「あたし、一緒に冒険行きたいんだ!」
概要
CV:水瀬いのり
深界五層の『前線基地(イドフロント)』に住む、『黎明卿』ボンドルドの娘。
ボンドルドと、その部下『祈手(アンブラハンズ)』、帽子の中に飼っている不思議な動物『メイナストイリム』ことメイニャと共にに暮らしている。
『プルシュカ』とはボンドルドに付けてもらった名前で、作中世界で『夜明けの花』を意味する。
だが彼女は生まれて一度もアビスから出たことはなく、夜明けがどんなものかを知らないらしい。そのため、リコ達と共に冒険に出たがっている。
ボンドルドは自身とプルシュカとの間の「血は薄い」と語っているが……
人物像と劇中での活躍
活発で気の強いしっかり者で、強い冒険心の持ち主。
赤笛(探窟家見習い)でありながらアビス深層を目指したリコほどではないが、危険な箇所のある『前線基地』内の探検、ボンドルドの実験の手伝いなど、様々なことにチャレンジしている。
『前線基地』内でリコ達を丁寧に案内するなど面倒見もよく、おかげで『ボンドルドのアジト』ということで警戒していたリコ達3人ともすぐに打ち解けることができた。ちなみに、三人が寝泊まりする部屋を掃除したのも彼女。
ボンドルドのことを心から慕っており、「最高のパパ」とまで呼んでいる。
余談
リコがレグのアレの説明をしている時にアレの事をパパ棒と呼んでいるが、パパのアレを見たからではなく、「パパになる為の棒」と説明されていたからパパ棒と呼んでいる。
年頃のレディなので夜になると部屋にちゃんと鍵をかけている。その理由は…お察しください。
フランクな口調が特徴的な彼女だが、この口調はグェイラの影響を受けた物でグェイラはプルシュカの教育係もしていた。
関連イラスト
関連項目
※ここから先ネタバレ
「パパ…パパ…あたし…夜明けが…見たい…」
前述したボンドルドの「血は薄い」という言葉の通り実子ではなく、「祈手」の一人の娘。
幼い身で5層の上層負荷を浴びたことにより、一時期精神が壊れてしまっていた。錯乱し続けるプルシュカを廃棄する意見も出ていたが、ボンドルドは自分を父親だと名乗って彼女を「プルシュカ」と名付け、彼女を実の娘のように育て始めた。友達を連れてきたと言ってメイニャを渡してから、プルシュカの精神状態は徐々に回復、元気で活発な少女に育った。後に再び5層の上層負荷を浴びてしまうが、ボンドルドの予測通り精神に異常をきたすことなく復活。しかしそれ以降、前髪がグルグルと渦巻くように捻れた形になった。
同時期に、メイニャの匂いを嗅ぐと見えないところで『もあもあ』が見えることを発見する。
『前線基地』のすべての扉が閉ざされている状態を不審に思って、姿を消したレグ、ナナチの捜索を始めたリコと合流。上昇負荷による事故で傷を負っていたリコに応急処置を施し、彼女とともにレグとナナチの捜索を行う。
その後レグとナナチを発見するものの、レグが『祈手』達によって解体されかけ右手を切り落とされた事を知る。『祈手』達を叱咤するプルシュカだが、この事がきっかけで3人は『前線基地』を離れてしまう。(一応、ナナチについてくるかどうか尋ねられてはいるが、プルシュカは責任を感じて留まることを選んでいる。)この時、離れていくリコ達へ「一緒に冒険に行きたい」という願いを告げた。
リコ達の連携でボンドルドを倒したところで再登場。大好きなパパが亡くなったことを悲しんで涙を流すが、祈手の1人がボンドルドの亡骸から仮面を剥ぎ取って装着すると、自らをボンドルドと名乗った。驚愕するリコ達だったが、プルシュカは何も疑問に思うことなくボンドルドの復活にただただ歓喜する。このシーンで、今まで普通の女の子のように見えたプルシュカの、刷り込み教育を受けていた故に持つ異常性を多くの読者が認識した事だろう。(ボンドルドのあの仮面はただのシンボルで、箱入り娘のプルシュカにあれが『父親だと刷り込む』ためのものとナナチは推測している)。
