が出る量が多く、再生速度も速いことがわかるように描写されている上、初戦に限っていえば攻撃を受けても苦痛の声すら上げていない。
ヒカルもそのことに初戦で気が付いたらしく、それからテツに対する態度が一変している（一応リーダーとして彼を立ててはいるが、彼からイニシアティブを取ったり、ふてぶてしい態度をとるようになっている）。
一時はエクストリームですら打つ手なしと判断せざるを得ないほど圧倒的な戦闘能力を発揮したドーパントだが、終盤の展開を見るとメモリを提供した万灯には本来の目的が別にあり、Wを打倒できるかどうかは二の次でしかなかった模様。
とはいえ、Wが短期間でクラブ・ドーパントを二体同時に相手取って圧倒、撃破するほどの成長を遂げていたのはさすがに想定外だったらしく「これだから…ジョーカーは…」と驚愕とともにその脅威を再認識している。
