概要
アメリカ合衆国とスウェーデンの関係（アメリカがっしゅうこくとスウェーデンのかんけい、英語：Sweden–United States relations、スウェーデン語：Relationer mellan Sverige och USA）は、アメリカ合衆国とスウェーデンの両国関係の事である。両国関係の歴史は1775年4月に発生したアメリカ独立戦争の時代に遡り、スウェーデンは1783年9月にパリ条約が締結される前にアメリカ合衆国を承認した最初の国である。公式には紛争に関与していなかったが、何千人ものスウェーデンの志願兵が独立を志向する愛国者の側に参加した。
両国の比較
| 国名 | 政体 | 現在の首脳 | 国土 | 人口 |
|---|---|---|---|---|
| アメリカ合衆国 | 大統領制 連邦共和国 | ジョー・バイデン | 962万9091平方キロメートル | 3億3189万3745人（2021年12月） |
| スウェーデン | 議院内閣制 立憲君主国 | マグダレナ・アンデション | 45万295平方キロメートル | 1048万7859人（2022年6月） |
歴史
初期
1818年4月に外交関係を樹立し、ジョナサン・ラッセルが最初の駐スウェーデン大使となった。1638年3月にスウェーデンはデラウェア川のほとりに最初の植民地であるニュー・スウェーデンを設立したが、1655年9月にこの地はオランダに征服されてその統治に服した。1783年4月にアメリカとスウェーデンはフランスのパリで友好通商条約を締結し、この条約で両国の通商関係が正式に確立された。1801年5月に発生した第1次バーバリア戦争でスウェーデンはアメリカと同盟関係になり、同戦争で両国はバーバリアの海賊と交戦して地中海での貿易の更なる混乱を防いだ。
関係悪化
1952年4月にタゲ・アーランダー首相がアメリカを訪問し、同国のハリー・トルーマン大統領と会談した。アーランダー首相はスウェーデンの首相としては、初めてアメリカの大統領と面会を果たした。1955年11月に発生したベトナム戦争では、主にスウェーデンがこの戦争に対して声高に反対した事で両国の政治関係が冷え込んだ。
1968年2月にオロフ・パルメ教育相がストックホルム（スウェーデンの首都）で、北ベトナムのグエン・トー駐ソ連大使と共にベトナム戦争に反対する抗議行動に参加した。その後アメリカはスウェーデンから大使を召還し、1970年2月までアメリカの駐スウェーデン大使のポストは空席のままだった。1972年12月にオロフ・パルメ首相はスウェーデンの国営ラジオで演説し、アメリカのハノイ爆撃をいくつかのナチスの行為と比較した。アメリカはこの比較を「酷い侮辱」と呼び、スウェーデンとの外交関係を凍結した。
関係改善
1973年3月にアメリカがベトナム戦争から撤退すると両国関係は改善し、それは1976年10月にトールビョルン・フェルディン首相が就任した時も同様であった。1987年9月にイングヴァル・カールソン首相はアメリカのロナルド・レーガン大統領と会談し、1961年3月のタゲ・アーランダー首相以来初めてスウェーデンの首相がホワイトハウスに招待された。1991年10月に就任したカール・ビルト首相は、1992年2月と1993年12月の2度に渡ってアメリカを訪問した。
2001年9月にアメリカで同時多発テロが発生した直後にスウェーデンはアメリカに同情を表明し、アメリカが主導するアフガニスタンに対する軍事侵攻を支持した。しかし他の多くのヨーロッパ諸国の政府と同様に、スウェーデンは2003年3月に実行されたイラク侵攻に反対し、「侵略は国際法違反である。」との理由を付けた。ベトナム戦争中のオロフ・パルメ元首相の強い批判に比べると、ヨーラン・ペーション首相はアメリカに対する批判が比較的穏やかであった。
2006年10月にリクスダーゲン（スウェーデンの立法府）に提出された政府政策声明の中で、中道右派のフレドリック・ラインフェルト首相は、新政府が「大西洋横断リンクの強化」に取り組むと宣言した。ラインフェルトが所属する穏健党は社会民主主義者よりもアメリカに友好的であり、2003年3月のイラク侵攻とスウェーデンのNATO加盟を支持し、ラインフェルト首相は2007年5月にホワイトハウスで、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領と会談した。
2017年2月にアメリカのドナルド・トランプ大統領が「スウェーデンで昨夜何が起こっているか」に言及した後、スウェーデン政府はアメリカ国務省に説明を求めた。アメリカのスウェーデン大使館は、スウェーデンの移民と統合政策について将来的にアメリカ政府に通知する事を申し出た。同月にスウェーデン外務省は、スウェーデンの難民政策に関する議論を「単純で、時には完全に不正確」であると言及した。2018年3月にステファン・ロベーン首相がアメリカを訪問し、同国のドナルド・トランプ大統領と会談した。
2019年6月にアメリカのラッパーであるエイサップ・ロッキー（本名：ラキム・メイヤーズ）が、スウェーデンでの滞在中に暴力事件を起こして拘束された。トランプ大統領はスウェーデン政府に、メイヤーズの釈放を要求するツイートをいくつか行った。ロベーン首相の報道官はトランプ大統領の要請に応えて声明を発表し、政府はスウェーデンでの法的手続きに影響を与える事は許可されておらず、「法の下では誰もが平等である。」と述べた。
2022年2月にロシアはウクライナに対する軍事侵攻を実行し、これを受けて同年5月にスウェーデンはフィンランドと共にNATO（北大西洋条約機構）への加盟を申請した。同年8月にアメリカのジョー・バイデン大統領は、スウェーデンとフィンランドの正式な加盟を承認する批准文書に署名した。スウェーデンとフィンランドはどちらもNATOの加盟国になる為の要件の多くを既に満たしており、その要件には機能する民主的な政治体制・経済的透明性を提供する意欲・NATOのミッションに対する軍事的貢献を実行する能力などがある。
経済
アメリカとスウェーデンは強力な経済関係があり、アメリカ企業はスウェーデンで最も代表的な外国企業である。
軍事
スウェーデンは長らく国際問題において中立の政策を追求し、冷戦時代にスウェーデンはソ連の攻撃に備えて秘密裏にアメリカからの軍事支援に備えていた。現在のスウェーデンはNATO関連の平和の為のパートナーシップとユーロ大西洋パートナーシップ評議会に参加しており、2011年2月に発生したリビア内戦の時期に、スウェーデン空軍はNATO及びアメリカと緊密に連携した。
