曖昧さ回避
鬼の花嫁シリーズ
2019年より小説サイト『ノベマ!』にて掲載されているWEB小説シリーズ。
作者はクレハ。架空の日本を舞台に、あやかし最強の鬼と家族に虐げられてきた主人公が出逢う所から始まる、「和風あやかしシンデレラストーリー」である。
2020年からは『ノベマ!』の運営元であるスターツ出版文庫からライトノベル(書籍)版を順次刊行(ライトノベルの挿絵担当は白谷ゆう)、また2022年からはコミックシーモアの「noicomi」ブランドでコミカライズ版の掲載も始まった(漫画の作画担当は富樫じゅん)。
あらすじ
「見つけた 俺だけの花嫁を―――」
ここは、あやかしと人間が共生する日本。
優れた能力と美しい容貌を持つあやかしたちは、時に人間の女性たちの中から“花嫁”と呼ばれる運命の存在を見出す。そして花嫁は、あやかしに繁栄を齎す代わりに、あやかしからの絶対の愛を得るという――。
妖狐の“花嫁”である妹を持つ柚子は、妹と比べられ、家族から愛されない日々を送っていた。
我慢の糸が切れたある日、夜の街を彷徨う柚子を“鬼龍院玲夜”と名乗る男が見出す。
見た事もない程の美しい彼は、柚子を「俺の花嫁」と言い…!?
「黙って抱かれていろ」
冷徹と呼ばれる最強のあやかしに、ドロドロに愛されて…!?
登場人物
- 柚子
本編の主人公でヒロイン。公式設定的には平凡な女の子とされている。幼い頃から両親と妹から冷遇されてきた。家に居辛い為、普段は学業の傍らバイトに勤しみ、週末は祖父母の家で過ごす生活を送っている。優しくて真面目なしっかり者だが、人に頼る事は苦手で甘え下手。玲夜に見初められて花嫁となった事で生活が一変する。最初は戸惑い混乱する事も多々あったが、玲夜や鬼龍院家のあやかしたちと接する内に心を開いていく。玲夜への愛を自覚してからは、今まで遠慮していた両親や花梨に対しても、彼らの横暴な言動に対し毅然と接して、臆さずに自分の意見を言う等、心身共に強くなる。
- 鬼龍院玲夜
あやかしの中で最上位に位置する鬼、鬼龍院家の跡取り。美しい人間離れした整った容姿をした美青年。興味の無い事には果てしなく冷酷だが、花嫁である柚子を溺愛していて大事にしている。家族に冷遇されている境遇から柚子を助けるべく祖父母との養子縁組を薦めたり、花梨や両親が柚子に接触した時は妖狐一族当主に直談判して彼らに処罰を与えるようにする等、様々な便宜を図る。柚子もそんな玲夜の愛情に戸惑いながらも(愛される事に慣れてない為)心を開いていき、やがて相思相愛となる。
- 花梨
柚子の妹。妖狐一族の子息・瑶太の花嫁。両親や瑶太から溺愛されている。甘え上手な可愛らしい美少女だが、柚子を見下す事で優越感に浸っている傲慢で我儘な性格。その柚子が自分よりも地位の高い鬼のあやかしの花嫁となった事・その事により両親が今までの柚子への態度を一変し手のひら返しをした事・瑶太が柚子に酷い怪我を負わせた事で玲夜の怒りを買った瑶太が無様にやられた事に我慢出来ず、柚子が花嫁を辞めて家に戻る様に企んで、両親や瑶太を巻き込んだ嫉妬心剝き出しの行動を取る。下手すれば鬼一族と妖狐一族の争いに発展しかねない身の程知らずな行動は、玲夜だけでなく妖狐一族の当主・撫子の怒りも買い、花嫁の地位を剥奪されて、両親共々遠い土地へ追放されるという因果応報にして自滅同然の末路を辿る。
- 狐月瑶太
花梨を花嫁に選んだ妖狐のあやかしで、妖狐一族の狐月家の子息。狐月家は狐雪家を主家とした一族の中でも上位にある家柄。花梨を溺愛していたが、それ故に花梨を甘やかすばかりで強く言えず、やがて花梨が柚子に危害を加えた為に、花梨を花嫁として伴侶に出来なくなり、破局を余儀なくされた。
- 柚子の両親
柚子の実の両親なのだが、幼い頃から柚子を冷遇し、花梨だけを溺愛してきた。平凡で甘え下手な柚子に比べて花梨が可愛くて甘え上手だった事、更に花梨が瑶太の花嫁という事で狐月家から莫大な援助をして貰っている為である(花梨は気付いていなかったが、その愛情もかなり歪んでいた)。だが柚子が鬼龍院家の花嫁になった事を知って、鬼龍院家からの援助を貰う為に柚子を手元に戻そうとする等、大変浅ましく恥知らずで強欲。その行動は玲夜の怒りを買い、遠い地へ追放された挙句、狐月家の援助を打ち切られた。
