曖昧さ回避
鬼の花嫁シリーズ
2019年より小説サイト『ノベマ!』にて掲載されているWEB小説シリーズ。
作者はクレハ。
いわゆるスカッと系であり、あやかしと人間が共存している架空の日本を舞台に、あやかし最強の鬼と家族に虐げられてきたヒロインが出逢う所から始まる、「和風あやかしシンデレラストーリー」とのこと。
2020年からは『ノベマ!』の運営元であるスターツ出版文庫からライトノベル(書籍)版を順次刊行(ライトノベルの挿絵担当は白谷ゆう)、また2022年からはコミックシーモアの「noicomi」ブランドでコミカライズ版の掲載も始まった(漫画の作画担当は富樫じゅん)。
あらすじ
「見つけた 俺だけの花嫁を―――」
ここは、あやかしと人間が共生する日本。
優れた能力と美しい容貌を持つあやかしたちは、時に人間の女性たちの中から“花嫁”と呼ばれる運命の存在を見出す。そして花嫁は、あやかしに繁栄を齎す代わりに、あやかしからの絶対の愛を得るという――。
妖狐の“花嫁”である妹を持つ柚子は、妹と比べられ、家族から愛されない日々を送っていた。
我慢の糸が切れたある日、夜の街を彷徨う柚子を“鬼龍院玲夜”と名乗る男が見出す。
見た事もない程の美しい彼は、柚子を「俺の花嫁」と言い…!?
「黙って抱かれていろ」
冷徹と呼ばれる最強のあやかしに、ドロドロに愛されて…!?
登場人物
(2021年11月に行われた朗読劇にて、左は18日、右は19日公演のキャストを記載。)
本編の主人公でヒロイン。公式設定上は平凡な女の子とされている。幼い頃から両親と妹から冷遇されてきた。
花嫁に選ばれた妹の花梨と比較され、両親から蔑ろにされており、数少ない味方である幼馴染の透子、猫田東吉、父方の祖父母が心の拠り所だった。
家に居辛い為、普段は学業の傍らバイトに勤しみ、週末は祖父母の家で過ごす生活を送っていた。
優しくて真面目なしっかり者だが、人に頼る事は苦手で甘え下手。
原作では花梨を始め、理不尽に自分を攻撃する対等な相手に対しては強気に言い返す場面もあるが、漫画版では気弱で何でも我慢してしまう性格に変更されている。
玲夜に見初められて花嫁となった事で生活が一変し、最初は玲夜に溺愛されることに戸惑い混乱したが、玲夜や鬼の一族でも味方についてくれる者たちに大切にされていって心を開いていく。
玲夜への愛を自覚してからは今まで言いなりになっていた両親や妹に対しても、彼らの横暴な言動に対し毅然と接し、臆さずに自分の意見を言う等心身共に強くなった。
鬼の一族の大半に歓迎されて憧れていた幸せな花嫁になれたと思うも、かくりよ学園花嫁学部に進学すると玲夜のファンや花嫁の座を狙っていた人間女性から毎日陰口を叩かれたり、鬼龍院家の権力目当ての人間から媚びられるようになる。
花嫁が決して幸せなだけではない実情(人間から嫉妬や攻撃の対象になって花嫁の地位を略奪しようとする人間に危害を加えられる、強引に花嫁にされてしまう可哀想な境遇の花嫁もいる等)を知り、玲夜に相応しい精神的な強さを欲するようになると共に、「花嫁だから」とあやかしに異常な束縛をされる生き方に玲夜と喧嘩してでも反発していく芯の強さを育てていく。
あやかしの中で最上位に位置する鬼、鬼龍院家の次期当主。
黒髪に赤い瞳を持つ、あやかしの中で最も美しいとされる整った容姿の美青年。
冷酷非道で厳格なことで有名なため、鬼の一族の部下、経営する会社の部下だけでなく、高すぎる霊力に下位のあやかしは近づいただけで恐慌状態に陥るほど恐れられている。
それでも美貌とスペックから花嫁の座を狙う女性ファンは多く、玲夜があやかしと人間の親睦パーティーを嫌う理由の一つになるほどしつこくストーカー化する者も後を絶たない。
他者には無関心で思いやりどころか滅多に笑顔すら見せないが、花嫁である柚子だけは特別に溺愛し大切にしている。
花嫁を得たあやかしは花嫁を守ろうと過剰な攻撃行動を取りがちだが、自身の権力を悪用せず、花嫁に異常な執着を持つあやかしの歪んだ実情を俯瞰して見られる理性を持ち、本能から柚子が誰かと親しくするたびに激しく嫉妬を抱くも、行動や対人関係を束縛しないという稀有なあやかし。
あやかしは花嫁を得ると性格が花嫁中心主義の悪い方向に豹変するが、玲夜は花嫁を得たことで愛情や慈悲の感情を知ることができ、一族や会社の部下に優しくなれた作中で唯一と言えるほど良い方向に変われている。
家族に冷遇されている境遇から柚子を助けるべく祖父母との養子縁組を取り計らい、花梨や両親が柚子に接触した時は妖狐一族当主に直談判して彼らに処罰を与えるようにする等、様々な便宜を図る。
