概要
双翅目(ハエ目)ガガンボ科の昆虫。完全変態なので、幼虫→サナギ→成虫と変化する。
世界中に生息するとても身近な虫であり、市街地やちょっと古いマンションの階段などで見かけることも多いはず。
脚が極端に細長い見た目はカゲロウか蚊のようなビジュアルをしているが、カゲロウはカゲロウ目なのでかなり遠縁で、蚊は同じハエ目糸角亜目だがカ科に属す。
名前
名前の由来は「蚊母」から転じたもので、漢字にすると「大蚊」となる。
また、地方によってはカトンボ、ショウジハリ、カゲロウとも呼ばれている。
長足の羽虫であることから鳥類の鶴に連想し、正式の英語名は「crane fly」(鶴蠅)と呼ばれる。
イギリス英語だと「daddy-longlegs」(あしながおじさん)と表現される事もある。
児童文学の方の『あしながおじさん』(Daddy-Long-Legs)はザトウムシのアメリカ英語での呼び名に由来するので関係ないが。
生態など
見た目のインパクトに反してとかくクソザコな虫。
蚊と異なりオスもメスも主な食料は花の蜜なので、成虫が人に直接害を与える事はない。
それどころかちょっと振り払っただけで瀕死に陥る程のダメージを受け、細長い脚や羽根はちょっとした衝撃ですぐにもげる。殺虫剤に至っては、噴射圧が強いと薬が効くより前にスプレーの風圧でバラバラになって死ぬ。
寿命も約10日程で尽きるという短さなのだが、その見た目が災いして哀れまれる事すらない。
ガガンボが一体何をしたのだろう?
羽根があるので一応飛行はできるものの、空を飛ぶ姿ですらフラフラと危うい軌道な上にスピードも簡単に捕まえられてしまうレベルで遅いなど、どこまでも頼りない(極稀に飛行能力が強化された種類が存在するが……)。
幼虫時代は地中や水中で生活し、植物の根を主食にしている為、農家の方々からは害虫扱いされる事も。工場ではその成虫の脆い身体が異物混入の恐れがある。
一応、脚や羽根がもげやすいことで敵に襲われた際でも本体が無事に逃げおおせるためという説もあったりするが、こんなに貧弱ではうまく逃げても風前の灯火だろう。どうしてこうなった。
ここまで貧弱だとすぐ喰われてしまいそうだが、意外とそうでもない。
昆虫界においては基本的に「デカい=強い」なので、余程好戦的な種であったり、生態として「コイツはデカいが弱いので食える」と知っている種以外は視認しただけで逃げてしまうのだ。吹けば飛ぶようなクソザコでも命脈を繋いでこられたのはそのおかげ。