「俺…ピアノ…弾いていいんだ…!」
概要
人物
主人公。1人称は「俺」。髪色は黄色で星のようなヘアスタイル。私服はズボンの裾をまくった少年らしい着こなしが多い。昔おぼれかけたことがあり海が苦手。
12月21日に天才ピアニスト・音上楽音の7つ子の1人として生まれる。次兄・音上レイジロウを含めた他の兄弟達とは、「きらきら星」を遊びで弾き合う等と良好な関係だった。しかし他の兄弟達と違い、ピアノの才能に恵まれなかった(=「ファンタジー」を発する能力が低かった)「凡才」であることを理由に、父から虐待されたあげく見放され、両親の離婚の際には自身の親権は母・蝶調に譲られ、以降は母子家庭で育つ。
しかし離婚して間もなく母が難病により入院生活を送る事となる。それ以降は母方の叔母の家に居座る事となるが、叔母や従兄弟からは父との一件から厄介者と見なされ虐げられながら暮らしており、ピアノを弾くことにも引け目を感じていた。そのため、中学卒業後は働くことを考えていたが、意識を取り戻した母の言葉により自身も自力でピアニストを目指す事を決意し、そして名門・四分谷音楽高校への入学を勝ち取った。
母の余命を知った後は、彼女が死ぬ前に「ピアニストになって、キョウダイ7人でピアノを弾いてる姿をもう一度見せる」ことを目標にしている。
性格は一言でいえば素直で優しい。対戦相手であっても困っているなら助けてあげたいと考えるお人よし気質ともいえる。家族に対する情も強く、母親やキョウダイをとても大切に思っている。
一方で芯の強い所もあり、母に発破をかけられて以降は才能のなさにも挫けず真っ直ぐにピアニストを目指している。また前述の通り悲惨な境遇に生まれ育ったが、マイペースさを保つことができるほど強い精神力を持つ。
また、VSファンタ編では、「俺、人間になれた気がする」と妙な事を言って少々表情に変化が現れているが、真意は不明。これは彼の新たな力なのかもしれない。しかし、もしかするとこちらの可能性も。
演奏スタイル
ラッキーの演奏は「映像体験的な音楽」。ピアノを弾くと現実を再現した世界に聴き手を引き込み、その中で視覚のみならず触覚や味覚を伴った体験をさせることができる(例えばココアを飲む、頭を撫でてもらう等)。音上家のピアニスト達の「映像的な音楽」(この世のどこにもないもの=ファンタジーを見せてくれる音楽)と対照的になっている。
ファンタジーを出せない故に自分が見聞きしたものを活かすしかない+母親の病室で1音1音小さいボリュームで丁寧に演奏していたからこそ得た能力である。
発動条件は①曲の本質を思い②誰かを③どこかへ連れて行こうとすること。最初はpppppp(とても弱い)音のため耳の良い人しか演奏に入り込めなかったが、p(弱さ)を1つずつ克服しその演奏は進化していく。
演奏楽曲一覧
※リンク先は公式twitterによるオススメ動画
『きらきら星変奏曲』(モーツァルト)
『亡き王女のためのパヴァーヌ』(ラヴェル)
『歓喜の歌』(ベートーヴェン)
『家路』(ドヴォルザーク)
対人関係
家族
生みの母親。父親に否定されたピアノを認めて褒めてくれた唯一の理解者だった。基本的に精神力の強いラッキーだが彼女のことになると動揺しがち。
7つ子の次男で、ラッキーにとっては兄の1人。昔は寂しがりで何をするにもラッキーにひっついていた。再会早々で敵意を向けられて宣戦布告を受けるも後に和解。自身の才能を使ってラッキーを守ると宣言した。ちなみに寂しがりは今も継続中で数分おきにラッキーへSNSでメッセージを飛ばしている。
7つ子の長女。自由奔放で幼い頃から危なっかしい行動をとることもしばしば。その度に注意してくるラッキーの事も少々嫌っていた。成長してからも自分の野望を止めようとするラッキーと最初は敵対するが後に和解。同じキョウダイとしてラッキーに寄り添うようになった。
父親。昔からラッキーの演奏を否定し手をあげていた。現在もファンタジーに乏しい演奏をして、他の子どもを懐柔するラッキーの事が気に食わないようで「あの子供」と呼んで嫌っている。
友人他
四分谷音楽高校で出会った少女で、ラッキーにとっては初めての友達にあたる。当初はラッキーを敵視していたが、後に和解し親交関係を築いている。
ラッキーの指導者。入試の時の演奏を聴いて彼の才能を見抜いた。ラッキーを順調に成長させている一方で、いつか彼の力が自分の手に負えなくなるのではと若干危惧している。
余談
誕生日
作者によると、彼を含む7つ子の誕生日を12月21日にしたのにはちゃんとした意味があるらしく、その日の誕生花「プラタナス」には「天才」という花言葉が存在していて、ラッキー以外の兄弟達を意味しているとも言える。惜しくもラッキーにはプラタナスの花言葉に当てはまっているとは言い難く、代わりにもう一つの誕生花である「スペアミント」の花言葉は「温かい心」であり母親や兄弟たちを想うラッキーはこちらに当てはまっていると思われる。
音階における「ラ」
西洋音楽では、全音階の中で、ドを主音とする長音階(ドレミファソラシ)とラを主音とする短音階(ラシドレミファソラ)が基本となる。
音楽業界でよく使われるドイツ音名では「A(アー)」。「ドレミファソラシ」はイタリア式音名。ドイツ音名では「C(ツェー)D(デー)E(エー)F(エフ)G(ゲー)A(アー)H(ハー)」。
日本音名では「イ」。日本音名が「イ」なのでラを主音とする長調は「イ長調」、ラを主音とする短調は「イ短調」となる。イ長調には♯が3つ付く。作中で出てきた曲だと、イ長調は「喜びの島」、イ短調は「エリーゼのために」などがある。
音名が示す音の高さは、一般的には中央オクターブの「ラ」の音が基準となる。これは440Hzであり、オーケストラが音を調律する時の基準音でもある(実際の楽器のチューニングでは441Hzなど少しずらすこともある)。
ラを含む三和音は、ハ長調だとⅡの短三和音(レ・ファ・ラ)、Ⅳの長三和音(ファ・ラ・ド)、Ⅵの短三和音(ラ・ド・ミ)。イ短調だとⅠの短三和音(ラ・ド・ミ)、Ⅳの短三和音(レ・ファ・ラ)、Ⅵの長三和音(ファ・ラ・ド)。
隣接するソ・シとは基本的に不協和音となるが、間に他の音が入ることにより和音となりうる。ハ長調なら半減七の和音(シ・レ・ファ・ラ)など。