概要
『魔女の旅々』の登場人物。
主人公イレイナの母。本名はアニメ版の第10話で判明した。平和国ロベッタにて夫(CV:保村真)と共に魔導師をして生計を立てている。
イレイナに最初に魔法を教えた人物であり、フランに対して「イレイナの弟子受け入れ」と「イレイナの挫折体験」を依頼した。
イレイナが旅立つ際には三つの訓示
- 「危険な目に遭いそうなときは逃げること」
- 「自分が特別な人間だとは思わないこと。他の人と同じだということを忘れない」
- 「いつか必ず帰ってきて私達に元気な顔を見せること」
を示している。
2番目は誤解されがちだが「傲慢になるな。優越感に浸るな」という意味ではなく「なんでも解決できる万能のスーパーマンだと思うな」という意味であり1番目に付随する訓示である。
以下重要なネタバレがあるため注意
母の正体
その正体はイレイナが憧れた物語『ニケの冒険譚』の作者にして主人公である魔女ニケその人である(ニケはペンネーム)。魔女名はイレイナと同じ灰の魔女である。
作者曰くイレイナをして天才と言わしめたフランよりも実力は上らしいが、原作で魔法を用いた戦闘らしい戦闘や功績は描かれていないため、実際はどれ程の実力者なのかは未だにはっきりしていない。
『ニケの冒険譚』は世界的にもファンが多い名著であり、ニケが訪れたとされる場所は聖地としてファンが巡礼するほどだが、作者は旅を綴った本を5冊出版した後は音沙汰なしとなっており、どこの誰なのかも公にはされていない。(しかし作者は質問箱でニケの冒険譚を「世界的ベストセラーというわけではなく、知る人ぞ知る名作という感じ」と答えており、矛盾が生じている)
冒険譚の最終章でニケは弟子のフランとシーラを次代の魔女として育てあげ、自身は引退して田舎で普通の女性として生活するようになる。
これは引退して一介の魔導師として生活することを選んだ自分自身と、その弟子であるフランとシーラの2人を表している。つまり、フランに師事したイレイナと、シーラに師事したサヤとミナは、それぞれヴィクトリカの孫弟子にあたる存在なのである。
なお、イレイナも一見すると気付いていないかのように装っているが薄々勘付き始めている。
5巻のラストではフランから遠回しに指摘されるが
「私の師匠のことなんですけど、誰かに似てると思いません?」
「……さあ?そんな人、いくらでもいるんじゃないですか?」
「あなた、もう気付いているのでしょう。私に魔法を教えたのが誰なのか。あなたが憧れた魔女が誰なのか。もうとっくに––––ずっと前から、本当は察していたんじゃないですか?」
「……一体何のことやらわかりかねますね」
と、とぼけて曖昧な返事をしている。
これはイレイナの旅する理由が『ニケの冒険譚』の足跡や謎を追体験したり、その面影を感じる行為そのものにあるためであり、ひとえに「真実を完全に確認してしまったらそこで自分の旅が終わってしまうのではないか」という、サンタクロースの正体に気付きたくない子供のような心理によるものである。
なおニケ、もといヴィクトリカはイレイナに負けず劣らず自信家で、金に汚く、行動力や決断力に溢れており、計算高い反面大雑把で自由奔放な人物であった。
このためフランは「イレイナとそっくり」と評している。
娘に厳しい試練を与える反面、イレイナが実験の失敗によって乱暴されかけたことを知った際はその犯人をこの世から葬ろうとしたり(ただし既にフランの手によって葬られていた)イレイナが旅立った後もフランと交流して娘の心配をしたりと、娘のことをとても大切に思っている。
イレイナ出立後もたまに便りが届いているようで、イレイナから彼女が昔書いた恥ずかしい内容の本(物語の国の話)が届き、取り乱す一面も。
また、かつてニケとして弟子達を引き連れて世界中を行脚する姿は、フランの回想やイレイナの物語の前座または補遺をする形でしばしば登場する。
アニメで描写された限りでは旅をしていた頃の容姿は(ある一部を除いて)装いも含めて娘そっくりであるが、(演じる声優も)が異なる人物として描かれている。
生い立ち
孤児であった彼女は平和国ロベッタの孤児院で育てられた。8歳の時に魔法使いの素質があることが分かり孤児院の先生から最低限の魔法を教えられる。その後周りの子が引き取られていくうちに外への憧れが強くなり魔法の力を用いて不法な手段でロベッタを出国した。
出国後、路銀が尽き騙される形で違法な商売に手を染めることとなり、捕まりそうになったところで白の魔女に助けられる。彼女に師事し、15歳で魔女見習い試験に合格し、18歳で灰の魔女として認められる。
その後、ニケの冒険譚のとおり、長い旅をした彼女は、旅の終わりに平和国ロベッタに不法出国の罰金を支払うため、帰郷することになる。
彼女の人生の目的は彼女のなりの普通を追い求めることであった。現在の生活こそ彼女が求めていた普通であったと思われる。
余談
アニメの1話目では母とニケを繋げて考えるに足る描写はなく、あくまで一介の主婦として描かれていたが、一部の界隈では天才主人公(CV:本渡楓)の母の声が伊藤静ということでママ最強説が囁かれていたという。
不思議な偶然ですね師匠。