柚子もそんな玲夜の愛情に戸惑いながらも心を開いていき、やがて相思相愛となる。
その一方で柚子がいつか他の花嫁のようにパートナーの自分を嫌いになるのではという強い不安感に苛まれ、柚子を失うことを何よりも恐れるという脆い一面も持つ。
柚子の1学年下の妹。妖狐一族の上位分家の子息・瑶太の花嫁。両親や瑶太から溺愛されている。
甘え上手な可愛らしい美少女だが、傲慢で我儘な性格で、柚子を見下すことで優越感に浸っている。
その柚子が自分よりも地位の高い鬼の花嫁となり、その件で自身を甘やかしていた両親が今までの柚子への態度を一変させ手のひら返しをしたことや、柚子に酷い怪我を負わせて侮辱した事で玲夜の怒りを買った瑶太が無様にやられた事に我慢出来ず、柚子が花嫁を辞めて家に戻る様に企む。
動機は柚子への嫉妬心なのだが「鬼に騙され利用されている柚子を助けて連れ戻し、家族皆でまた一緒に暮らしたい」という体で動き、本音の嫉妬心を認めなかった。(もっとも柚子と瑶太には本音を最初から見抜かれていた。)
鬼と妖狐の争いに発展しかねない行動と花嫁の権限を悪用する様に、玲夜だけでなく妖狐一族の当主・狐雪撫子の怒りも買って狐月家で強制同居・監視されることとなり、次に柚子に接触したら花梨を花嫁から降ろし、瑶太と永久に接触禁止という罰を通達される。
謝罪も反省もしない花梨に更生のチャンスを与える寛大な措置にもかかわらず、妖狐一族から厳重に監視される同居を強制され、好き放題できる両親との実家暮らしが出来なくなったことで柚子を逆恨みする。
両親に溺愛されていたのは花嫁として両親に多額の資金援助をもたらしていたからに過ぎないと露呈しても、柚子が花嫁を辞めて実家に戻れば全部解決すると思いこむ。
瑶太からの「姉に近づくな」「撫子様に逆らったら一族で生きていけなくなる」という懇願を無視し、あやかしの宴会最終日に再度柚子に接触して命令を拒否されたことで逆上し、殴打した末に階段から突き落とすという危害を加えてしまった。
現場を見ていた撫子により瑶太の取り直しも拒否され、花嫁の地位を剥奪されて両親共々遠い土地へ追放されるという因果応報にして自滅同然の末路を辿った。
学園では人望があったようで、3巻で花梨の友人だった妖狐や同級生が登場して学園の人気者で皆の憧れだった花梨と理想のカップルだった瑶太を引き裂いた敵を討つと称し、柚子に壮絶な敵意とイジメ同然の陰湿な報復が向くこととなる。
5巻では更生して自力で実家を出て、今は安全な場所で暮らしていると明かされる。
同学年の花梨を花嫁に選んだ妖狐のあやかしで、上位分家・狐月家の子息。金髪金眼の美青年。
花梨を溺愛していたが、それ故に甘やかすばかりで強く言えず、念願の同居が叶った後ですら一度も叱ったことも理不尽なお願いを断ったこともなかったため、必死に説得しても「おかしくなった」と花梨にまともに取り合ってもらえず、後述の悲劇に繋がる。
原作では理性を留めたまま花梨にお願いされて柚子を連れ戻す手伝いを渋々承諾したが、花梨同様に自分本位な性格で当主の撫子から罰を受けても「両親の処分はいいが花梨の罰は納得できない」と自分より上位のあやかしに罰を受ける立場の加害者でありながら反論したり、柚子を攻撃し続ける花梨への注意も「このままだと(俺たちが)一緒にいられなくなるから」と自己中心的な理由で、花梨が柚子に向ける異常な攻撃性やイジメに対して諫めることも一切無かった。
漫画版では「花嫁に夢中になって理性を失った愚かなあやかし」と強調され、柚子を連れ戻すよう花梨にキスでお願いされると一族を巻き込むことに躊躇していたが豹変し、積極的に加担。
鬼の護衛を妖狐の幻惑術で無力化したことで瑶太と特定され、玲夜と撫子に動機を問い詰められれると、接触させれば両親や花梨が柚子に危害を加えると知っていたのに「花梨が姉に会いたがったのに鬼が邪魔をするから」と言い訳をして謝罪すらしなかった。
事態を重く見た撫子から「次に花梨が柚子に危害を加えたら、花梨を花嫁から降ろして瑶太との接触を永久に禁止する。嫌なら監視して花梨を更生させるように」と罰を与えられる。
花梨との婚約を反対され始めると傲慢な言動は鳴りを潜め、撫子と鬼龍院家の顔色をうかがう気弱な言動になり、花梨を何度も説得したが却って柚子への逆恨みを加速させてしまう。
あやかしの宴会最終日は柚子に接触させないよう常に花梨に張り付いていたが、千夜と撫子の策略で姉妹が二人きりになる状況にされ、花梨が柚子へ危害を加えたことで婚約破棄となった。
