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『英雄伝説VI 空の軌跡』(THE LEGEND OF HEROES VI "SORA NO KISEKI")は、日本ファルコムが制作・発売したRPGシリーズで、その後も舞台と主人公が変わって物語が進みロングランとなった『軌跡シリーズ』の第一作目である。
現在『英雄伝説 空の軌跡FC』・『英雄伝説 空の軌跡SC』・『英雄伝説 空の軌跡 the 3rd』がPC・PSPで発売されている。
概要
『英雄伝説』シリーズ第3期の1作目にあたり、先行する第1期『イセルハーサ編』・第2期『ガガーブトリロジー』とは世界設定を共有しない。導力器(オーブメント)と呼ばれる技術が発達した世界において、エレボニア帝国とカルバード共和国という2つの大国に挟まれたゼムリア大陸の小国・リベール王国を舞台とし、旅の中で遊撃士(ブレイサー)として成長していくエステルとヨシュアの様子を描いていく物語。
『ぐるみん』で参入を果たしたプレイステーション・ポータブル(PSP)への自社移植も行なわれている。
PSP版『FC』はWin版『SC』の後、PSP版『SC』はWin版『the 3rd』よりも後に発売されており、それぞれ先行するWin版の次作から戦闘ボイスなどの追加要素が加えられている(『FC』のヨシュアの戦闘ボイスは新規収録)。売上本数は、『空の軌跡』シリーズ累計で70万本以上となっている。
またPSP向けに発売されたシミュレーションRPG『ヴァンテージマスターポータブル』ではレアマスターとして本作のキャラクターが多数登場し、『SC』と『the 3rd』の間の時期に当たるエピソードが収録されている。また本作のキャラクターと〈イースシリーズ〉キャラクターによる対戦型格闘ゲーム『イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ』も発売されている。
『FC』
『英雄伝説VI 空の軌跡』のタイトルでWindows(Win)向けに2004年6月24日に発売された前編。
『SC』発売以降は『英雄伝説 空の軌跡FC』と販売タイトルが変更されている。(なお「FC」は「First Chapter」の略)
『英雄伝説』シリーズでは初となる3Dフィールドを採用しており、ボーカル付きの主題歌も投入した。パッケージイラストは椎名優が担当。
本作だけでは物語が完結せずに複数部構成になることが隠されたまま発売され、プレイヤーに驚きをもたらした。
『SC』
『英雄伝説 空の軌跡SC』のタイトルでWin向けに2006年3月9日に発売された後編。(「SC」は「Second Chapter」の略)
『英雄伝説』シリーズ初となる戦闘ボイスを採用し、初回特典として戦闘ボイスと同じ声優を起用したドラマCDが同梱された。パッケージイラストは前作に引き続き椎名優が担当。
PSP版はUMDゲームとしては初の2枚組として発売された。
『the 3rd』
『英雄伝説 空の軌跡 the 3rd』のタイトルでWin向けに2007年6月28日に発売。
『SC』の半年後を描いた後日譚であり、また次作『英雄伝説VII』への布石ともなっている。パッケージイラストの担当者がHACCANに変更された。
主人公を星杯騎士であるケビンに変更し、登場キャラクター達のその後や過去話などを断片的なエピソードとしてまとめる等、外伝的な作品となっている。
初版から Microsoft Windows Vista に対応した最初のファルコム作品(過去の作品のVista対応版は本作に先立ち発売されている)。
リメイク版
2024年8月27日、ニンテンドースイッチでフルリメイクされる事が発表された。
第一作の「the 1st(仮称)」は2025年発売予定。
さらに12月19日にてPlayStation5とSteamでも発売する事が公開された。
主な登場人物の紹介
エステル・ブライト
(CV:神田朱未)
『FC』・『SC』の主人公。七曜暦1186年8月7日生まれ。16歳(『FC』・『SC』)→17歳(『the 3rd』)。『FC』冒頭において準遊撃士となり、後に正遊撃士へと昇格する。天真爛漫な性格で、思い込んだら一直線の元気な少女。
ヨシュア・ブライト
(CV:斎賀みつき)
