概要
カルバード共和国の首都イーディスに本社を構えるゴシップ誌『メルド』の記者。『クロスベル・タイムズ』のグレイス・リンとも面識があり、各地へ出張している。
優秀なジャーナリストでヨルムンガンド戦役でも最前線まで赴いて現地の取材に成功、フューリッツァ賞の受賞を検討されたが、辞退している。
人物
中東系である褐色の美青年で、情報屋としての側面を持つ。その仕事柄、裏世界の事情にも精通しており、一般には認知されていない身喰らう蛇やD∴G教団の存在も把握している。その情報網は遊撃士協会からも注目され、エレイン・オークレールを始めとした遊撃士達も世話になっている。
また、情報屋としての一線を守るスタンスや真摯な人柄でジュディス・ランスターとニナ・フェンリィと言った芸能界の花形スターとも面識を持ち、信頼されている。
ラングポートに拠点を構えるギャンブラーのジャックとは兄弟分の間柄で首都のベルモッティと合わせて情報屋同士、良い関係を築いていた。
そんなディンゴにとって特別なのが駆け出しの裏解決屋だったヴァン・アークライドと『タイレル通信』のマリエル・エーメである。ヴァンは情報屋として付き合う一方で弟分のように思い、エレインとの拗れた仲も心配していた。元々記者としてのディンゴを尊敬するマリエルは度々タイレル通信への移籍を迫っており、ディンゴにとっても良き記者の後輩であった。
ディンゴの依頼
が、ディンゴには後ろ暗い過去があった。それは七耀暦1208年の時点で黒月でさえも手を焼くマフィア『アルマータ』のボスジェラール・ダンテスとの因縁である。
当時、ディンゴはメッセルダムで情報屋も兼任しており、先代のボスであるエンリケの下で若頭をしていたジェラールとは付き合いがあった。そんな中でディンゴはジェラールがエンリケを追い落とす謀略に協力することになる。結果だけを言えば、その計画は成功。面倒見も良く、若手の信頼も篤かったジェラールがボスに就任するが、エンリケの関係者は親族も含めて悉くが皆殺しにされ、『アルマータ』は黒月だけでなく、教会や結社にさえ警戒されるほどの裏勢力になってしまった。
自らが『アルマータ』の拡大と暴走に加担したことを公開したディンゴは表の取材から手を引いて、裏の調査に力を入れるようになる。
その情報網と人脈は絶大で、ジェラールがD∴G教団の幹部でカルバード王家の末裔、更には裏でも名前があまり知られていない庭園に至るまでのアルマータの幹部クラス全員の詳しい経歴までも調べ上げており、マルセル・ニールセンが驚異的な洞察力を誇るとすれば、ディンゴは自らの人脈と足で真実に足を踏み入れたのである。
そして、ディンゴは勝負に出る。共和国北部のクレイユ村でアルマータの不穏な動きがあるという情報が入り、ちょうど収穫祭が行われている現地に観光客として入り込んだ。その夜……
「お供も連れずに一体何をしている……!?――――ジェラール・ダンテス!」
クレイユにはジェラールがいた。薄々自分を始末する罠である事も察していたディンゴは恐るべきものを見る。
バーゼルでキャラハン教授を利用して開発しようとした反応兵器、ジェラールはそれを得物の剣とシャードで強引に起爆させようとしていた。せめて村人達を避難させる時間を請うが、ジェラールは聞く耳を持たない。その狂気を改めて思い知ったディンゴは意を決し、ザイファと連動したカメラを構える。
「……俺では貴様を止められん。だったら”後”に繋げるだけだ……」
「煉獄に墜ちろ――――ジェラール・ダンテス……!!」
「いい度胸だ――――撮りきって逝け、ディンゴ・ブラッド!」
ディンゴの覚悟をある意味で認めたジェラールは反応兵器を起爆させ、ディンゴはその瞬間をシャッターでとらえる。反応兵器が起爆し、巻き込まれるその刹那にディンゴの脳裏をよぎったのは……
(ヴァン、マリエル……!)
弟分と後輩を想い、ディンゴはクレイユと運命を共にした。
ディンゴは一部始終を導力ネットのクラウドに保存、パスワードをヴァンに託していた。サーバーをCIDに抑えられていたため、ヴァンは止む無く共有を条件にパスワードを提供すると、遊撃士協会や警察、軍の上層部、更に黒月と結社を始めとした裏勢力にも拡散していった。
この映像を見たヴァン達はこのディンゴの依頼を引き受け、アルマータと決着をつける決意をする。その後、ディンゴの遺品であるカメラは運良く焼け残り、軍より先に現地入りした結社の破戒によって回収され、依頼料と共にヴァンに手渡された。