最後まで撫子にもう一度チャンスを与えるよう懇願したが、撫子が拒否して再度婚約解消を命じられ、号泣しながら花梨との別れを承諾させられる。
あやかしは名前も知らない花嫁の個人情報を翌日に特定できるほどの高い調査力があるため、花嫁として認められない花梨と駆け落ちしてもすぐに連れ戻されることから諦めざるを得なかった。
号泣しながら花梨を抱き締めて絶望していたが、一族が花梨を追い出そうと現れると観念して虚ろな表情で花梨に別れを告げ、別人のように背中を丸め、花梨の呼び声に一度も振り返らず立ち去るという壮絶な別れの場面が描かれた。
3巻では花梨を失って人相が変わるほど衰弱して再登場するも、恨みを抱きながらも柚子を攻撃せず、花梨さえ良ければ他はどうでもよかった過去の言動を懺悔した上で嫌がらせを受ける柚子を激励し、更生して前向きに生きる姿を見せた。
原作3巻と漫画版から花梨を花嫁に選んだのが小学生と明言された。
- 柚子の両親
柚子の実の両親なのだが、幼い頃から柚子を冷遇し、花梨だけを溺愛してきた。
平凡で甘え下手な柚子に比べて花梨が可愛くて甘え上手だったこと、更に花梨が瑶太の花嫁ということで狐月家から莫大な援助をして貰っているためである(花梨は気付いていなかったが、その愛情もかなり歪んでいた)。
柚子が鬼龍院家の花嫁になった事を知ると、鬼龍院家からの資金援助を貰う為に柚子を手元に戻そうとする等、大変浅ましく恥知らずで強欲。
その行動は玲夜の怒りを買い、遠い地へ追放された挙句、狐月家の援助も打ち切られた。
漫画版では狐月家に鬼龍院家との仲介を厚かましく頼みに行ったが、その場で資金援助の打ち切りと遠方への引っ越しを言い渡される。
狐月家での強制同居と監視から逃げようとした花梨に助けを求められるも、資金援助が打ち切られたのを全部花梨のせいにして理不尽に叱責するという、かつて柚子に行っていた理不尽な仕打ちを花梨にぶつけ、資金援助が貰えそうな柚子にすり寄るという醜い性格が強調されている。
本性を知られても花梨には見放されず「両親がおかしくなったのはお姉ちゃん(柚子)のせい」と、顔合わせに宴会へ向かった柚子の縁談を壊そうと宴会会場の位置をリークされる。
その情報で宴会に不法侵入するも、結界の効果で朝まで彷徨って疲労困憊の状態で回収され、花梨ともども遠方へ追放された。
その後原作5巻にて再登場するが、懲りずに自身の地位と安定を保つため、玲夜との結婚式を直前に控え、両親に結婚式に参列してもらおうと和解に来た柚子を胡散臭い支援団体の中年男性と無理やり結婚させようとした。(しかも家出した花梨の安否をどうでもいいと吐き捨てている。)
その場で柚子から今度こそ絶縁を言い渡され、玲夜に再度厳重な制裁を与えられた。
- 柚子の祖父母
柚子の父方の祖父母。こちらは至ってまともで、傲慢で強欲な息子夫婦に失望している。
家族に冷遇されている柚子を心配して可愛がっており、祖父が柚子に贈った誕生日プレゼントのワンピースが物語の発端となる。
柚子にとっては数少ない心を許せる存在で、週末は祖父母の家に避難していたほど。
玲夜の計らいで養子縁組をして柚子の両親となった。
漫画版は祖父が柚子の父そっくりの容姿だが優しく、祖母は柚子に一番似た容姿で作画されている。
祖母は人間で最も権力のある一龍斎家の傍流で、柚子が一龍斎家の重要人物に非常に似ているため一龍斎の血縁である祖母が柚子に似ていると思われる。
- 透子
柚子の親友で、幼稚園からの幼馴染。柚子にとっては頼りになる存在。
柚子の境遇を心底気の毒に思っていて、柚子の家族を嫌っている。
猫又のあやかしの次期当主・猫田東吉の花嫁でもある。
柚子同様に平凡な容姿と庶民出身、男勝りの気が強い性格もあって花嫁としては侮られることもある。
しかし、花嫁になることがメリットばかりではないことを理解した上で東吉を心から愛し、その上で花嫁を所有物のように扱おうとするあやかしの言動に真っ向から歯向かって対等な関係を築いている芯の強い女性。
花嫁になりたがっている柚子に花嫁になった辛さを一切愚痴らず、花嫁になったことで柚子以外の友人から嫉妬や東吉の花嫁に成り変わろうと裏切られても自分の中で飲み込み、毅然と振舞う安定した精神性を持つ。
一方で人の好き嫌いが激しく柚子に嫌がらせをする花梨を(一応は柚子の妹かつ自分より上位の花嫁なのに)「あの女」と嫌悪している。
また、蛇塚が花嫁の梓に嫌われている話を聞くや、蛇塚の言い分しか聞いておらず梓の境遇がかなり悲惨であるにもかかわらず、意地を張らず蛇塚と会話するよう上から目線で説教し、激怒した梓に拒絶されると原作2巻では「実家の借金払ってもらってる癖に」と暴言を吐いて一切謝罪しない等、頭に血が上ると暴走する悪癖がある。