- 柚子の祖父母
柚子の祖父母。至ってまともな人達で、逆に傲慢で強欲な息子夫婦に失望しており、家族に冷遇されている柚子を心配し、可愛がっている。柚子にとっては数少ない心を許せる存在。玲夜の計らいで養子縁組をして柚子の両親となった。
- 透子
柚子の親友。柚子にとっては頼りになる存在。柚子の境遇を心底気の毒に思っていて、柚子の家族を嫌っている。猫又のあやかし・東吉の花嫁でもある。
- 猫田東吉
猫又のあやかし。花嫁の透子を溺愛している。柚子からは「にゃん吉君」と呼ばれている。
- 斉藤大和
柚子の元カレ。柚子の家に遊びに行った時に花梨に一目惚れして(花梨が瑶太の花嫁というのを承知で)、一方的に柚子に別れを告げた為、付き合って三ヶ月で破局した。その後、柚子が花嫁に選ばれた事を知り、花梨の時と同様に他人の花嫁という事を承知で惚れ直して再度交際を申し込む等、大変非常識で身勝手。だが、柚子には渾身の一撃(頬へのパンチ)と共に拒絶された。番外編『子鬼の暗躍』では、子鬼たちに嫌がらせを受けて、自業自得とも言える散々な目に合っている。
- 荒鬼高道
玲夜の秘書。鬼龍院の分家の跡取り息子で、玲夜とも年が近い事から、幼少期から玲夜に付き従ってきた。冷徹な玲夜が傍に置いて重用していた事から、桜子に玲夜と高道は恋人関係ではないかと誤解されていたが、飽くまで主従関係である。玲夜を神聖視するが故に平凡な柚子を不釣り合いだと断じ桜河の前でのみ憤然と人知れず不満をもらしていたが、桜子の一件により玲夜に知られ何らかの制裁を下された。
- 子鬼
玲夜の霊力で作り出した二匹の使役獣。柚子の護衛役でもあり、猫又のあやかしくらいなら一蹴できる力を持ち、柚子の両親が押しかけてきた時は見かけによらない力で追い払った。番外編『子鬼の暗躍』では、玲夜から命じられた極秘任務(柚子を悲しませて一方的にふった大和への嫌がらせ)に勤しんでいる。
- 鬼山桜河
玲夜の会社の副社長。愛想が良く軟派な性格。桜子の兄。兄として桜子を誇らしく思っていたが、後に露見した趣味に頭を悩ませている。
- 鬼山桜子
一族で決定された玲夜の婚約者。だが玲夜が柚子という花嫁を見つけたことで婚約解消となった。非の打ち所がない美少女だが、実は腐女子で、玲夜と高道が恋人同士だと勘違いしていて、玲夜と高道の恋を応援する為に『玲夜様と高道様の恋を見守る会』を発足して、更に玲夜と高道の関係をネタにした薄い本を漫画同好会で発行していた。その為、推しカプ(玲夜×高道)の障害となる柚子を良く思っていなかったが、本人達からきっぱり否定された事で自分の勘違いに気付き、柚子に謝罪した。以後は柚子の良き理解者となる。しかし、この一件により玲夜の怒りを買い、上記の薄い本のコレクションを根こそぎ焼却処分され漫画同好会も強制解散の憂き目に遭い悲嘆に暮れる。
番外編『桜子のコレクション』では、あの後、今度は玲夜と高道に似た別人をネタにした薄い本を、漫画同好会の仲間たちと発行しようとしている様子が描かれていた。
- 千夜
玲夜の父親。柔和で優しげな面立ちで、玲夜に負けず劣らずの容姿をしている。鬼龍院の当主であり、あやかし達を取りまとめるあやかし会のトップだが、かなり明るく軽い性格。しかし、実際の本性は玲夜以上に冷酷で腹黒く鬼龍院に仇名す者は一切の容赦をしない。
- 沙良
玲夜の母親。線が細く、幼げな雰囲気を持った女性。夫同様軽い性格。千夜とは一族の話し合いで決められた政略結婚だったが、夫婦仲はとても良好。千夜の事は「千夜君」と呼ぶ。
- 狐雪撫子
妖狐一族の当主で九尾の狐。白銀の髪が輝く人形のように整った美女。古風な言葉遣いをしていて一人称は「妾」。千夜よりも年上だが、千夜からは「撫子ちゃん」と呼ばれている。花梨が柚子に危害を加えた時は、当主として花梨を花嫁とは認めず追放を命じた。