残念 俺は光より速いぜ
プロフィール
身長 | 175㎝ |
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体重 | 53kg(ヘヴィー級時は最大109kg) |
年齢 | 43歳 |
誕生日 | 11月2日 |
結婚 | 今はしていない |
恋愛感 | 手広く、誠実に、平等に |
通称 | 『黄金帝』 |
概要
「ケンガンオメガ」の登場人物で、メキシコ人ボクサー。現「煉獄A級闘士」。
当然ながらただのボクサーではなく、異名である「黄金帝」の名に恥じない経歴を背負っている。
身長175cmというミドル級平均を下回る小兵でありながら、ミドル級四冠を達成という偉業を成し遂げた男。それどころか載冠直後、ベルトを返上しスーパーミドル級へ転向し、スーパーミドル制覇後もライトヘヴィー級、クルーザー級、ヘヴィー級と階級を上げ続け、遂にはヘヴィー級王者の一角を堕とすところにまで上り詰めたが、そこでプロスポーツにおける厄介事に苛まれてしまう。
何故そのような事態に陥ったのか。単純に言えば彼があまりにも強すぎたことに由来する。
ボクシングは飽くまでプロスポーツであり、興行としての側面を持っているが故に強い選手の扱いには苦心する傾向にある。結果として長らく対戦カードを組むことができず、統一戦においても他団体のヘヴィー級チャンプにすら難色を示されてしまった。
加えて不運なことに当時契約していたプロモーターが極めて評判の悪い人物であったことから、試合が一向に決まらない日々が続き、プロレスへの転向や日本格闘技への参戦が噂されたものの、どれも実現には至らず表舞台から姿を消してしまった。
その後、どのような経緯かは不明だが、裏格闘技『煉獄』に移籍。A級闘士となり、対抗戦に参加する。
ボクシング史上初のヘヴィー級四冠王としてはガオラン・ウォンサワットが有名だが、彼の場合はラルマー13世という存在がいたことで非常に環境に恵まれていたため、対戦カード自体も組みやすかったと思われる。
ガオラン自身、もし環境に恵まれていたなら史上初の四冠王はメデルであったと考えており、仕合直前には古今東西唯一自分より格上に位置する存在と捉えている。
母国メキシコでも神のような存在とされているが、大久保直也曰くガオランより評価が高い理由としては純粋な実力云々よりも、後半の不遇なキャリア故の『幻想』が一枚噛んでいるとのこと。
活躍
対抗戦開始後、先攻となる拳願会からはガオランが出場。それを見て早速出場しかけた弓ヶ浜ヒカルを片手で制し、目に映らない程の速さで鼻に一撃。これはメデルの友人であるホセ神崎を必要以上に痛めつけたことよる報復であり、これでチャラにすると告げステージに上がる。
ここでメデルの経歴について語られたが、その体躯はヘヴィー級だった頃の彼からは信じられないほど引き絞られており、何があったのかとガオランを困惑させる。
第一仕合の火蓋が切って落とされた刹那、ガオランによるフラッシュに先制を許すが、「先の先」を会得していたメデルはその全てが避けた挙句、弓ヶ浜と同じにようにガオランの鼻に一撃を加え、血を流させることに成功する。
その後もガオランの打撃が捉えられない程の速さで動き続け、一方的にガオランを攻め続ける。ガオランに比べ遥かに体躯が劣るメデルだが、自身の骨格と釣り合った筋肉量を搭載することで「無駄な肉」を削ぎ、打撃力と引き換えにヘヴィー級のトップスピードを上回る速さを手に入れたことで攻撃を軽やかに避けることを可能とし、打撃力は手数でカバー。仕合の流れを掴むことに成功する。
しかし筋肉を絞ったが故に、避けきれず打撃を受けた際のダメージは深刻。言ってしまえば動きを読まれた瞬間が敗北の片鱗ともいえる。
事実前半は好調だったものの、後半にいくにつれ、動きの規則性をガオランに見切られた結果、限界まで引き絞られた身体がただのジャブにすら耐え切れず、ダメージを浸透させてしまった。