- 猫田東吉
猫又のあやかしで次期当主。花嫁の透子を溺愛し、尻に敷かれている。
透子と柚子からは「にゃん吉(君)」と愛称で呼ばれている。
猫又は地位の低いあやかしのため、花嫁を甘やかすばかりではなく柚子や透子に花嫁に必要な常識やあやかしの知識を教える役回りでもある。
花嫁をもつあやかしは基本的に花嫁以外の人間には無関心となるが、花嫁の親友であり、唯一透子の友情を裏切らず、透子から略奪しようとしなかった柚子を心配している様子。
花嫁をあやかしの生活に合わせる(転校や同居)のが当然というあやかしの価値観において、透子の「柚子と同じ公立校に通いたい」という願いを受け入れてかくりよ学園に転校させず、自分も一緒に通学したいからとわざわざ人間の学校に転校する珍しい感性の持主。(かくりよ学園と異なり花嫁への理解が低い一般の学校は、花嫁も自身も恋愛トラブルに巻き込まれる可能性が高く、リスクを考えたらかくりよ学園に通うのが無難なため。)
学校では透子も柚子も知らない所で女子生徒の告白を全部断り、透子から花嫁の地位を奪おうとしたり、透子へ嫉妬してイジメをしようとする女子生徒たちをこっそり対処して透子と柚子の平穏な学校生活を守るという、優しさと人間との接し方が極めて上手な処世術を持つ。
透子と出会った時はあやかし特有の上から目線の言動で「お前は花嫁だから俺と来い」と、透子の腕を掴んで連行しようとしてストーカーと嫌悪されてしまった。
しかし親に一切頼らず透子の実家に通い続けて透子に好きになってもらうという一途さとひたむきな愛情表現で幸せなあやかしと花嫁になることができた。
- 蛇塚柊斗
蛇のあやかしで次期当主。同格のあやかしということもあり、東吉の友人。
2mの大柄な体格にその筋の人と間違われる強面だが、繊細で優しいとされる。
高校3年時の親睦パーティーで花嫁の梓と出会い、強面の自分が話しかけて怖がらせないよう梓の両親に縁談を持っていき、梓の意思を尊重するので縁談を伝えて意思を確認して欲しいと紳士的に進めていった。
しかし、両親が多額の借金と経営難の会社を抱えており、あやかしの資金援助目当てで梓に黙って勝手に承諾の返答をしたことで梓の知らない所で縁談が進んでしまう。(漫画特典小説にて、蛇塚も両親も借金があることを把握した上で両親だけに縁談を持って行ったと明かされている。)
蛇塚は面識のない梓からの快諾が早いことから疑問を抱いたが、何故か梓本人に一切接触しないで同居や進学先の変更を勝手に決めた。
同居開始日まで接触しなかったことが裏目に出た結果、梓から金に困った両親を資金援助で買収し、自分を身売り同然に花嫁にした卑劣なあやかしと誤解され、梓から「自分の人生はあいつ(蛇塚)のせいで最悪なものになった」と毛嫌いされることになる。
見つかった花嫁が自分ではない男を愛し、名前を呼んでもらうことも笑顔を見せてもらうことも全くなく、冷たくされる柊斗に同情する両親と使用人が梓を責めて余計に嫌われるという不幸な同居生活だった。
しかし瑶太のように同居を免除する選択もあったのに、仲の良い家族と無理やり引き離されて毎日使用人と蛇塚の両親の悪口や説教に追い詰められ、好きでもない蛇塚にスキンシップを強要されて苦しむ梓を実家に帰して瑶太のように自分が通うといった譲歩も一切しなかった。
透子に嫌われても頑張って両想いになってから婚約した東吉、資金援助ありきの婚約でも弱みに付け込んだ命令をせず大切に扱った瑶太に比べ、梓を金で買って逆らえない彼女に命令ばかりの強引な婚約であったが、本人も一族も大学の友人たちも「借金苦から救ってやったのに恩知らずな花嫁」と梓に激しいバッシングを行った。
登場開始時点で元々気弱だったとはいえ、梓に言い返されたり、友人に梓との不仲に触れられただけで泣き出すほど梓から嫌悪される日々に深く傷つき、疲弊しきった状況だった。
しかし他の花嫁を得たあやかしと異なり、花嫁の願いを何も叶えず、花嫁を守ろうとせず、喧嘩してでも相互理解を深めようとせず、梓に花嫁でいてもらうため資金援助を出し続けることしかしなかった。
東吉から「話を聞いてもらえないと泣いていないで強引にでも話し合いをしろ」と再三忠告されたにもかかわらず弱腰な態度を取り続けた結果、梓の両親の言いなりに金を出してでも傍にいたかった梓が玲夜の花嫁に成り変わろうと柚子の誘拐に加担するという最悪の展開になる。
下位の蛇塚家は瑶太と違って当主の権力が低いので交渉の余地もなく、柚子が庇っても梓と婚約解消して柚子に二度と接触させないと瑶太と同じ結末をたどることになる。
