「約束のためなら…
ファプタはすべてをささぐそす…」
概要
CV:久野美咲
アビスは深界6層「還らずの都」にある【成れ果て村(イルぶる)】近くに生息する謎の生物。
褐色の肌に金色の瞳、外向きにはねた羽のような頭髪と耳を持つ。頭のティアラをつけるような位置には紅玉状の角がある。
顔立ちや全体的な体形はヒトの子供に近いが、鋭い爪の生えた腕は四本あり、その腕や下半身は白い羽毛に覆われているほか、腰からは九尾の狐のように5本の尻尾状のフサフサが生えており、真後ろから見ると不屈の花トコシエコウのように見える。
腕に生えた鋭い3本の爪は戦闘以外にも指のように精密作業を行える器用さを持ち併せており、感覚器官が集中した第4の爪を隠している、劇中では第4の爪を用いてレグの体液から同一個体の割り出しや温度変化などの検知を行う描写がある。
一見するとハーピィのような鳥系の獣人にも見えるが、すらりと細身に直立したり、脚先が絡みつくような形に変形していたり、尻尾(?)が膨張して全身を覆い毛玉のような姿になったりと、場面によってまるで不定形かのように姿を変えている。
自身の排泄物と6層固有の鉱物を混ぜてファプタのりなる接着剤を生成する、接着以外に文字を書く際の塗料やマーキングなど用途は多岐にわたる、生成時に鉱物が無い場合は自身の血液で代用できる(10巻裏表紙に記載あり)。
顔立ちは母親の面影を色濃く受け継いでいるようだが、口の中には歯列の分化がない牙がずらりと並ぶため、口を開けると猛獣のよう。
瞳も普段はつぶらで大きく可愛らしい印象だが、興奮状態になると極端に収縮して恐ろしげな目付きになる。
イルぶる語と公用語の両方で言語コミュニケーションが取れるなど知能は高いが、記憶喪失のレグが本人なのか味で確かめたり甘噛みして甘えたりと、行動原理には動物味の強い独特な部分もある。
性格は猛獣のように獰猛かつ誇り高いが、年頃の少女らしい素直さや好奇心の旺盛さ、姫と呼ばれるに足る気品、重々しい口上を宣う感性なども持ち合わせている。
性別はおそらく雌。女性キャラでは極めて珍しいでべそである。
イルぶるの人々からは「成れ果ての姫」と呼ばれ崇拝の対象とされているが、本人はとある事情から村人全員を心底憎んでいる。その憎しみを晴らすためイルぶるの殲滅を企んでいるものの、なんらかの事情で村内に侵入する事は出来ずにいるようだ。
記憶を失う以前のレグの事を知っており、何らかの関わりがあったことが示唆されている。
語尾に「そす」と付くのが口癖で、ファンの間では「そす子」の愛称で親しまれている。
同じく成れ果ての肉体を持つナナチ同様、身体は芳しい匂いがするらしく、お尻のいい香りが自慢。ガブールンとの初邂逅時にはお尻を擦り付けて匂いをつけているような行動が見られた。
リコ曰く「お日様とふかしたお芋」の香りがするらしい。
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以下、重要なネタバレ
実はイルミューイが『欲望の揺籃』を使い、村の外に産みおとした彼女の最後の娘。
名前は村から離れた後に出会った干渉器の1体につけてもらったもので、「ファウ」は尊い娘、「アプタ」は不滅のもの、二つを合わせて「果てぬ姫君」という意味が込められている。
そして彼女はその干渉器に「ガブールン」という名前を与えた。
育ての親として大切に世話してくれていたガブールンがリュウサザイに攻撃されたことで大きく損傷してしまって泣いていたところを、記憶を失う前のレグと邂逅している。最初は警戒していた彼女であったが次第に彼に懐き、初めての友人兼初恋の相手として心から慕う様になった。
この頃「そす」と語尾につけると上品な言葉になると教わり、「〇〇そす」と喋るのが癖になった(言わばアビス式の「ですます調」)。そして、ある「約束」を結んだレグを送り出し、その帰還を辛抱強く待っていた。
レグが深界6層に帰還したのを感知すると、人間の形を失い村と化した母の魂の解放と、生まれてすぐ死んだり殺されて食べられてしまったりして天寿を全うできなかった多くの兄姉達の無念や怨念を晴らし、彼等の仇であるイルぶるの者達に復讐するという使命を果たすべく自身も村に姿を現す。しかし肝心のレグは「約束」どころかファプタの事すら忘れてしまっていた。
