概要
幾何学的な対称の一種であり、特定の方向と距離による並進操作(平行移動)によって変化しないことである。
該当するものは、点線や梯子、縄、足跡、周期関数の形のように、同じ形を無限に繰り返すようなものとなる。
日常においてはこれは「対称」「シンメトリー」とは表現されないが、数学や物理においてはこれも対称の一種とされており、英語でも「translational symmetry」と呼ばれる。
鏡映の操作を、平行な異なる2枚の鏡映面に対して続けて行う操作に対する対称や、180°の回転操作を、平行な異なる2本の回転軸に対して続けて行う操作に対する対称と一致する。
対称な点同士を結ぶと平行な直線が現れる所は、鏡映対称と共通している。
金太郎飴のように、繰り返すどころか常に同じ形が無限に続いている場合も該当し、これは繰り返しの幅が無限小である場合に相当している。
この場合は特に「連続並進対称(連続的並進対称)」と呼ばれ、対して他は「離散並進対称(離散的並進対称)」と呼ばれる。
複数の並進対称を持つ場合
合わせ鏡によって現れる無限の形も並進対称の一種であり、この場合は鏡映面が並進の方向に垂直となる鏡映対称を兼ねている。
水玉模様やチェック柄のように、同じ絵が縦横に繰り返し並べられているタイプは、2つの方向に対する並進対称を兼ね合わせたものとなっている。
但し、並べる位置または方向がランダムな場合は、並進によって重ならないため該当しない。
平面充填形の多くもこれに該当するが、非周期なタイプは該当しない。
縦縞の場合は、横方向は離散並進対称だが、縦方向は連続並進対称となっている。