幸か不幸か梓に嫌われていて梓と一緒にいることに疲れていたこともあり、瑶太ほどの後遺症も残らず、本能からくる梓への執着に苦しみ他の女性を愛せないのを除けば日常生活に戻れる程度で済んだ。
しかし、婚約破棄理由が瑶太のように必死に食い下がっても覆されなかったわけではなく「正直疲れた、自分を愛してくれないから」と身勝手なもので、一人の女性の人生を狂わせておいて慰謝料も払わず婚約破棄したという誠意に欠けるもので、梓の評した「卑劣なあやかし」という評価は否定しようがない。
- 梓
柚子と透子の花嫁学部の同級生。
蛇のあやかしの次期当主・蛇塚柊斗の花嫁でもある。
しかし初のあやかしを嫌っているのに無理やり花嫁にされてしまった悲劇的な花嫁であり、相思相愛の花嫁しか見たことのない柚子と透子に衝撃を与えた。
あやかしか判断に迷うほどの美女と原作で描写されており、本人も無意識に美貌に自信を抱いている節がある。
資金援助を当てに両親から結婚を強要され、好きな人がいるのにあやかしの花嫁にされ、(結婚したくないほど嫌いな蛇塚に)進学先や同居を一方的に決められた現状に不満を抱く。(しかも蛇塚は愛してもらえるよう何もアプローチをしていないので、愛情を抱きようがない状況だった。)
さらに好きな人がいるのに蛇塚を愛するよう強要され、蛇塚が美貌の梓が我慢ならないほど生理的に受け付けない外見(美形だが大柄で強面とマニアックな容姿)ということもあり、話しかけられるのも体を触られるのも拒絶している。
さらに嫁ぎ先も花嫁学部の同級生も全員蛇塚の味方をして梓を責めて孤立しているという最悪な環境で、蛇塚同様にあまりメンタルが強くない梓は婚約から1か月もしない状態で精神崩壊寸前という非常に危険な状態だった。
同級生の柚子と透子が自分と違って相思相愛で幸せな花嫁であることに絶望し、あやかしを嫌う変な花嫁と大学や同居先の蛇塚家で白い目で見られ、実家も梓を犠牲にして現状維持を望むため助けを求めることしかできない状況だった。(就職のために頑張って合格した大学を勝手に辞退させられ、両親も梓たち子供を守ろうとせず体裁と会社を失うのを恐れ、娘が花嫁に選ばれたという悲惨な実態を見ようとしなかったので実家に帰ることもできなかった。)
好きな人である玲夜に既に花嫁が見つかっていたと判明して生きる希望を失い、その花嫁が自分より劣った容姿でスペックも釣り合っていると言えず、自分が玲夜と比較にならないほど醜く性格も地位もスペックも劣った蛇塚に嫁がされる現実に耐えきれなくなってしまった。
孤立していた彼女に唯一優しい言葉をかけた黒幕の津守に利用された結果、玲夜の花嫁である柚子の誘拐に加担してしまう。
玲夜に暴力込みの尋問を受けても思慕の感情は消えず、玲夜にこっぴどく振られても玲夜を未だに愛して蛇塚を嫌悪する感情も柚子への敵意も消えず、柚子と蛇塚が庇いきれない梓には花嫁を降ろして資金援助を切り、柚子にも玲夜にも二度と接触できない罰を与えることとなった。
しかし梓がずっと願っていた蛇塚からの婚約破棄を叶えたので、本人が喜ぶ罰ではある。
花嫁制度の被害者と言うべき例で玲夜は「本能が無い花嫁があやかしを好きになると限らないし、既に恋人がいる場合だってある」「あやかしの金と権力は花嫁を手に入れるためなら何でもやる」と歪んだ花嫁制度を明かしたが、柚子も透子も梓のことを未だに嫌悪している。
- 津守幸之助
玲夜の同級生でかくりよ学園OBの陰陽師。
陰陽師家系の次期当主であり、玲夜と比較されて一方的にライバル心を燃やす。(もっとも容姿や霊力や成績は元より、実家の権力や資産に女子人気と玲夜に何一つ勝てなかった程度。)
玲夜にはそんな奴いたのか程度にしか思われておらず、プライドの高さから玲夜に執着して玲夜の最も大切な物を奪おうと暗躍する。
あやかし優位のかくりよ学園の校風には思う所があるようで、あやかしより強かった陰陽師が今や社会的にも霊力も大きく劣る現状に苛立っている。
- 浩介
柚子と透子の同級生で、小学校高学年までの幼馴染。
ある日突然転校して音信不通だったが、かくりよ学園大学部で再会。
花嫁に白昼堂々告白するという自殺行為同然の行動に出る。(花嫁を得たあやかしは非常に嫉妬深く、ましてや最高位の鬼龍院から花嫁を略奪しようとするなど論外)
透子に即座に諦めるよう忠告され、勝ち目がないと言われても譲ろうとしなかった。
あやかしに対して嫌悪感と偏見を抱いており、柚子に対して花嫁になっても不幸になるだけと言い切るほど。
