概要
投手の役割分担において、主にクローザー(抑え投手)の前に投げる救援投手。中継ぎとも。
先発投手が降板した後、特定打者に対するワンポイント、負けが確定的な場面での敗戦処理など、先発投手や抑え投手に比べて地味な場面での起用が多く、イマイチ評価されにくいポジションである。
特に昭和の頃は先発完投主義が全盛であり、救援投手の価値は低く見られ、登板する投手も質の悪い選手ばかりであった。
が、クローザーの評価が高まるにつれてセットアッパーの価値も高まっていき、東京ヤクルトスワローズのロケットボーイズ、阪神タイガースのJFKなど売りの1つにする球団も現れた。特にJFKは全盛期には3人の登板時の勝率が8割を超えるほどの絶対的安定感を誇り、中継ぎを含めた試合終盤の投手起用を売りにするきっかけになったとも言われる。
令和初頭現在ではNPB全球団が「勝利の方程式」と呼ばれるセットアッパー・クローザーの布陣を揃えており、少なくともプロの世界では重要なポジションの1つと見なされている。
クローザーに対するセーブのように、セットアッパーにも個人記録としてホールドがある。
「自チームが3点以内の点差でリードしている状況で登板し、1イニング以上投げる。または、任意の点差でリードしている状況で登板し、3イニング以上投げる。この状態でかつ試合途中で降板する(セーブの条件を満たさない)」などの場合にホールドが記録されるが、試合速報などで発表されることがない地味な記録である。
なお、自身がリードを保つことが条件の1つなので、降板後に逆転されてもホールドは記録される。
一般には、一軍当確線上のセットアッパー・凡田夏之介を描いたマンガグラゼニ、さらにかつての読売ジャイアンツのエース上原浩治がボストン・レッドソックスのセットアッパーとして好成績を挙げたことで注目を浴びることになった(上原はその後クローザーに移り、2013年レッドソックス世界一に大きく貢献した)。