CV:古田信幸
舞台版キャスト:荒木健太朗
概要
幽遊白書の登場人物。フルネームは明かされておらず、「左京」が姓なのか、名前なのかははっきりしていない。愛煙家。
一人称は基本的に「私」だが、戸愚呂弟に自らの生い立ちを語った際は「俺」を使っていた。
垂金権造が主催していた闇のサロン・BBCの唯一の若年メンバーにして、暗黒武術界における戸愚呂チームのオーナーであり、大将である。年齢は(推定)36歳。
生粋のギャンブラーであり、特にアニメ版が顕著であるがギャンブラーや勝負師としての美学を貫いている。戸愚呂兄弟とは数年程度の付き合いとの事だが、特に弟の方とはそれなりの信頼関係を築いていたようである。
オールバックの長髪に整った顔立ちをしており、右目に傷がある。如何なる経緯で付いた傷かは不明。
なお、原作においては本編の十年前(戸愚呂兄弟と出会う前の26歳前後の頃)は短髪であったが、アニメ版では現在と同じ長髪姿であり、この時に霊界探偵時代の仙水忍と顔を合わせている。
また、後述の解剖に没頭していた頃は前髪を降ろしており、現在や26歳時とも異なる髪型であった。
生い立ち
家族構成は両親と4人兄弟であり、ごく一般的で平凡な家庭で暮らしていた。
後に兄弟の全員は公務員として社会生活を送っているが、彼だけが現在のような闇世界の人間になった。
アニメ版では彼が子供の頃の家族の光景がシルエット風で描かれており、父親と思しき人物は現在の左京と非常によく似た雰囲気をしていた。
一時は“血や臓物を見るのが好き”な時期があったらしく、動物や人間の解剖に没頭していたが数年で飽きてしまったとの事。
兄弟たちに関しては自分と違って、ちゃんとした生活を送っていることに安堵している様子。
後にギャンブルに明け暮れる日々を送り、その常勝不敗という実力と強運から莫大な富を得て闇世界で伸し上がった。
妖怪を利用したビジネスに関しては、少なくとも本編の十年前には手を染めていたが闇世界で名を挙げたのもこの前後の頃と思われる。
そんな半生を送ってきた彼は自嘲気味に“生まれついての破綻者”と語っている。
作中において
初登場は「霊界探偵編」における雪菜の救出のエピソードより。
BBCのメンバーの一人として登場。垂金との賭けの勝負では、垂金の目論見を悉く打ち破るかのごとく、メンバー中で唯一幽助と桑原の勝つ方に賭け続け、一人勝ち。
最後に行われた当時の日本の国家予算並の金額を賭けた大博打も勝利を収めた。
後に戸愚呂兄弟は本当は左京と雇用関係にあり、左京の“商品”であった雪菜を横流しした制裁として垂金を破滅へ追い込む事と、幽助達を暗黒武術会のゲストとして招くために派遣されていた事が判明した(この事実が判明した直後、垂金は左京の指示を受けた戸愚呂(弟)によって始末されている)
再登場となった「暗黒武術会編」では、卑劣な策で浦飯チームを追い詰める魔性使いチームのオーナーである豚尻を粛清し、アニメ版では六遊怪チームの大将戦で酎が提示した「ナイフエッジ・デスマッチ」を変則ルールとして認めなかった運営委員会に口添えし承諾させるなど、粋な計らいを見せている。
特に前者のアニメ版では、戸愚呂(弟)と共に原作に無い台詞と怒りを露わにしている。
実は前大会での優勝賞金と今大会の賞金を使い、人間界と魔界を繋ぐ「魔界の穴」を開通させ、妖怪達を大量出現させる事を目論んでおり、それが今回の暗黒武術会で優勝した時の望みであった。
この望みと左京の異常性を知った運営委員のメンバーによって抹殺されかけるが、戸愚呂兄弟(アニメ版では弟のみ)によって差し向けられた妖怪達諸共に返り討ちにした。
前述通り、これまで命をチップ代わりにした勝負を含め賭けで一度も負けた事のない彼だったが、浦飯チームの優勝により賭けの負けを潔く認め、闘技場ともども最期を迎えた。
原作とアニメ版では闘技場の自爆スイッチを押す状況が異なっており、後者では彼のギャンブラーとしての価値観が如実に表れた台詞を口にしている。
更にこのアニメ版でのオリジナルエピソードでは、彼が妖怪に追われていた桑原の姉・静流を二度に亘って助けた事をきっかけに僅かながらも心を通わせており、闘技場の崩落に巻き込まれる直前に形見として自身のイニシャル入りのライター(「S・N」表記)を彼女に遺している。
また、この直前にはコエンマとの会話シーンも描かれており、勝負のけじめ以外に大望を果たせなかった無念と共に、「戸愚呂の亡骸を跡形も無く消滅させる事が、自分に残された最後の仕事だ」と語っていた。
「どんな邪悪な妖怪でも、魔界と人間界を自由に通れる穴を維持出来たなら……この世の中、もっと混沌として面白くなっていたはずだったが……私の最大の夢も、この私の身体ごと吹っ飛ぶ――」
いずれもその野望を果たす事無くこの世を去った彼であるが、その魔界の穴を開通させるという意志は、生き延びていた戸愚呂(兄)を介して仙水忍に受け継がれる事に……。
この事から、幽助の魔族覚醒、魔界統一トーナメント開催(原作・アニメ版共通)、霊界を裏切った元霊界特防隊の隊長・大竹ら正聖神党による審判の門占拠事件といった、19巻までの一連の出来事のキッカケを作った人物とも言えなくもない。
だが、彼の夢は後に多少変わった形で実現することになる。
霊界側が結界を解いてしまったのである。(勿論、魔界と和睦し、次回トーナメントが開催される三年間だけと言う条件付きで)
彼の目論見に反し、魔界の妖怪は強い者ほど穏やかな気性の持ち主で、「邪悪な妖怪」はほとんどいなかったのである。(特に往年の雷禅とその旧友達が顕著であり、現状の魔界を好んでいた軀も“食糧”問題における主張では人間界側への配慮とも取れる発言をしていた他、野心家の黄泉も当初は三界の支配を目論んでいたが、トーナメントを通じて改心している)
多少皮肉な形ではあったが、彼の「(ある意味で)混沌とした面白い世界」と言う夢の通りになったとも言えるのかもしれない。
余談
戸愚呂(弟)が80%や100%の力を出していた時、周りの妖怪達がその強烈な妖気を浴び消滅したり魂を吸い取られていた中、左京は生身の人間でありながら一切影響を受けていなかった。
この事から彼自身も(自分を守れる結界を張れるぐらいの)霊能力を持っていた、または商売柄何らかの呪符や霊具を用いて妖気を防いでいたと推測される。
ちなみに中学時代の蔵馬の同級生に、常人よりも霊力の強い喜多嶋麻弥という人物がいたが、彼女には「元々持っていた霊能力が、強い妖怪(=蔵馬)と接してきた事で増大した」という事例があるため、
戸愚呂兄弟を始めとした多くの妖怪と接してきた左京も、このようなケースで戸愚呂(弟)の放つ妖気に耐えられるだけの霊能力を獲得していたとも考えられる。
なお、「前回の暗黒武術会は50年前に開催された」という誤解が連載当時だけでなく現在でも見られるが、上述の左京の発言からそれが誤りであることが分かる(前回も戸愚呂チームのオーナーとして参加し莫大な優勝賞金を手にしたこと、戸愚呂との付き合いが数年程度と語っていることから、前大会は数年前に開催された)。