漫画版では告白に激怒した子鬼から全力攻撃されるも、すぐに傷が治って霊力があることが示唆されている。
- 斉藤大和
柚子の元カレ。柚子の家に遊びに行った時に花梨に一目惚れし(花梨が瑶太の花嫁というのを承知で)、一方的に柚子に別れを告げた為付き合って三ヶ月で破局した。
その後柚子が花嫁に選ばれた事を知り、花梨の時と同様に他人の花嫁という事を承知で、惚れ直して再度交際を申し込む等、大変非常識で身勝手。
だが、柚子には渾身の一撃(頬へのパンチ)と共に拒絶された。(漫画版では子鬼のビームで吹っ飛ばされている。)
番外編『子鬼の暗躍』では、子鬼達に嫌がらせを受けて、自業自得とも言える散々な目に合っている。
- 荒鬼高道
玲夜の秘書。鬼の上位分家で代々当主の側近を務めている、荒鬼家の跡取り息子。
玲夜と年齢や家格が近い事から、幼少期から玲夜に付き従ってきた。
冷徹な玲夜が傍に置いて重用していた事から、桜子に玲夜と高道は恋人関係ではないかと誤解されていたが、飽くまで主従関係である。
玲夜を神聖視するが故、平凡な柚子を不釣り合いだと桜河の前で不満を漏らしていたが、桜子の一件により玲夜に柚子を非難していたことを知られ、何らかの制裁を下された。
2巻では桜子に最も霊力と年齢が釣り合う未婚の鬼ということで、桜子と婚約。
玲夜至上主義の高道はドライではあるものの、玲夜に最もふさわしいと推していた桜子が自分の妻になるのに不満など無いと政略結婚ながら前向きな発言をした。
- 子鬼
玲夜の霊力で作り出した二匹の使役獣。
柚子の護衛役でもあり、猫又のあやかしくらいなら一蹴出来る力を持ち、柚子の両親が押しかけて来た時は見かけによらない力で追い払った。
漫画版では上記の場面で瑶太と互角に戦い、鬼の護衛に幻惑術をかけながら花梨を守りつつ戦うには強すぎると瑶太が花梨を説得して撤退するほどの強さを誇った。
番外編『子鬼の暗躍』では、玲夜から命じられた極秘任務(柚子を悲しませて一方的に振った大和への嫌がらせ)に勤しんでいる。
形状がチビキャラ風なのは、漫画版書き下ろし小説によると高道が女子高生が身につけるからぬいぐるみ風がいいのではと助言したためとのこと。
- 鬼山桜河
鬼の筆頭分家・鬼山家次期当主で桜子の兄。
鬼山家は代々当主の補佐を務めており、玲夜の会社の副社長。
鬼特有の美形だが愛想が良く、軟派な性格。
兄として桜子を誇らしく思っていたが、後に露見した趣味に頭を悩ませている。
花嫁という存在への憧れを持っているが、花嫁どころか政略結婚もしていない独身。
鬼龍院家当主に何かあった際は代理で指揮を執ることができるため、玲夜が有給休暇を取った時は桜河がその分働くこととなる。
- 鬼山桜子
一族で決定された玲夜の元婚約者で、桜河の妹。柚子の2学年上。
玲夜が柚子という花嫁を見つけた事で、婚約解消となった。
非の打ち所がない美少女だが、実は腐女子。
玲夜と高道が恋人同士だと勘違いしていて、玲夜と高道の恋を応援する為に『玲夜様と高道様の恋を見守る会』を発足。(玲夜の婚約者が主催したので、かくりよ学園全体で玲夜と高道がそういう関係であると誤解されてしまった。)
更に玲夜と高道の関係をネタにした薄い本を漫画同好会で発行していた。
推しカプ(玲夜×高道)の障害となる柚子を良く思っていなかったが、本人達から否定された事で自分の勘違いに気付き、柚子に謝罪した。
薄い本の件で玲夜の怒りを買い、上記の薄い本のコレクションを根こそぎ焼却処分され、漫画同好会も強制解散の憂き目に遭い悲嘆に暮れる。
以後は柚子の良き理解者となり、かくりよ学園では先輩として柚子の後ろ盾となる。
その後、想いを寄せていた高道と政略結婚とはいえ婚約が決まり、好きな高道と婚約できたのは柚子のおかげと柚子に感謝し、人生で初めての恋バナを柚子とする。
番外編『桜子のコレクション』では、あの後、今度は玲夜と高道に似た別人をネタにした薄い本を、漫画同好会の仲間達と発行しようとしている様子が描かれていた。
漫画版では、腐女子になったきっかけがどれほど努力しても玲夜に愛情も優しさも向けてもらえなかったことで、玲夜には心から愛する恋人がいるのだと思い込んでいた様子。
- 千夜
玲夜の父親。鬼龍院家当主で、あやかしで最も発言力があり、霊力も最も高い。
玲夜似の黒髪赤目の美形だが、柔和で優しげな面立ちで年齢不相応に若い外見。
全てのあやかしを取りまとめる最高位にあるが、かなり明るく軽い性格。
しかし、本性は玲夜以上に冷酷で腹黒く、鬼龍院に仇なす者は一切の容赦をしない。
妻の沙良とは一族の決めた政略結婚だが、仲睦まじくノリも非常に似ている。
