曖昧さ回避
概要
1960年代から80年代にかけて、ソビエト連邦が打ち上げた金星探査計画(ベネラ計画)、およびその計画に使用された宇宙探査機(1号∼16号)の名。初めて金星表面への着陸に成功した探査機である。
道程
前半は、金星特有の高温・高圧の大気のため、探査機の着陸カプセルがその大気に耐え切れず壊れてしまい、何度も地表の観測に失敗した。また、観測に成功した着陸カプセルもその過酷な環境ゆえ他の探査機に比べ稼動寿命は短くならざるを得なかった。(設計寿命は着陸後30分以上、実際の稼動寿命は約1時間) 基本的に放熱という概念自体成り立たないな環境なので(放熱しようとすれば逆に熱が流れ込んできて自爆になる)、ソ連の金星探査機は魔法瓶のような熱伝導を絶つ保温構造になっており、金星突入前に内部を冷却し、着陸後は排熱を一切あきらめて、外部からの熱伝導や内部機器の発熱で内部温度を上昇するに任せた。温度上昇で探査機が破壊される前に可能な限り観測を行いそのデータを即時に伝送するという方法がとられた。探査機の寿命=熱で破壊されるまでの時間は数十分に過ぎなかった。しかも耐圧・断熱構造に重量を割く必要があったため搭載可能な観測装置の重量は限られていた。
このように困難が伴った一方で、極めて濃厚な大気のため減速・着陸は容易であった。
べネラ着陸機はパラシュートや減速ロケットのようなものは装備しておらず、
探査機上方にあるシルクハットのつばのような部分がパラシュートの役割を果たした。
この部分の直径は2.2メートルしかないが、それでも減速には十分だったのだ。
幾度もの挑戦の末着陸に成功したカプセルから送られた電送写真により、それまで厚い雲により暗いであろうと考えられていた金星の地表が実際は明るいことが判明した。(そのためベネラ計画探査機の着陸カプセルには地表撮影のために照明が取り付けられていた)