概要
漢字が示すように、元は織物の技法に由来する言葉で「糸同士が重なって盛り上がった部分」を意味していた。「筋」とはほぼ同義で、立体的な構造物というニュアンスが強かった。
装飾という意識が無いわけではなかったが、どちらかと言うと「製作上の都合でやむを得ずできてしまったもの」というネガティブな評価がなされがちで、一般的にはこれが少ない布の方が上等とされていた。
現在の「ストライプ」にあたる、色の違いで表現される縞模様が広まるのは中世後期のことで、南蛮貿易によってそのような模様の製品がもたらされ珍重されるようになった影響が大きい。
これが「(現在で言う東南アジアあたりの)島で作られた物」という意味で「嶋物」などと呼ばれるようになり、次第に同音の「縞」と混同されて定着したという経緯のようである。
なお、「嶋物」が本当に東南アジアで作られていたかどうかは定かではないが、南蛮商人が母国から直接持ってきた物ではない可能性は高い。当時のヨーロッパは、ヨーロッパなりの理屈で縞模様(特に横縞)を嫌っており、売るほど作る動機が薄かったからである。
日本国内にしても、この手の製品の常として「傾奇者の装い」などというイメージが付いてしまい、その後の鎖国政策への転換も重なって別の意味で白眼視される状況は続いた。
真に受け入れられたと言えるのは、国産化が進み、「和柄」に落とし込まれ、一般町人の「粋」文化と融合する江戸時代中期を待たなければならなかった。
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