レグ
れぐ
探窟家見習いのリコにアビスの中で機能停止している所を拾われた少年型ロボット。
記憶を失っており、名前はおろか自身がロボットである事すら覚えておらず「レグ」という名前はリコが昔飼っていた犬の名前から名付けられた。
ロボットであるがゆえ、アビスの呪いたる「上昇負荷」を一切受けない。
自分が何者なのかを知る為にリコと共にアビスの底を目指す。
顔や胴は劇中のヒトとさほど変わらない、褐色の短髪に金色の瞳の少年。リコらと比べるとやや肌が浅黒い。腹にはヘソもあり、自身でも「必要なのかね?」と訝っていた。
エルフ耳というほど極端ではないが耳の先が尖っているほか、左右の頬とわき腹あたりに赤褐色の四角い模様がある。
この模様が刺青やマーキングのようなものなのか、なんらかの機能を示すものなのかは不明。
ボンドルドによれば、胴体の中には人間そっくりに再現された臓器があるらしい。人間同様に食欲もあり、食事をとることもできるが必須のものかは不明。
表情も人間に負けず劣らず豊かで涙を流すこともできる。
呼吸もしており、乱されればせき込むこともあるが長時間無呼吸状態に陥っていたこともあり、これまた必須かは不明。
外見では、艶やかな金属で造られた四肢が目を引く。
ひじの辺りや指は銀色の蛇腹状で、前腕や脛の部分は頑丈そうな黒鉄色の円筒形になっている。この部分は鎧や外装を纏っているわけではなく、完全にレグの体の一部である。
掌や足の裏には丸いレンズ状のパーツがついているため、足跡が猫の肉球みたいになるという意外な特徴も。かわいい。
前線基地”イドフロント”の一件で大きく破損した際には断面から血液のようなものが流れていた。
メカメカしい外見に反して人間同様の痛覚があり、痛みのショックで気絶したこともある。
服装は少し奇抜で、下半身に特殊な模様の入ったゆったりとしたズボンを履く。上半身は裸のまま、上から金属製の大きな首輪とそこから垂れる赤色のマントを纏う。
短い角とレンズ状の表示窓がついたヘルメットも愛用しているが、これはレグの機能にリンクした「付属品」のようで、表示窓にはエネルギー残量を示すらしき紋様が浮かび上がる。
フィジカル面はとても強力だが、メンタル面では脆く、ビビリなうえに泣き虫。ロボットながら怪談の類が苦手で、お化けや霊が話題に出ると恐怖に震えながら否定する。
口癖は「度し難い」。他者の異様な言動、アビスの奇怪な事象に対して使われることが多く、しばしば自身も対象になる。稀に肯定的表現の強調にも使われる。
可愛らしい見た目に対し口調は大人びていて、性格は基本的に真面目。純粋無垢かつ素直であり、そのせいか簡単に騙されやすく、仲間のナナチから「ちょろい」と評されている。
ふわふわしたもの感触が好きらしく、女性の乳房と同じ感触を持つふわふわな遺物「姫乳房」やナナチの獣化した身体を気に入り、執拗に触ろうとする。
特にナナチに対してはかなり度し難い方向で興味を示しており、ナナチの身体を触るためだけに気配の消し方まで会得した。5巻カバー裏は必見。
性的な事には非常に多感かつウブで、抱きつかれた時、裸を見てしまった時、リコに尻に計り棒を入れられ自分の陰部を見られたと聞かされた時などは赤面して恥ずかしがっていた。(なお棒は中で折れた模様)
当のリコはレグを大切な仲間ではあるが種族がぜんぜん違う存在と見ているらしく、この辺りの関係がこじれたりした事はない。
記憶喪失前はライザと共にいた模様。
本人も時折、ライザと一緒だった時の記憶がフラッシュバックしている。彼の口癖、口調はライザと似通う部分が多く、それなりの期間行動を共にしていたのではないかと推察される。
六層で成れ果ての姫ファプタとは彼女の目的を果たすために何らかの約束をしたらしい。約束をした時系列は、現時点ではライザと会う前なのか、別れた後なのかは不明。
作品の都合上、基本的に図太くサバイバル精神たくましい登場人物が多い中、レグはどちらかと言えば読者寄りの価値観を持つ人物であり、そうした視点を作中に持ち込むキャラクターでもある。
基本性能
ロボットとしての製作者や技術体系などはまったく不明だが、レグ自身がアビス由来の遺物であるらしい。その高度かつ度し難い機能は、噂レベルでしか知られていない高レベルの遺物「奈落の至宝(オーバード)」級ではないかと評されている。
子供同然の体格でありながら、自重やリコの体を平然と支えて吊り上げる握力や腕力に加え身長の何倍も跳躍する瞬発力も併せ持つ。
その一方で体重は軽いため、大型の獣や大人相手の押し合い、引き合いになると振り回されてしまうこともある。
金属質な質感に似合わず手指も敏感で、(腕前はともかく)料理ができる程度には器用。