それでも素早さは健在であり、ガオランのストレートを伏せて避けると、足を用いた一撃でガオランの骨に罅を入れることに成功する。そしてガオランには「真のカーロス・メデル」と闘う資格あるとし、ブラジルの裏格闘技を生き抜くために会得した、自身のボクサーとしてのスタイルと融合させ、地功拳の要素も交えたカポエイラを披露。小兵である自分に足りない距離を補うべく獲得したものだが、その習得に掛かった時間は累計20時間。そして一冊の参考書を用い、習得に至る。
ボクシングの天才ではなく、打撃の天才と呼ばれる程のセンスを持ち得ており、ボクシングによる打撃とカポエイラの打撃を合わせた現在のスタイルこそ、「打」の完成形と自負。
やがて足を用い、かつてガオランが加納アギトによって破壊された右拳を再び砕くべく、蹴りを放つ。だが、逆に出血を負ったのはメデルの方であり、狂気の沙汰ともいえる部位鍛錬にて鍛えられたガオランの拳に押し負ける形となった。
一応骨は無事であり、裂けたのは皮膚だけだったものの、右拳による一撃を警戒し、カポエイラからボクシングスタイルへ切り替える。インファイトに持ち込むが、既に動きは見切られており、ガオランの一撃に遂にダウン。ボクサーのものとは思えないほど完成された拳の質に苦しむが、カウント2で復帰。
息も絶え絶えになりながら、俺には「これ」しかないと再び構えたところで、内面に抱えていたガオランに対する様々な嫉妬が噴出。様々な柵に苦しめられた自身の唯一の居場所が「裏」であり、十全に表で活躍できるガオランが「裏」に上がり込んできたことに、内心怒りを覚えていた模様。
ガオランに対し、心の内側で出て行けと憤慨しつつ、「君は、俺に勝てない」と口にし、「例え俺を倒したとしても」と続ける。
受けたダメージを回復させるべく動き回るが、それをガオランが見逃す筈もなく、刷り込まれた右拳への警戒心、ムエタイの解禁、進化を遂げた右ストレートを顔面に打ち込まれ、場外へと落ちていく。
――しかし、これこそがメデルの作戦であり、例え倒されても勝つべく煉獄の「場外に身体の一部がついた場合敗北」というルールを活用。
ガオランをリングの端まで誘導し、倒される瞬間にその身体に足をかけ、フィニッシュブローによる体重移動も相まって、ガオランを場外におびき出すことに成功。
結果として、先に場外に手をついたガオランは敗北。勝負に負けて試合に勝つ。薄氷ではあるが、勝利を収めることとなった。
メデルの賛否について
彼に関する評価としては、賛否がかなり分かれるところとなっている。
問題点としては、彼が持つ矜持の居所、「裏」に対する愛着についての掘り下げ、勝負やプライドを捨ててでも得ようとする勝利へのこだわりがあまり感じられなかった点が足枷となっている。前半は緊張感のある戦いへの昂りが感じられたものの、追い詰められると一転してガオランへの個人的な恨み辛みを心の内とはいえ吐露し、半ば小物らしさが垣間見えてしまったこと。仕合運びとしてはガオランの圧勝に等しく、強さの表現が薄めだったこと。結果として非常に人気のあるガオランの扱いがあんまりなものになってしまったことなどが挙げられる。
ただし、リングアウトも勝利に変わりはない。「裏」に対する愛着も数ページだが一応掘り下げはある。「表」で活躍しながらも「裏」での戦いに踏み込んできたガオランへの想いも理解できない訳では無い。
問題なのは過程、展開であり、前半の魅力は素晴らしいものであったが故に、非常に惜しいキャラクターである。
当然ながらメデルを応援する声も存在するため、キャラクター性への批判はあれど、それを応援する声を心無い非難で打ち消してしまうことにだけは注意していただきたい。
また、原作者のサンドロビッチ・ヤバ子も単行本7巻のキャラ紹介において、「ボクシングを極限まで極めた設定で異次元の強さを見せつける」として決着のネームも完成していたが"あまりにも強すぎる"という理由で本編のような展開になってしまったと語っている。
そして、このような反響から第109話において、暴走したロロン・ドネア(と阿古谷とニコラ)を制止するため理人と共闘するなど見せ場が用意されている。