概要
登場人物の多くは、何かしら著名哲学者の名前をもじってつけられている。
また作者が同じ『打姫オバカミーコ』と世界観を共有しており、同作のキャラクターが多数登場するのも特徴。
哲学的な麻雀を打つ謎のプロ雀士・積倉手数(つもくらてす)と、彼との出会いからプロ雀士になった富良東(ふらとん)の二人が主人公となる。
オカルト派を自認しオカルト漫画も出してきた片山まさゆきが、前作に引き続き自らの麻雀の思想を綴るような感じのある作品。しかし前作ほどの人気は出なかったのか、最後はやや打ち切りのような形で、わずか5巻で幕を下ろしている。
登場人物
積倉手数(すもくら てす)
本作のタイトルにもなっている主人公。配牌とツモの意味を哲学(オカルト)的な見地から考えて打ち、流れを掴んで一気に最高の調子にまで持っていく「因果打ち」を武器とする。『むこうぶち』の「御無礼」よろしく、腕時計を見ながら「〇時〇分 満潮」と宣告するのが彼の勝利宣言で、以降は御無礼同様、他家の根こそぎ点棒を掻っ攫って行く展開になる。この勝ち方で波溜晴・我鷹愁・馬杉寧香の最強トリオを相手に一方的な圧勝を収めたことすらある。作中でタイトル戦4連覇を達成している。
性格は常に穏やかである。ただし周囲が怒ったと勘違いするような問いかけや行動をすることはあった。また雨取に何気なく自分の麻雀哲学を否定されたときは、結構堪えつつもダメージを受けたりと、ただのクールキャラではなく意外と人間味がある。
いい哲学の話で締めたと思いきや、友人たちから猛ツッコミを受けることもあるが、裏返せばそんな話しかけやすさも積倉の魅力である。
名前の由来は「ツモ」+ソクラテス。
富良 東(ふら とん)
もう一人の主人公。基本的には彼の視点で物語は進む。かつては麻雀で稼ぎ、負けた金を払えない人間には執拗に取り立てを行っていたが、それゆえ多くの麻雀仲間から絶交され、迷いを覚えて心が荒んでいた。
そこで積倉に出会い、彼と戦うためにプロ入りする。積倉の哲学を吸収しながら謙虚さを得て、新設の『ジャンパーリーグ』の恩恵を受けてAリーグまでジャンプアップし、憧れの強者たちと戦う。
名前の由来はプラトン。
なお現実でもソクラテスとプラトンは師弟関係であった。
猿田徹(さるた とおる)
富良の同期のプロ。ドレッドヘアーに「っつって」という語尾が特徴の、コミカルなキャラ。
登場時は麻雀で富良に金を借りていた上、取り立てには腹パンで応じるクズであったが、内心負い目を感じていたようで、大麻王戦で優勝した際は「俺は泥棒よりマシになったか?」と真顔で聞きながら、利子をつけて多めに返していた。
実力はそこそこで富良よりプロ麻雀事情にも通じていたが、粗さが目立つ。
名前の由来はサルトル。
雨鳥 茶奈(あまとり ちゃな)
富良の同期のプロ。雀荘『パクチー』の店員。積倉直伝の、自身の配牌とツモを信じて流れを掴む『ビリーヴ打法』を武器とするが、これは彼女の心の弱さの裏返しでもある。
名前の由来は、パスタソースのアマトリチャーナ。良い元ネタが無かったのか、彼女だけ食べ物である。
新知恵仁昼(にいちえ にひる)
メガネで一見気弱だが、裏では他者を蹴落とし見下し、悔しがる顔を見ることに快感を覚えまくる危険人物。オンライン麻雀で全国3位だが、「その気になればいつでも1位になれる」と豪語。1位の出島美結・2位の赤井瞳には、「協力する」「あなたたちを守るナイトになる」などと揺さぶりをかけ、最終的に蹴落とす。
しかしその性根が周囲にバレると揺さぶりが通じなくなっていき、弱気な雨鳥にすら面と向かって貶されるまでに落ちぶれる。
風呂糸(ふろいと)
下の名前は不明。
大学の雀荘バイト時代は積倉すら全く手を付けられない強さを誇っていたが、麻雀を続けることに限界を感じてサラリーマンになる。
数年後、会社の後輩と酒を飲んでいたところで積倉と再会。対局となるが初めて彼に敗北し、自分が見切りをつけた麻雀で彼が何を見つけたのかを知るべく、麻雀プロの世界に足を踏み入れる。
名前の由来はそのまんまフロイト。