七曜暦1185年12月20日生まれ。16歳(『FC』・『SC』)→17歳(『the 3rd』)。『FC』時点より5年前にブライト家の養子となったエステルの義弟。『FC』冒頭において準遊撃士となり、後に正遊撃士へと昇格する。
シェラザード・ハーヴェイ
(CV:塩山由佳)
七曜暦1179年5月14日生まれ。23歳(『FC』・『SC』)→24歳(『the 3rd』)。「《銀閃》(ぎんせん)のシェラザード」の異名を持つランクC(『SC』ではランクBに昇格)の女遊撃士。鞭の使い手だが併行してアーツも駆使する攻撃を得意とするタイプ。
オリビエ・レンハイム
(CV:子安武人)
25歳(『FC』・『SC』)→26歳(『the 3rd』)。七曜暦1177年4月1日生まれ。リベールの北にあるエレボニア帝国からやってきた謎の男。得意攻撃は導力銃とアーツなので、射程に捕らわれない戦い方が可能。オーブメントの属性は「幻」。オーブメントのラインが一直線で属性限定のスロットが一つしかないため、強力なアーツを組みやすい。
ティータ・ラッセル
(CV:今野宏美)
12歳(『FC』・『SC』)→13歳(『the 3rd』)。世界的に有名な導力学者A・ラッセル博士の孫娘であり、ツァイス中央工房の見習い技師。健気な性格で、周囲の誰からも可愛がられている。両親は技術者で、国外へのオーブメント技術指導のために殆ど家にはいない。博士の影響か、機械をいじり始めると周囲が見えなくなるほど没頭してしまう事もしばしば。
アガット・クロスナー
(CV:近藤孝行)
24歳(『FC』・『SC』)→25歳(『the 3rd』)。「《重剣》(じゅうけん)のアガット」の異名を持つランクC(『SC』ではBに昇格)遊撃士。二つ名の示す通り巨大な重剣を武器としており、直接攻撃を中心としながらアーツは補助に使うという戦闘スタイル。巨大な剣を操り、それを振り回す膂力と驚異的なスタミナを持つ。
クローゼ・リンツ
(CV:皆口裕子)
10月11日生まれの16歳(『FC』・『SC』)→17歳(『the 3rd』)。ジェニス王立学園に通う女学生で細身の剣(レイピア)による剣技とアーツが得意。オーブメントの属性が「水」である事とラインが一直線である事からヒーリング系のアーツが組み易い。
ジン・ヴァセック
(CV:稲田徹)
30歳(『FC』・『SC』)→31歳(『the 3rd』)。「《不動》のジン」の異名を持つA級正遊撃士(本人曰く「下の方」)。リベールの東にあるカルバード共和国出身。その巨漢と気さくな性格から、エステル達からは頼れる兄貴分といった存在。「泰斗流」という流派の武術家であり、東方の神秘「氣」を自在に操り、己の肉体を武器と化す。
ケビン・グラハム
(CV:中尾良平)
『SC』から登場するキャラクターで『the 3rd』では主人公となる。21歳(『SC』)→22歳(『the 3rd』)。関西弁を喋る。武器はボウガン。オーブメントの属性は「時」。クラフトは味方を援助するスキルが多い。七耀教会の巡回神父として登場したが、SC第3話で星杯騎士団に所属している事及び《輝く環》の調査の為にリベールに来た事をエステル達に明かした。ただし本当はそれ以外に使命を帯びている事が後に判明し、更に終盤で真の役職が、続く3rdでは意外な戦闘力や過去が判明している。
リース・アルジェント
(CV:桑島法子)
『the 3rd』から登場するキャラクター。ケビンの幼馴染。18歳。ルフィナ・アルジェントという姉がいたが、ケビンが今のようになった原因である事件で亡くなっている(事件の元凶そのものはケビンが抹殺済み)。七耀教会のシスターでありながら、星杯騎士団の従騎士でもある。武器は伸縮自在の法剣(テンプルソード)。オーブメントの属性は「幻」で、また祈りを捧げる事により戦乙女を召喚する力を持つ。
エリカやアネラスが絶賛する程の可愛い容貌を有しているが、それとは裏腹にぶっきらぼうな物言いをする。
他者の行動原理を察する能力に富んでおり、『the 3rd』の冒頭部でギルバートの人となりを言い当てた。また終盤ではそれによって敵の虚言とケビンの考え違いを見抜くに至った。
趣味は聖書を読む事と食べる事。特に食事に関しては所謂やせの大食いで、夜食として閉店近いパン屋の売れ残りを全て買い占め、その殆どを一人で平らげている。
カシウス・ブライト
(CV:岸野幸正)
エステルの父親。『FC』の時、45歳。気さくで明るい男。大陸全土に4人しかいない「S級遊撃士」の1人。リベール王国軍で《剣聖》と呼ばれるほどの剣の達人だったが、遊撃士になる時に棒術に切り替える。この棒術も「武の理に至った」と言われるほどの腕前。知略にも優れる。自らを暗殺しようとしたヨシュアを養子に迎えた。