息子の玲夜からは苦手に思われており、正直(両親の子ではなく)もらわれっ子なのではと未だに思われている。
花嫁になった柚子の後ろ盾となっており「僕の娘になる子」と可愛がりつつ、柚子を排除しようとする反対派をあぶりだして一掃する、柚子を誘拐した人間への報復を強く訴える玲夜を退けて人間とあやかしの友好関係を維持する等、当主としての実力は玲夜を圧倒的に上回る。
- 沙良
玲夜の母親。鬼龍院家当主夫人で、政略結婚だが夫との夫婦仲は良好。
線が細く幼げな容姿と雰囲気を持った女性で、夫同様軽い性格。
息子の玲夜だけでなく、義理の娘となる柚子にも優しく愛情を注ぐ。
彼女もまた生まれた時から始まる婚約者争いを制した政略結婚の妻で、霊力の高さも実力も桜子並み。
妖狐の当主である撫子と一緒に花茶会という行事を主催しているが、
あやかしでの発言権は撫子の方が高いためサポートに回っている。
- 狐雪撫子
妖狐一族の本家・狐雪家当主で九尾の狐。あやかしで二番目に発言力が高い。
白銀の髪が輝く人形の様に整った美女で、色打掛を艶やかに纏う。
古風な言葉遣いをしていて一人称は「妾」。
千夜よりも年上だが、千夜からは「撫子ちゃん」と呼ばれている。
花梨が柚子に危害を加えた時は、当主として花梨を花嫁とは認めず追放を命じた。
息子が3人おり、長男で次期当主の藤史郎は花嫁がおり、三男の藤悟は玲夜の同級生で親しい友人関係にある。
結婚した花嫁を招待する花茶会という行事を沙良と主催しており、表向きは花嫁同士の交流だが、内情はあやかしの異常な束縛に苦しむ花嫁を一日だけ解放するもので、花嫁を束縛したがるあやかしからは激しい憎悪と敵意を向けられている。
雪乃
玲夜の屋敷で働く、黒髪のお団子頭と泣きぼくろが特徴的な女性使用人。
分家のそのまた分家という一族では低い出自だが、本家使用人に抜擢されて長らく働いた後に玲夜が独立して屋敷に移った際に引き抜かれた。
柚子(玲夜の花嫁)の専属使用人は女性使用人同士で沢山立候補があったため、花嫁を守れるほどの戦闘力で競うという名目で屋敷にある人間国宝から与えらえた焼き物を破壊するほどの激しい戦闘の末に勝ち取るなど、戦闘力も霊力も高い。
柚子の信頼を勝ち得ており、玲夜のために料理や菓子作りをしたがる柚子と一緒に作業をしながら想像図では玲夜のように厳格かつ冷酷なイメージを抱いている玲夜の両親との顔合わせに緊張している様子に、笑いながらそんなことにはならないとフォローしている。(実際に雪乃のフォロー通り、想像図と真逆な人物であった)
原作7巻や漫画版では柚子のために戦闘に赴く場面もあり、彼女の家柄に反した高い霊力はあやかしが霊力の高い子を絶対産める花嫁と是が非でも結婚させようとするあやかし社会の価値観を裏打ちした存在ともいえる。
用語
あやかし
かつては人間と争っていたが、花嫁と呼ばれる人間女性との異類婚をきっかけに人間と友好関係を結ぶ。
霊力と権力を軸にした階級社会で、最高位は鬼。
一族内でも本家や分家といった序列が定められており、結婚は親より霊力の高い子を作るための政略結婚が大半を占める。
恋愛結婚は後述の「あやかしの本能」から少なく、政略結婚も一番最初に持ってこられた段階であれば好悪感情は多少斟酌されて無理強いされない模様。
容姿は髪や瞳の色が人間離れしている者が一部いるが異形の要素はなく、人間離れした美形。
戦前までは社会に隠れて人前に姿を現さなかったが、大戦で疲弊した戦後日本で人前に姿を現し、現代では人間社会で学校に通ったり会社を経営して人間が就職する等、街中で見かけるのは珍しいが業種次第では遭遇できるといったレベル。
男性のあやかしのみ、霊力を持っていない人間の女性のから花嫁を本能で選ぶ。
女性のあやかしは花嫁が見つかると一方的に婚約破棄や離婚されるほど立場が弱いためか、男性のあやかしに比べてドライで、霊力の高さと経済力で伴侶を選ぶ傾向にある。
あやかしの本能
花嫁はあやかし本人が自分で恋をして選ぶのではなく、本能と呼ばれるあやかしにしか備わっていない感覚で設定された自分の花嫁を発見するというのが正しい。
そのため年齢が離れすぎていたり、好みとかけ離れた女性が花嫁のこともある。
しかしすぐに年の差や好みがどうでもよいほど発見した瞬間から死ぬまで溺愛し、異常なほどの執着と独占欲を抱くという呪いのような感情に支配される。
花嫁が見つかると常に一緒に行動して離そうとせず、束縛が酷いあやかしは花嫁を一切外出させない花嫁の人権を無視した扱いをすることもあり、人間でいうDVシェルターのような花嫁を保護する法律もないため黙認されているのが実情。