その直後、プルシュカはボンドルドによって眠らされ、そのままリコ達の前から連れ去られてしまう。リコ達は6層に行くため、そしてプルシュカを助けるために再びボンドルドに挑むが…
※更なるネタバレ
レグと別れ、再び前線基地を訪れたリコとナナチは、プルシュカがいつも連れていたメイニャに出会う。
メイニャを追いかけた先にあったのは『加工場』、ヒトをカートリッジへと加工する部屋だった。その直後にボンドルドが現れ、ナナチはボンドルドが祝福を受けるためにプルシュカをカートリッジにするつもりなのではと問い詰める。それを聞いたリコはボンドルドにプルシュカを解放してほしいと懇願するが、ボンドルドは、プルシュカは今は眠っており、きちんと解放すると述べた。
「大好きなパパ…」
「あたしがずっと想っててあげるから」
「もう置いていっちゃダメだよ」
その後、ボンドルドと層を渡って激しい戦いを繰り広げたレグ。ボンドルドは“肉の呪い避け“の『カートリッジ』を背負い、それを次々と消費していく。
そして、6層から上へ移動し、前線基地へとたどり着いた所で、ボンドルドは使い切ったカートリッジを一斉に廃棄した。そのカートリッジの元となった子供の名前を次々と言っていくボンドルドだったが、廃棄されたカートリッジの1つにメイニャが駆け寄って行く。
「ああ…本当に素晴らしい冒険でしたね」
「プルシュカ…」
あの時、リコ達の前から連れ去られたプルシュカが運ばれたのは例の加工場。
そこでそれまでの子供たちと同じように手足、顎、一部を除いた内臓および骨のすべてを切除され、生きた呪い除け道具『カートリッジ』へと加工されてしまう。リコがプルシュカを解放してほしいと懇願した時点で、すでに手遅れだったのだ。
つまりボンドルドの言った解放するというのはカートリッジを収納する装置から「開放する」という意味だったのである。
他の『カートリッジ』にされた子供達共々、ボンドルドの上昇負荷回避に消費されそのまま廃棄されたプルシュカ。そんな状況でも彼女は
パパにはあたしがついているよ
もうどんなにつらいことも どんなに暗い夜も乗り越えていけるよ
だからパパ…
一つだけ
一つだけお願いしていいかな
あたし…
あたしね…
リコ達と…
仲直りしてほしいんだ…
けんかはダメだよ…
一緒に冒険に行くんだから…
一緒に冒険に…
彼女はカートリッジに加工されても、リコ達と冒険に行きたいと想い続けていた。
そして、もはや残骸となったその身から二級遺物『命を響く石(ユアワース)』が排出された。
彼女のリコ達を想う心が、リコの命の紋が適合したのである。
そうしてリコは六人目の白笛となり、プルシュカはその相棒兼『白笛』として、六層以降への道を共にするのだった———。
※ここから先単行本6巻以降の内容を含む
「あたしを呼んで」
『命を響く石』となったプルシュカは6層内の『成れ果て村』において石を加工するのが得意な住人により加工され、はっきりと笛の形になった(白笛は石の状態だと不完全なものであったため、ある意味リコはここで初めて『白笛』になったと言える)。
関係者からは「石の者」と呼ばれ一貫して人間扱いされており、
リコもまた加工して楽器にしたことを機にプルシュカの存在をはっきりと認識できるようになった。ピンチの際には「あたしを呼んで」とプルシュカが告げたのを感じたこともあった為、どうやら意識は残っているようである。
またレグも、笛の音を通じてプルシュカの存在を感じている。
さらに余談
上記の通りその壮絶な人生に衝撃を受ける読者は多く、ボンドルドの非道さに拍車をかけていたと言えるだろう。
またボンドルドはお金持ちである為、彼女の双眼鏡といった私物はそこそこ良い物であったり、世間知らずな所からお嬢様育ちであり、その生き様から誰が呼んだか「箱入り娘」