「弟子の不始末は、師が片付けねばなるまい」
概要
『Ghost of Tsushima』に登場するメインキャラの一人。英語表記は「Sensei Ishikawa」。フルネームは「石川定信(Sadanobu Ishikawa)」。
海外でもわざわざ「Sensei Ishikawa」と公式で呼ばれる人。
対馬五大武家が一つ、優秀な弓取り(アーチャー)を多く輩出してきた武家・長尾家でかつて弓術指南役を務めていた対馬随一の弓取り。矢一本で海賊の船を沈めたと噂されるほどの腕前の持ち主で、老境に差し掛かった今もその腕は衰えていない(若い頃は「次の長尾忠頼」と言われていた)。弓術のモットーは「一矢一殺」で、80m離れた場所から正確に矢を的に当てるなどといった芸当も難なくこなしている。
武芸のみならず、敵を確実に追い込む策を思いつく老獪さも持ち合わせている。
境井仁とは顔見知りであり、10年前に弟子入りを申し込んだ彼を門前払いしている。これは人に問題があったわけではなく、むしろ仁の弓の才を見抜いていたのだが、「将来有望」止まりであった仁に対して天才クラスの弟子候補が既にいたため。
身分・男女の差別が根強い時代には珍しく実力主義的で柔軟な考えの持ち主で、上記の天才も巴という百姓の娘である(こちらは「神童」と評していた)。一方で才能が無ければ弓を持たせる事は許さず、少しの才能では弟子とは認めない。
仁を門前払いした後は巴を弟子として鍛えていたが蒙古襲来の混乱の最中、彼女は出奔し行方をくらませてしまう。巴の行方を追うべく仁と協力する所から彼のストーリーが始まる。
得物は弓。ゲーム中でも的確に敵に矢を当ててくれるなど、噂通りの腕前を発揮してくれる。頼もしい戦力ではあるが反面近接戦闘にはめっぽう弱いという射撃キャラあるあるの弱点も抱えている。また盾持ちの敵に対してはほとんど無力となってしまうので、その時は積極的に支援しておこう。
Power Harassment of Tsushima
「太刀さばきを観察していたのだ」
上記の通り文武両道を往く、戦闘員としてはパーフェクトに近い人物だが人格面に問題があり人を人と思わない尊大な一面を持つ。自分の失態を素直に謝罪・反省しないし嘘の上塗りも日常茶飯事。挙句正論を言われると開き直ったり相手を捲し立てて威圧したり、逆に格言っぽい事を言って言い逃れするという典型的なパワハラ老人となってしまっている。
分かっているだけでも
- 勘違いだったとはいえ仁に弓矢を向けて脅しかかる
- 一度は門前払いした仁を巴が失踪した後に素知らぬ顔で弟子扱い
- 序盤の小茂田の戦いをサボる(しかもその惨状を 「見ずとも分かる」 と知ったかぶりしている)
- 仁に断崖絶壁を登らせて自分は緩やかな坂を歩いて登る
- 実戦稽古と称していきなり蒙古と戦わせる(とはいえ当時は戦の真最中であった為じっくり稽古している余裕はなかったのもある)
- 蒙古兵の詰所に仁を誘導させておいて自分は一切援護せず高みの見物(曰く「太刀捌きを観察していた」で、その事を仁に「何故いると分かっていても伝えなかったのか」「これは戦だと忘れているのか」と責められても 「この程度で死ぬなら巴には勝てない」「戦を説かれる筋合いはない」 と開き直っている)
- 故郷である日吉の村を救うと言っておきながら日吉の村人を犠牲にして巴を殺す作戦を立案(仁に「これでは巴と同じだ」と指摘されて後に撤回している)
- 無関係の百姓を偵察に利用して死なせた事を仁に咎められてもDD論を振りかざして開き直る
- 「おのれわしを愚弄するか!」と激昂した直後に「年寄りにあまり期待をするな」「年寄りに甘えるのは餓鬼のする事だぞ」と手の平返しをする
……などなど、そのパワハラっぷりのせいでプレイヤーからの評価は軒並み低い。「クズ先生」「パワハラ先生」「ナチュラルクズ」などの蔑称まで付けられてしまっている。
