ボーイング生まれのダグラス機
ボーイングが製造したジェット旅客機だが、元々はマクドネル・ダグラス(MD)により「MD-95」として開発が進められた機体であり、系列的にはダグラスの傑作旅客機DC-9の末裔。
大きさも客席数もDC-9-30とほぼ同じ。
MD-90の短胴型に相当するが、エンジンはそのままだと大きすぎるためBMWロールス・ロイスが開発したBR715を搭載し、コックピットはMD-90の最終型と同様完全なグラスコックピットとなっている。
MD-95はバリュージェット(後のエアトラン)からの受注を得た事で正式に開発が始まったものの、開発中にMDはボーイングに吸収合併されてしまった。
MDの旅客機は全て生産中止となり、MD-95も開発中止になると見られていたが、エアトランからの反発、そしてボーイング737よりも短距離向けで差別化が可能と判断された事で「ボーイング717」の名称が与えられ唯一開発・生産が継続される事となった。
なお、短胴型や長胴型も計画されたが、どちらも航空会社からの関心を得られなかったため実現しなかった。
なぜ717?
本来ボーイングではジェット旅客機の機種については、製造した順番に737・747・757などの番号を与えていたが、ボーイング717は例外的にボーイング727どころかボーイング777よりも新しい機種である。
717という形式は元々KC-135に使われていたものだったが社内でのモデル名であったため一般には知られておらず、また100席クラスである事を表現できるという理由で選ばれた経緯がある。
DC-9家最後の意地
間もなくリージョナルジェットとの競合により販売は伸び悩み、また同じクラスの737-600と性能が被り気味だった事もあって、2006年に生産を終了(ちなみに残った737-600も直接のライバル機であるA318共々リージョナルジェットに圧倒され、現在は生産されていない)。
生産数は156機。717の生産終了と同時にダグラス時代から数々の旅客機を送り出してきたロングビーチ工場の歴史にも終止符が打たれる事となった。
商業的には決して成功作とは言えないが、それでも717は名機DC-9の血統を21世紀に残す事ができたのである。