プロフィール
『おいおい、皆まで言わせんなよ。――その方が、面白そうだからに決まってるだろうが』
概要
《千の破戒者》と言う異名を持ち、結社《身喰らう蛇》の最高幹部である七人の蛇の使徒の第四柱を務める男。
顔の左半分に火傷のような跡があり灰色に変色しており、ド派手な青いコートを着込み、葉巻が好きでいつも口にくわえている。
自らを「オジサン」と称して飄飄とした振る舞いをする人物。
出自
かつては《結社》の敵対組織であった中世から続く暗殺組織《月光木馬團》の所属であったが、七耀暦1194年、《結社》との水面下での全面衝突で当時新興勢力であったにもかかわらず、《結社》の圧倒的な戦力差の前に総崩れとなり《木馬團》は壊滅。
その後軍門に下る形で、《結社》の《蛇の使徒》として《身喰らう蛇》に身を置く事になる。(この際同じく木馬團の構成員だった《黄金蝶》と《告死戦域》も引き抜かれ、《黄金蝶》はそのまま執行者のNo.Ⅲ、《告死線域》もしばらくの後No.Ⅸに加入する)
ただ、それ以前の経歴は今だ不明である。
人物
一言で表すなら外道、それも最悪に位置する程の。
人並みの倫理や良識を持ちながらも、ただ"面白い"という理由だけで場をかき乱し、最低最悪な方法で混沌へと導き愉しむ享楽主義者。
空の軌跡シリーズの黒幕であるワイスマンと勝るとも劣らない最悪な外道であり、黎の軌跡シリーズで起こった数々の事件の真の元凶。
《破戒》の名の通り、ルールや道理を破る過程の模索と実行に快楽を感じており、盟主より課された一線を守りつつ、それを踏み越えるギリギリをも愉しんでいる。(しかし同僚曰く、いつ踏み越えるかは時間の問題だのこと)
そして黎の軌跡Ⅱで判明したが、己の道楽のため《結社》を幾度となく離反と帰還を繰り返している。
かつて閃の軌跡Ⅳで同じ使徒である《蒼の深淵》が一時的に《結社》の敵に回っていたが、彼の今までの経歴や人間性から彼女よりも仲間内からも警戒されており、最悪なことが起こさせぬよう《執行者》といった実力者達が派遣されている。
以上、そして後述のことから、敵対組織と人物達からもかなり警戒及び激しい嫌悪の対象であり、《教会》からも外法中の外法とされている。
更に仲間内である《結社》のメンバー―――戦闘にしか興味のないヴァルターと古い付き合いのルクレツィアからも「外道」「最悪」「猛毒のオヤジ」と称されており、元同僚である親子ほど歳の離れ付き合いが良かったレンからも「最悪」「倫理のネジが外れている」と言いつつも、天才の自分でさえ彼の全貌を掴みきれていないと語っている。
しかし、本人はそんな侮辱を受けようが敵意を向けられようが全く意に介することはなく、むしろ自分が最悪の外道である事を自覚して且つそうした自分を楽しんでいる節がある。
更にあろうことか、研究のためなら犠牲も厭わないマッドサイエンティストの博士や《白面》以上に質が悪い根源のやる事は温いと語っている。
そんな彼だが他の《蛇の使徒》同様、《結社》の頂点である盟主に対して『あの方』と敬意を込めて呼び、忠誠を捧げている。彼が《結社》を完全に裏切らない理由は彼女の存在があるからだと考えられる。
実力
肉体もそれなりに鍛え、修羅場を幾度もくぐってはいるが、レーヴェやヴァルターのように武を極限まで極めた武人でもなければ、マクバーンやルクレツィアのような常識外れな異能を持っているわけではない。
彼が《破戒》として恐れられ危険視されている点の一つ、それは国際的に使用が禁止されているBC兵器(B=生物兵器 C=化学兵器)を運用していること。それを利用して敵対した数多の組織を同士討ちにさせ壊滅させてきた。
その効力は人間は勿論、人外である煉獄の悪魔をも瞬く間に蝕み腐食させるほどの危険物。
(現実では国際条約の規制にかかる兵器は「ABC兵器」だが、軌跡シリーズの世界ではA=核兵器(Atomic)の類はアルマータが使用した一回以外はまったく確立されていないため、国際条約でも「BC兵器」として規制されている)
更にもう一点、それは彼が《犯罪の天才》と称される程の頭脳。
自身をも駒として大いに利用するのは勿論、言葉巧みに相手を誘導し、BC兵器を利用した罠や脅迫、地形やその地にまつわる特性など、あらゆる状況を利用することで相手を自身の思い通りに動かし計画を進めることが可能。作中では天才のレンですら、彼の掌の上で踊らされていた。
そしてその気になれば、自分の射程範囲に入る集団―――例え自身よりも格上の実力者であろうと仕込んでいたBC兵器でいつでも始末することが可能であり、彼のテリトリーに入った者は生殺与奪の権を握られたも当然である。
事実、黎の軌跡シリーズでは、主人公のヴァンの活躍がなければ、敵味方関係なく本当に全滅していた。
活躍