望遠鏡のような拡大視ができる視覚や遠くの囁き声も拾える聴覚、残された臭いで目標を追える嗅覚など五感も優秀だが、迂闊なところがあるので総合的な警戒能力はリコやナナチに一歩劣る。
味覚もちゃんと機能しており、相方のリコが料理上手なのもあってか意外と味の表現力が豊かで舌も肥えている。毒が効かないこともあり、未知の食材の毒見役を担うことも多い。
両腕は高速で射出でき、一掴みほどの太さのワイヤーで40m近く伸ばしている描写がある。
最大でどこまで伸びるのかは判らないが、ワイヤーは明らかにレグ自身の体積を超えた量が出ている。また引き千切ろうとしたオーゼンから「同じ空間にいくつも重ねて強度を得ている」と分析されているため、このワイヤー状の部分だけでも常識を超えた物体のようだ。
伸ばしたあとは高速で巻き取れるほか、レグの意思で生き物のように自在に動き、ムチのように振るったり、体の周囲を螺旋状に回転させクローラーのごとく壁面を高速で走ったりもできる。
触覚もあるらしく、深層でキャンプを張った際には周辺に網の目の如く腕を張り巡らせて警戒線にしていた。
また、イドフロントで片腕を切断された際に切断されたままでも感覚や動力はつながっていて、後述の必殺ビーム「火葬砲(インシネレーター)」の発射まで可能であることが判明。無限のワイヤーとともに、一般的な空間の概念を超越した構造を持っていることが示唆された。
後に六層で発見した黒笛の遺体から得た『万能の鍵開け(ジェントルノック)』を義手代わりに接合させ、再び両腕に戻っている。
つるりとした見た目の胴体部分も防御力は非常に高く、大抵の刃物では皮膚を破ることもできず、熱にも強い。内臓器官もかなり頑丈で焼けた石炭を食べさせられても、また万が一破られてもかなりの速度で治癒することができる。上昇負荷の影響を受けることがない体質を活かし、偵察に出ることも多い。
技術体系同様にロボットとしての動力源も不明だが前述のように食事や排尿はしている。
リコは「ご飯でも電気でも動く(一巻)」「電力(五巻)」と推測しているが、ボンドルドは「力を概念的に取り込んでいるのでは」と分析している。
本当の所は不明のままだが、ボンドルド説の通りなら、食物のカロリーを含めた「エネルギー」を生じ得るものを何でも動力源にしてしまえる可能性がある。
後述する火葬砲の補充には特に大きく消耗するようで、発射した時のみ残量計と思しきヘルメットのマークが減少していた。これを知ったナナチは「身体機能の消費が火葬砲よりはるかに小さく、メーターに反映できないため」と推測している。
4層までの冒険で消耗した分は5層の施設を賄う電力で補充されたのだが、あまり急激な充電は負荷がかかるようで、
↓一度に電力をかけすぎると暴走のような不具合を引き起こしていた
最初の記憶喪失もこれが原因かもしれないと見られている。
制御系統にも未解明な部分が多い。前述の過剰電力による暴走をレグ自身は「自分の中に複数の人格がある」ような状態だったとし、普段のレグの人格は残ったまま、身体の主導権だけを他の人格が握っていたようだとも言っている。
「火葬砲(インシネレーター)」
手のひらと足裏にあるレンズ状の部位から破壊光線を発射する。
当たった所に焼けたような痕跡が残るため「熱線」とも呼ばれるが、命中箇所は構造や強度の別なく即座に分解消滅していて、単純に高熱で融解や蒸発を引き起こしている訳ではない様子。
ボンドルドの装備している「枢機に還す光(スパラグモス)」同様にミーティーのような再生能力を持つ不死の存在にも回復不能なダメージを与えることができ、その破壊原理には不可解な部分が多い。
劇中では前腕が切断された状態でもリモート操作で発射できたため、制御やエネルギー供給にも謎が残る。
大出力で放てば光線の直径は数メートルに達するほか、発射口を基点にした火球を発生させて数十メートルを飲み込み、跡形も無く消失させることもできる。
リコと出会う切っ掛けとなった一射ではかなりの射程距離も見せ、化石木を何本も貫通させつつ狙った場所を射抜いていた。
人間の頭程度の細さに絞った光線を撃ったり、数メートル程度の範囲を付随被害なく球形に消し飛ばすことも可能。
破壊力の分消費も大きく、複数発分補給しようとすれば基地施設の電力を吸いつくしてしまうほど。
発射した十分後に二時間の昏睡状態になってしまうデメリットがあるが、十分以内であればエネルギー残量がある限り連発可能。
フィジカルが強い故か、大体原生生物などの危険なものと真っ先に接触させられることが多い。
そのため一方的にボコボコにされたり結構不憫な目に遭う。かわいそう
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