ユリア・シュバルツ
(CV:小松由佳)
27歳(『FC』・『SC』)→28歳(『the 3rd』)。リベール王室親衛隊の中隊長。のちに大隊長。親衛隊所属艦アルセイユ号の指揮をとる。クローゼ(クローディア姫)の護衛・養育係も兼務し、レイピアのてほどきをした。
ミュラー・ヴァンダール
(CV:磯部弘)
28歳(『FC』・『SC』)→29歳(『the 3rd』)。エレボニア帝国の武の名門ヴァンダール家の出身。帝国軍人。大剣を片手で振り回す豪快な剣技を使う。オリビエとは幼馴染みで、彼の奇行には悩まされ続けているが、扱い方も心得ている。
レーヴェ(レオンハルト)
(CV:緑川光)
『FC』から、ヨシュアがずっと気にかけていた人物として、顔を隠し登場する。『SC』ではその正体と目的が明らかになる。《剣帝》と呼ばれる所以は、彼の凄まじいまでの剣技、想像を絶する強さにある。過去に故郷での悲劇を経て、大きなものに翻弄されがちな「人という存在」の可能性を確かめるために行動するようになる。
そのため《身喰らう蛇(ウロボロス)》に身を投じ、ワイスマンの計画に荷担することになるが、その行動には「悪」が感じられず、常に筋の通った強い信念があることが分かる。
ヨシュアの姉カリンと幼なじみ。年齢は不明だが20代後半ではないかと考えられる。
レン
(CV:西原久美子)
『SC』から登場。おしゃまでいたずら好きな少女。エア=レッテンでエステルと出会う。当時、11歳。その可憐な容姿とは裏腹に、結社《身喰らう蛇(ウロボロス)》の執行者の中でも上位の戦闘能力を持つ。身の丈ほどの大鎌を操り、魔法にも長け、更には巨大人形兵器パテル=マテルとの意志の疎通を可能としている。過去の凄絶な体験により心に深い闇を持つ。その過去については『3rd』で詳しく描かれている。結社では、自分を地獄のような場所から救い出してくれた《剣帝》レーヴェ(レオンハルト)やヨシュアによく懐いていた。
《殲滅天使》と呼ばれ、ワイスマンの計画に荷担し冷酷無比な活躍をしたが、エステルの真剣な愛情に触れ、心を揺り動かされる。類い希な環境適応能力でどんな人格も演じられる筈だが、人との繋がりを求める自分の心に素直になれず、戸惑うことも多い。
ゲオルク・ワイスマン
(CV:田中秀幸)
『FC』から登場。≪身食らう蛇≫の幹部、「蛇の使徒」が一人。『FC』では研究バカでお人よしの小心者貧乏考古学者・アルバを名乗ってエステル一行と度々接触していた。
七曜教会時代は心理学を学んでおり、その経験から備えた達人級の催眠術や話術で数多の事件を引き起こしている。
3rdにて、その過去が断片的に明かされた。
アネラス・エルフィード
(CV:大河内雅子)
『FC』から登場していたが、一緒に戦闘に参加するのは『SC』から。
ボース生まれのボースっ子、ボース支部所属の若手遊撃士。登場時18歳。シェラザードには準遊撃士の頃に世話になっており、遊撃士としてはエステルたちより少し先輩。
「可愛いもの」がとにかく好きで、特に「可愛く着飾った年下の女の子」に目がない。剣の修練や遊撃士としての修行に熱心で、めきめき強くなっている。真摯な一面もあれば、おおらかで何が起きても余裕を忘れない様子も見受けられる。
ジョゼット・カプア
(CV:庄司宇芽香)
16歳(『FC』・『SC』)→17歳(『the 3rd』)。空賊団「カプア一家」の一員として登場。空賊団のリーダー・豪快なドルンと、冷静なキールの2人を兄に持つ。一人称が「ボク」で、エステルからは「生意気ボクっ子」と呼ばれる。エステルを「ノーテンキ女」と呼び、常に喧嘩腰。ヨシュアに惹かれていく。実は領地を横取りされ没落したエレボニア帝国の貴族で、お家再興のため空賊稼業をしている。
アラン・リシャール
(CV:三浦祥朗)
『FC』から登場。当時、34歳。ルーアン地方生まれで士官学校を主席で卒業、カシウスの元部下。そののち、リベール王国軍情報部を率いる大佐となる。兵士、国民問わず評判が良かったが、大規模なクーデターを起こす。だがそれも愛する王国を守り周辺諸国に対抗するためだった。諸国の脅威が不安で、頼れる武器を探した挙げ句、《輝く環》に行きつく。
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