そのせいか仁は弓の腕前を信頼しつつも「あなたのせいで寝返ったのでは?」「あなたも同じ穴の貉だ」と酷評しており、また他の登場人物も弓の腕を評価しつつも異口同音に彼に辛辣な評価を下している。政子に至っては金田城攻略の際「独身のジジィが若い娘と同棲すんな(要約」と逆セクハラめいたことまで言う始末。そして巴に対する日常的なパワハラをほのめかす発言もしており、仁は「道理で巴に襲われる」と巴に同情しかけている。
とあるクエスト以降は仁との関係も歪み、仁は「博基の罪も償えず、巴の心も変えられず」と皮肉を言っている(ただし、これに続けて「しかし日吉の民を救ったのは確かだ」と彼を評価している)。
登場人物の中では安達政子と双璧を成すほど癖の強いキャラであるが、政子は一族を皆殺しにされ人生を狂わされてしまった悲痛な境遇にプレイヤーからは同情の声が上がる一方、石川に関してはそういった過去が無く上記のような問題も抱えているせいかそういった同情が寄せられる事はほぼない。
とはいえ
流石に年の功か自身の人格面の問題に自覚はあるようで、弓術を教える事に疑問を抱いていたり、「若い頃は傲慢で無情だった」と自嘲気味に述懐している(あまり心変わりはしていない様子だが)。
冥人として非道な戦法で蒙古を追い詰めていく仁にはかつて弟子であった長尾博基や巴、そして若い頃の自分とどこか重なる所があるからだろうか、ストーリーの最後には「約束しろ。わしと同じ轍を踏むなよ」と仁に忠告した上で正式に弟子と認めている。
巴に対しても師匠としての愛情を注いでおり、後々跡取りにしようとも考えていたが故に多少の悪事を見逃すなどむしろ甘すぎたフシが見られ、本編中でも未だに内心では割り切れていないような素振りを見せる。
蒙古軍との戦いが続くにつれて彼は鑓川の民や武士にも広く弓術を教えるようになり、また指南役を退いても巴に弓術を教えていた理由も後に「わしが再び弓を教える意味を知ってほしかった」と述懐し、巴が蒙古に寝返ったと悟った時は「わしの教えは水泡に帰した」と嘆き、また蒙古に寝返り自身の弓術を売り渡した巴についても「わしが死んだらお主が巴を殺してくれ」と仁に頼んでいる。
こうした行動の裏には自らが教えた弓術が失われる、あるいは悪用される事を心配しているという老成した彼なりの危機感があるのかもしれない。
余談
- このサイトによると、名前の由来は開発陣は「“いしかわ”という一般的な名前を採用。石川五右衛門と同名であり時代劇との親和性も高い為」としている。
- 英語版でも「Sensei Ishikawa」と敬称付けで呼ばれる。
- 石川ストック:彼の頭に矢を刺して一時的に保存するという遊び方。詳細はリンク先を参照。
- 個別クエスト第三幕で必ずコケる。ver1.20でも修正されていない。
関連イラスト
「先生、人違いですぞ!」
関連タグ
Ghost_of_Tsushima 武士 パワハラ 石川ストック
関連人物
主人公。蒙古と戦闘を続けながら石川と失踪した巴の行方を追う。石川は彼を門前払いしていたものの弓の才能を見抜いており、また最終的には弟子と認めている。
- 長尾博基(ながおひろのり)
かつて石川の弟子であった弓取り。彼の尊大な性格に影響されて長尾家に対し謀反を起こしたが鎮圧され死亡する。石川が長尾家の指南役を外された理由はこの乱によって師匠としての責任を問われた事から。
石川は長尾家の評判を守る為に敢えて彼を「賊と戦って死んだ」とし、自身が指南役を辞めた理由も「温泉に浸かって隠居する為」としていた(志村は「若い女(巴)と恋仲になって追い出されたから」と仁に語っていた)。
以下はストーリーの根幹に関わる重大なネタバレの為、閲覧は自己責任でお願いします。到達前であればブラウザバックを推奨します。
- 巴
かつて石川の弟子であった百姓の女。弓矢に天賦の才を持つ。蒙古襲来の混乱の最中、師匠である石川を裏切り蒙古に加担する。
蒙古軍に捕らえられた際に石川直伝の弓術を高く評価されて蒙古軍に取り入られ、兵に弓術を教える任に就く。しかし石川や仁に追い詰められるにつれて徐々に蒙古軍内部での巴の立場も悪くなっていき、最後には見捨てられてしまう。
最終クエストでは卯麦谷を襲おうとしている蒙古軍を撃退すべく石川や仁に協力を持ちかけ、共闘後は船で本土へと脱出して石川のストーリーは終了となる。