『STAY DREAM』(ステイ・ドリーム)は、長渕剛の9枚目のスタジオ・アルバム。11曲目に表題曲が収録されている。
1986年10月22日に東芝EMI/エキスプレスよりリリースされた。
== 解説 ==
長渕剛通算9枚目のオリジナルアルバム。ギター弾き語り(一部はピアノ)をメインに据えているが、全体を通してかなり暗いムードでアルバムは進行している。
後にベストアルバム『いつかの少年』(1994年)で本作を製作したときの心境を長渕は語っているが、「ほんとうに死にたかった」というコメントから見ても、荒んだ精神状態で製作していたと思われる。
自らも出演したテレビドラマ『親子ゲーム』(1986年、TBS系列)の主題歌である「SUPER STAR」が収録されているが、本作に収録されているのは別のバージョンである。
このアルバムを発表後、長渕は生ギター1本でのツアーをスタートさせる。会場の中心にセンターステージを設け、ワイヤレスマイクを使ったライブであった。
== エピソード ==
ツアーを途中で断念したこの当時、長渕は曲作りに行き詰っていた。何を書いても、どんな曲を作っても、自分で納得できないそんな状況が続いていた。行き詰ってどうしようもないとき、長渕は、尊敬し憧れている吉田拓郎に、どうしようもない自分の今の曲作りに行き詰っている現状を相談した。そのとき吉田から返ってきた言葉は意外なものであった。「長渕君、たかが曲だろ! そんなに真剣に考えてどうすんの?」というものだった。その時長渕は、「拓郎さん、あなたは魂の底から曲を作っていた第一人者じゃなかったんですか?」と反発する。しかし、結局は吉田にも裏切られた気持ちで、絶望の中、自殺まで考えた極限の状態から出来上がった曲が「STAY DREAM」である。
レコーディングはほとんど一発録りで行われた。
当時の自分の全てを吐き出すように作られ、長渕のターニングポイントとなったアルバムであるが、完成直後はさすがに生々しすぎる内容に、長渕自身はアルバムの良し悪しが客観的に判断できなかったという。そこで色々な人間にアルバムを聴かせ感想を求めたという。そのうちの一人、甲斐よしひろはオフィスの一室で、長渕と2人だけで終始無言でアルバム全曲を聴き、聴き終わった後もしばらく無言だったが、突然机を叩き、「剛、いいよこれ。頼むから出してくれよ」と呟いたという。
== 曲解説 ==
1.レース
2.だん・だん・だん - だんだんと人間が信用出来なくなる様を描いている。
3.風来坊 - フィクションではあるが、人間関係に完全に擦れてしまった女性の曲。
4.俺たちのキャスティング・ミス - 女性との破局を歌う曲。テレビドラマ『親子ゲーム』で劇伴音楽としてアレンジされている。
5.HELLO 悲しみよ! - 身の回りの人間が去っていく時の心情を歌い上げた曲。
6.少し気になったBREAKFAST
7.YOU CHANGED YOUR MIND - 本当に信頼していた人間に対しての惜別の曲。
8.わがまま・友情 DREAM & MONEY - お馴染みのバックコーラスである「MUGIFUMI」が初登場した曲。レゲエのリズムを取り入れている。
9.ひとりぼっちかい?
10.SUPER STAR - 15枚目のシングル曲。テレビドラマ『親子ゲーム』の主題歌。オリジナル・LP盤にはコピーとして『ヒット曲スーパースター収録』と書かれているが、瀬尾一三との共同アレンジでリリースされていたシングルバージョンとは、アレンジが全く異なっている。
11.STAY DREAM - ライブでは定番の曲である。後に瀬尾一三との共同アレンジで再度レコーディングし直され、また明治製菓(チョコバー「BODY」)のCMソングにライブバージョンが採用された。また、後年バラエティ番組『堂本兄弟』(フジテレビ)にて、弟分でもある哀川翔がこの曲をカバーした。
== 参加ミュージシャン ==
長渕剛 - アコースティックギター(1~3,5~10曲目)、ピアノ(4曲目)
浜田良美 - バックグラウンドボーカル(1,10曲目)
今泉正義 - ドラム(2,10曲目)
村上律 - ラップスティールギター(2曲目)
ジョーグループ - ストリングス(4曲目)
古川健二 - スライドギター(6曲目)
美久月千晴 - ベース(8曲目)
ペッカー - パーカッション(8曲目)
THE MUGIFUMI - バックグラウンドボーカル(8,10曲目)
笛吹利明 - アコースティックギター(10曲目)
土肥二朗 - バックグラウンドボーカル(10曲目)
山田秀俊 - ピアノ(11曲目)、シンセサイザー(11曲目)