概要
全高:17.8m
重量:49.6t
デザイン:天神英貴
巨大複合企業・VTXユニオンの「プロジェクトTND(Terrestrial Next Dream)」により開発された試作機。
クォーク・ドライブというエンジンを搭載しており、高出力とそれによる高い推力を誇り空戦性能に優れる。運用面では統合戦術支援機・キャリアクスとの連携を前提とし、携行困難な武装は同機から射出して使用する。
また、コクピット周りも整備されており、パイロットスーツ無しでも運用可能。
武装はビーム銃剣付きの2丁のビームガン「ビーム・ベイオネット」
中距離対応のビームライフル「マグナ・ビーム・ランチャー」
ランス機能搭載の遠距離対応のビームランチャー「メガ・バスター・ストライカー」。
本来は単座機だが、性能試験時にスペックを引き出せない事が判明したため複座機に改修され、特務三課運用時にはコ・パイロットとしてラミィ・アマサキが搭乗する。
キャリアクス
ティラネードとの連携を前提とした統合戦術支援機。ミーティングルーム等々も完備されている。
前述のマグナ・ビーム・ランチャーやメガ・バスター・ストライカーといった携行困難な武装は同機から射出して使用する。
機長兼操縦はヒロスケ・アマサキ、火器管制はメリル・スパンナ、索敵および機体管理はエイミス・アーネストがそれぞれ担当している。
人型と支援機による連携コンセプトで竹尾ゼネラルカンパニーのトライダーG7&トライダー・シャトルと共通点を持つが、実は彼らを参考にした事が明かされている。
ゲームのユニットとして
戦闘演出等々でキャリアクスは登場するが、実際の戦闘もパイロットとして登録されるのも最初に選んだ主人公のどちらか(サブにラミィ)となっている。
性能は装甲には難があるがそのかわり避けるという、まさにリアル系と言った趣がある。
また、全武器射撃兵装である為育成には困らない。最強武器が弾数、その手前がEN制なので、継戦能力も高い。武装の殆どがビーム兵器故に海地形の相手には苦戦を強いられるが、本作では海の存在するマップが指で数えるほどしかない上にその範囲がいずれもごく僅かの為そのようなデメリットはあまり気にならないだろう。
ちなみにサイゾウとサギリは全体的に能力が高いリアル系万能型のステータスで、特に回避がキリコと並んで1位とずば抜けて高く、ティラネードのスペックを十全に引き出せる。
ただし選ばれなかった方の主人公はゲシュペンストに搭乗する。
本作の同機は修理装置(条件を満たせば補給装置も)を持つそこそこ戦える支援機という立ち位置なのだが、脱力で敵を妨害できるサギリはともかく、バリバリの戦闘向きの精神コマンドしかないサイゾウが本機に乗る場合は、戦闘力もサポート力も中途半端になりがち。
関連タグ
サイゾウ・トキトウ:男主人公
サギリ・サクライ:女主人公
ラミィ・アマサキ:サブパイロット
ゲシュペンスト…特務一課によって開発された、ライバル的な位置づけの機体。スパロボVのヒュッケバイン&グルンガスト、スパロボXのサイバスターと同様のスペシャルオリジナル参戦枠でもある。
ちなみに量産型としてはゲシュペンストの方が圧倒的に上。堅実なマルチロール機である上に拡張性・汎用性ともズバ抜けており(Aの並行世界やOGシリーズでの実績がそれを物語る)、ティラネードが劣っているというより、ゲシュペンストがこの方面において突き抜けているのが実情である。
以下ちょっとしたネタバレ
実はトライダーG7とはもうひとつ共通点がある。
スパロボTでは明確に語られなかったが、トライダーG7は異星の科学者によって開発されたという設定がある。
そして、実はティラネードにも地球外のテクノロジーが使用されている。
クォーク・ドライブは元々、惑星ダーブネス出身であるラミィの亡き実父が開発したものであった。
量産試作機としての問題点
前述のとおり、ティラネードは連邦軍の次期量産機採用コンペンションに提出するための機体なのだが、量産前提の機体としてみた場合問題がありすぎるのが実情。
まず、アピールポイントになっているのは「キャリアクスとの連携戦闘」「クォーク・ドライブによる高出力」なのだが、この二つがそもそも「軍の運用する量産型機動兵器」として合致していない。
大火力の武器を携行できず支援機から投げ渡してもらうという戦い方は、そのまま運用にかかる手間や人員、費用の増加に繋がる上、仮に支援機を失った場合単独での戦闘力はほぼなくなってしまう。
もう一つの高出力についてもクォーク・ドライブという異星由来の技術に依拠したものであり、しかも持ち込んだ当人が軍事転用に否定的な姿勢を表明している。
ティラネードを量産するということはそのままクォーク・ドライブを量産することであり、それを欠けば機体スペックのほとんどをまともに発揮できないハリボテに成り下がってしまう。
後にダイマが勝手に量産したティランドも結局この「クォーク・ドライブに依存した設計」「最低限以上の武器を携行できない」という問題を解決できていない。
そもそもティラネード自体、サイゾウ/サギリの操縦技術を以てしても一人では乗りこなせないというピーキーさを抱えており、それを火器管制・出力制御を担当するコ・パイロットを追加することで解決した経緯があるが、クォーク・ドライブ搭載型として量産するならば当然量産型も二人乗りである必要に迫られる。
総論すれば、ティラネードの量産に当たっての問題点とは、
- 「支援機に依存した運用法」
- 「固有の動力源に依存した設計」
- 「パイロット単独で扱い切れないスペック」
の三つであり、これらを抱えている時点で量産化の道は果てしなく険しい。
ならば動力を換装すれば、と思いたくなるが、ティラネードの武装はクォーク・ドライブのハイパワーを攻撃力に転換するものであり、言い換えればクォーク・ドライブを搭載しないのならティラネードとしての長所はほぼ消えることになる。
そして、その「ハイパワーを攻撃力に転換する武装」を自力で携行できないためにキャリアクスとの連携がコンセプトとして盛り込まれたと思われるが、逆に言うとこれらに伴う問題点を解決した=支援機を要さず、動力源に依存せず、パイロット単独で扱える量産機となるとティラネードである必要がなくなる。(そもそも対抗馬のゲシュペンストがまさにそういう機体である)
これほどの問題を抱えたプロジェクトTNDがなぜ認可されたのかは不明だが、ダイマの意図を考えるとクォーク・ドライブ搭載機のデータ取りと、銀河統一計画の戦力拡充のためのテストとして稟議を通した可能性がある。
そのためなのか、完成型となるティラネード・レックスは量産試作機としてのコンセプトを放り投げた特務三課専用のワンオフ機として仕上げられ、VTXユニオンのフラグシップ機としての立ち位置が新たに与えられている。