また、交友関係や言動が花嫁中心になって性格が変貌してしまう者もいる。
花嫁と同性の友人や飼っているペットに対しても嫉妬心を抱くほどで、花嫁が自分に願ったから犯罪行為に加担するといった理性を捨てたあやかしも作中登場する。
花嫁があやかしへ嫌悪感を抱きどれだけ酷い態度を取ろうとも、花嫁が周囲に見捨てられるほど問題のある言動を続けようとも、本能が花嫁を嫌いになることを許さず、選び直すこともできないし、結ばれなかった花嫁を死ぬまで忘れられず愛し続けるという呪いのような性質も持つ。
ある方法であやかしの本能を消すことができるが、一度消した本能は元に戻せない。
上述のように本能だけで愛情を維持しているあやかしの場合、本能を消してしまうと花嫁への愛情も執着も一切失ってしまうが、花嫁の妊娠能力や霊力の底上げといった付加価値は残る。
霊力
全てのあやかしと一部の人間(作中では陰陽師が該当)が先天的に持つ特殊な能力。
霊力は生まれた時点で決まって後天的に上昇させることは基本できないが、唯一の例外が花嫁を見つけることで、花嫁がいるあやかしは後天的に霊力が上げられる。
人間は生まれた時は霊力が無かったが、後で霊力が発現する例が確認されている。
霊力の高さがあやかしの地位に直結しており、全てのあやかしは少しでも霊力の高い子を作って一族を繁栄させることを目標にしている。
あやかしが花嫁以外の人間と結婚しないのは、霊力を持たない人間とあやかしは子供を作ることができないため。
霊力が高いと自動で動く式神のような物を作る、結界を張って防御する、水をかけても消せないほどの炎を虚空から生み出す、重傷を傷跡一つなく治す治癒術を使う、傷を負っても自己治癒力で傷を自動的に治す、幻術をかけるといった不思議な能力を使える。
花嫁
人間の女性の中からごく稀にあやかしから選ばれる結婚相手。
数自体が非常に少ない上、名前・年齢・容姿・居住地全てノーヒントという条件であやかし本人が花嫁と接触しないと分からないので花嫁が見つかるのは奇跡と言われる。
花嫁は霊力が無いにもかかわらず相手のあやかしより霊力が高い子供を絶対産めるという稀有な能力を持つため、あやかしは政略結婚の婚約者と婚約解消し、花嫁と婚約・結婚するのが慣例。
下位のあやかしほど政略結婚では霊力の弱い子しか生まれないため花嫁が見つかると喜び、下位のあやかしの花嫁が鬼に称賛されるほど高い霊力の子を産んだ実例もある。
上位のあやかしは政略結婚でも十分霊力の高い子が生まれるため、実務能力や霊力の無い花嫁を侮り、特に本家のあやかしに選ばれた花嫁を認めないと反対する派閥が出やすい。
あやかしと違って無条件で相手を溺愛する本能が無いため、花嫁の中には恋人がいたり既婚者だったり、相手のあやかしを好きになれず結婚を拒むケースも存在する。
しかしあやかしの花嫁への執着、強い子供を産める能力といった理由であやかしが花嫁を素直に諦めるケースは作中で皆無。
本人だけでなく一族全体が総力を挙げて花嫁を確保しようと花嫁が毒親と絶縁して自分と同居するよう仕向ける、花嫁の実家を金で買収して実家から花嫁に結婚を強要させる、花嫁の実家に多額の借金を負わせて返済のカタに結婚を強要する、自分と結婚した花嫁を一切外出させない等、花嫁を手に入れるために手段を選ばない者が多い。
その強引さから愛し合っていた花嫁があやかしを嫌悪するようになるケースも少なくない。
花嫁の願いが叶って破談にできた事例もあるが、花嫁が人間だけの力であやかしとの縁談を拒否できたケースは作中一度も無い。
かくりよ学園
あやかしと花嫁の大半、富裕層の人間や陰陽師等の霊力を持つ人間が通う初等部~大学部までの教育機関。
庶民は借金しないと子供を通わせられないほどの多額の学費と寄付金がかかることから、私立と思われる。
大学部はあやかしと花嫁は軽い面接のみで受験免除と特別待遇でエスカレーター進学できるが、花嫁以外の人間は高い偏差値の一般受験を経ないと入学できないあやかし優位の校風。
花嫁学部という花嫁しか入学できない専用学部があり、就職ではなくあやかしの妻に相応しいお嬢様教育といった授業科目が大半を占めている。(ただし偏差値が高いため授業内容は高度かつ、4年で上流階級の令嬢に育成するため成績が平凡な女子生徒は泣きを見るレベルで辛い。)
学生の花嫁が見つかったあやかしは花嫁の誘拐対策のセキュリティが強い、花嫁の接し方を心得ているあやかしと人間の男性教師や男子生徒しかいないので安全、一緒に学校に通えると花嫁にかくりよ学園の転校を強制する者も少なくない。