前述の通り村内に入る事が叶わなかったが、レグが火葬砲によって入口を破壊した事で侵入を果たし、兄姉達の助力をもって村人達への復讐を決行。しかしベラフから贈り物として生命と共に捧げられた「記憶」によって、母が必ずしも孤独で不幸ではなかった事を知ったファプタは存在意義が揺らぎ始め、自分との記憶を失ったレグの事もあり自暴自棄に陥る。更に、混乱に乗じて村に侵入してきたリュウサザイに自身も攻撃を受けた上に目の前でガブールンを破壊されてしまい、心身共に満身創痍となってしまう。
その際、母を食い物にした仇敵であり自身からの攻撃で傷付いたはずの村人達から文字通りの【献身】を受け回復した事や、ベラフからの「記憶」により母の知らない一面を知った事で「自分にはまだまだ知らない事が沢山あり、与えられた『役目』のみが自身の存在意義の全てではないのではないか」と考える様になり、自我に目覚める。そして村人達のほぼ全てから捧げられた彼等の身体を食い力をつけ、遂に母の魂を解放するという本懐を遂げた。
全てが終わった後、村の護りが無くなった影響で第6層の上昇負荷を受け余命僅かとなった「祖母」ヴエロエルコとの邂逅を果たす。そして彼女から生前の母の様子を聞き届け、その最期を看取り遺体を埋葬、菩提を母のものと共に弔った。
当面の目的を失ったファプタを、レグは「共に旅に加わってほしい」と誘う。最初は「約束」を思い出せないレグと一緒になっても意味がないと拒むが、彼の渾身の言葉、そして「約束の内容は【思い出せず】とも結果として【果たしてくれた】」ことを受けてか、「考えておくそす」とそっけなくしつつ、リコ率いる探窟隊「リコさん隊」に加わった。
リコの事は当初はレグの自分との記憶を奪っただけでなく自身の使命の邪魔をする敵として激しく憎悪し、殺害しようとまでしたが、ガブールンに阻止される。全てが終わった後「レグが記憶を失っても尚優しい心のままなのはリコが側にいたお陰であり、ガブールンが阻止してくれたお陰で、彼女からもたらされる新しい経験を味わう事が出来た」という事に気がつき、彼女を赦し、旅を経るうちに彼女にも懐く様になった。
リコさん隊の中では驚異的な身体能力、治癒力に加えて、アビスの上昇負荷を受けない事や危機察知能力に優れている事から、レグと共に周囲の警備や戦闘を担当するようになった。他、アビス内に居る者の魂の構造を目視確認できる、相手がステルス能力をもつ原生生物であっても魂の位置を特定できるファプタの目を誤魔化すことはできない。敵対生物の匂いから捕食の可否を判別でき、可能であれば捕食を前提とした戦闘を仕掛ける、捕食可能と見定めた相手との戦闘時に皮膚や触腕などの部位を捕食し取り込むことで格上相手であっても確実にダメージを蓄積させる戦闘スタイルは「成れ果ての姫」の名に恥じない。時として数体に分裂し再結合する離れ業はヤタラマルをもってして「凄い!」と言わしめた。
また母親への憧憬からかスキンシップを非常に好む様で、心を許した相手にはその身体にしがみついたり絡み付いたりしている。母親の記憶を受け継いでいることもあり警戒時・威嚇時には「シャアアアアン!」と独特の奇声を発する。
誕生にアビスの遺物が関係しているという事実が関係しているのかは謎だが、命を響く石となった者達と意思疎通が出来る。その能力によって、石となったばかりで未完成のプルシュカの声を聞き、ガブールンと共に彼女を村まで連れて行き、本来のあるべき姿(笛)となるきっかけを作った。またこの能力はプルシュカ以外の笛にも有効でライザの形見である笛と会話しメッセージを受け取るなどある種の翻訳とも言える活躍を見せる(現状この能力を持つのはファプタのみ)。
加入以降のファプタは毛玉になったり液体になったりと、とても愛らしい姿にデフォルメされがちである。
ちなみに61話にて…
リコ「ファプタのおまた 穴いっこだ!」 もしかして…単孔目
なお、復活後は髪が伸び、金色のメッシュが入っている。