初登場は空の軌跡the 3rdで声のみ登場。
同じ使徒であったワイスマンを『抜け目ない御仁』と評していたり、贔屓にしていたレーヴェが亡くなってすぐにワイスマンを滅ぼした別の男に興味を持っていた第二柱に呆れたりしていた。
碧の軌跡と閃の軌跡Ⅱでは《幻焔計画》にも参加していたようだが主にエレボニア帝国の西部で暗躍していたため登場はしなかった。(閃の軌跡Ⅱの主な舞台は帝国東部であったため、ちなみに碧の軌跡での話によると帝国でアリアンロードから任務を引き継いでおりこの際初めて彼の《破戒》と言う異名が明かされる)
閃の軌跡Ⅲにて前述の木馬團の元構成員だった事や《千の破戒者》と言う正式な異名が判明される。この時帝国での計画を妨害されないために、第三柱と共にアルテリア法国方面で暗躍していたとのこと。
そして黎の軌跡にて遂に本名と姿が公表、カルバード共和国で“ある計画”のために動き始める。
第5章でベルガルドと合流した《裏解決屋》の前に、ルクレツィアと共に姿を現す。
そしてそのまま、マフィア《アルマータ》が潜伏しているオラシオンへの出張を依頼する。理由はオラシオンに《遊撃士協会》以外のほとんどが裏世界の勢力ばかりが集い表裏のバランスが偏るため、《裏解決屋》を加えてより混沌とした状況にしたいという本人の享楽からきたものであった。
彼の態度に怒りを抱く《裏解決屋》の面々であったが、所長であるヴァンは依頼を受ける前に問うた。《結社》と《アルマータ》、もしくは《庭園》との関係性を。それに対して本人は隠すことなく告げた。
《庭園》は元々《結社》の関連組織であったこと。更に自分が――自身の元々所属していた《月光木馬團》の生き残りと、あろうことか10年前に壊滅した最低最悪の宗教団体――『D∴G教団』の残党達を合併させたこと。理由は当然、その方が面白そうだったから。
しかもその後本人は組織運営など全くせず、好きに庭を育てていいと構成員に告げ放置した。
結果、子供達を誘拐し暗殺者へと洗脳教育するという庭園独自のシステムが出来上がり、やがて組織の勢力も拡大し、黎の軌跡の黒幕であるジェラール・ダンテスと手を組み、共和国内で猛威を振るい多くの犠牲者が生まれてしまう結果となった。
その事に対して合併した張本人は、反省することもなければ罪悪感を抱くこともない。あるのはただ、自分の気まぐれで出来た組織が大きく成長し、ここまで大外れたことをやってのけたことに対する愉悦のみだった。
『……なんて、ことを……』
『貴様が、全ての……!』
『訂正するぜ、アンタは悪趣味じゃねぇ。"外道"――それも最悪の部類みたいだな』
当然《裏解決屋》メンバーの誰もが怒りを隠せず、このまま元凶の《破戒》と対峙しかねなかったが、それを何とか吞み込み、亡きディンゴの依頼を叶えるために《破戒》の依頼を引き受けることとなった。
オラシオンでの《謝肉祭》には、ルクレツィアとヴァルターを率いて参加。そこではなんと、舞台である地下遺跡にBC兵器を仕掛け、標的の《アルマータ》だけでなく参加した勢力諸共毒ガスで全滅させるという外道な手段を取ってきた。しかし、ヴァンの優れた嗅覚のおかげでその事実に気づき、味方側の場合はエルロイ本人だけ、敵側だったら実力行使と《破戒》の気まぐれで《結社》3人はリタイアすることになる。
もしもヴァンが気づけなかったら、また《謝肉祭》にヴァンが参加していなかったら………最悪な結末になっていたことは間違いない。
このことからもヴァンはかつて自分の車を破壊された嫌っていたヴァルターの方がはるかにマシに思える人間がいるとは思わなかったと言っていた。
ちなみに意外と金銭勘定がしっかりしており、謝肉祭で《身喰らう蛇》と共闘を選択した場合は支払う依頼料はヴァルターとルクレツィアの分をきちんと差し引いて来る。
《アルマータ》が壊滅し、無事カルバートで《革命記念祭》が開かれたが本人もちゃっかり参加し、本来なら敵同士であるルネとカシムと共に情報交換を行いながら飲んでいた………―――ヴァンの奢り(本人の了承なし)でラヴレー30年物のワインを(料金はルネが接待費として払っている)。
『つーわけで《灼飆》君と鬼畜眼鏡君もじゃんじゃん飲んでくれたまえっ。ゲーム優勝者のアークライド君が何杯でも奢ってくれるそうだからネ!』
『ってコラアアアアアッ!!?』
その後蘇った《アルマータ》が引き起こした汎魔化を防ぐために独自に行動。最終的にゲネシスタワーへ向かうヴァン達を進ませるため、大統領と共闘しタワーを守る柱の一本を破壊し道を切り開いた。
関連タグ
ルクレツィア・イスレ シャロン・クルーガー…同じく元月光木馬團時代の結社構成員、二人共執行者に所属する。(ただしシャロンは結社も脱退)
棘のメルキオル…月光木馬團時代の部下。後に敵対する。