概要
MOTHER3の登場人物。
タツマイリ村に現れた謎の行商人。鼻の下にヒゲを生やし、日除けのようなものがついた帽子、ないしターバン(クーフィーヤ)を被ったアラビアンな装いである。
実はその正体は、ブタマスク達の親分と言える存在。ただしブタマスクたちからの人望はあまりないようである。
サルサを利用して「シアワセのハコ」を配り、村の暮らしを変えようとした(村人達への洗脳と同義)。
恋人同然であるサルコを人質(もといさるじち)にして、反抗したらおしおきマシンで電気ショックを浴びせたりするなど、サルサを奴隷同然の扱いをしたりするド外道でもある(しかし、味方としての戦闘力はNPCの中では最強レベルである)。
「ヌヘヘ」と下品な笑い方をする。また、大好物である高級バナナを食べた後、皮をすぐ近くに放り投げる癖がある。
皮肉なことに、イカヅチタワーの頂上から真っ先に脱出しようとした時、振動でバランスを崩したところにたった今己が捨てたバナナの皮を踏み、滑って頂上から転落するという自業自得とも言える最期を遂げた(ちなみに、滑り落ちる時は何故か肉声が入っていた)。
メカキマイラとしての復活
死んだかと思われていたが、なんとメカキマイラとして改造を受け、ニューヨクバ(『入浴場』ではない)として蘇った。火山で針を目指すリュカ達の前に現れ、イカヅチタワーから落とされた恨みから襲って来る(ただし、前述通り完全な逆恨みである)。
下半身が機械となっており、飛行用ロケットを装備している。そしてなぜか鼻からラッパが出ている。それはギャグでやっているのか……。
声帯に甚大な損傷でもあるのか喋ろうとするとラッパを吹いてしまい、まともにな会話にならないため、通訳用のロボである「ツーヤク」を通して話す。が、このツーヤクもどこか抜けていると言うか、糸井節である。
見かけに寄らず高い戦闘力を持っている(と言うか、これまでの相手とは間違いなく一線を画する強敵である)。高ダメージの攻撃に加えどわすれ状態やノミ状態といった相手を状態異常にする攻撃を使ってきたり、高級バナナにかぶりついてHPを回復したりする。リュカ達に負けると大人しく撤退する。
その後ニューポークシティの下水道にて、さらにパワーアップしたミラクルヨクバとしてリュカ達の前に現れる。更なる改造によって戦闘能力も、ラッパの本数もかなり向上している。
一定のダメージを与えるとラッパが抜け落ちるが、憎しみに心を支配され、本気を出す。具体的には、最強の攻撃PSIであるPKスターストームを何度も使ってくる。
敗北後は下水道の水の中に墜落するという無残な結末を迎える。
ちなみに、キングPに対しては忠誠心が非常に厚く、自身がサイボーグ(メカキマイラ)に改造されても最後まで従っていた。
ヨクバの正体(ネタバレ注意!)
彼の正体は、実はマジプシーのひとりである「ロクリア」。物語的には最後のハリになる、エンパイアポーキービル地下のハリの守護者だった。他のマジプシーとの関係は良かったはずではあるが、なぜかポーキー側に寝返った。
戦闘中に服装のことを考えたり、ドラゴに追い詰められた時にオネエ口調になったりとオシャレが好きで男でも女でもないマジプシーらしいそぶりを見せていたほか、なぜかクマトラの事を知っている(※クマトラはマジプシーのイオニアに育てられたため、ロクリアは成長した後の顔も知っていたと見られる)と、伏線は随所に張られていた。またメカキマイラになった後のラッパのBGMはマジプシーのBGMであり、最終戦で本気になった時はスターストーム等の強力なPSIを使うなどの描写もあった。
そしてエンパイアポーキービルの途中にあるマジプシーの家では、大量に置かれているバナナの箱、ロクリアのかたみなどが置かれており、ヨクバ=ロクリアであることが示されている。同階には砂漠のような背景が描かれており、服装のイメージも広大な砂漠のある中東風である。ここから、ヨクバ=ロクリアは本来デス砂漠のマジプシーであり、ニューポークシティはデス砂漠の真上に建設されたのではないかという考察もある?
またフロアを上がる度にリュカ達を茶化す放送をするポーキーだが、ロクリアのフロアを調べた後だけは明らかに不快感と敵意を顕にしてくる。ポーキーなりにロクリアに対して思うところがあったのだろうか。
「かねつきおとこ」のリダは「7人のマジプシーの中にひとりだけいた裏切り者は、まだ君達があっていないはずのロクリア」と語っている。その通り、ポーキーに対して7つの針の事だけでなく、タツマイリ村の秘密を話したのもロクリアである。
リダ自身もヨクバとなったロクリアを作中で目撃しているが、ロクリアが裏切った事自体も知っていた。それにも拘わらず、ヨクバがロクリアだとは気づかなかったらしい。
なぜ裏切ったのかは結局のところ不明である。糸井重里自身も実は答えを用意していないらしいが、「きっと悪いヤツに会っちゃったんでしょう」とも発言している。
二次創作においても、ポーキーやタツマイリの村人達が来るより前にノーウェア島への闖入者がいた、先代のマジプシーと確執があった、タツマイリ村設立にあたっての記憶操作に反対の立場だったなど様々な考察・解釈がある。
ペットのネズミのことはとても可愛がっていたようで、部屋を訪れるとネズミが以下のようなセリフを話す。
みんなには かんじのわるい
ひとだったかも しれないけど
ぼくには とても
やさしいひと だったんだ。
もう かえってこないのかなぁ。
さびしいよ。
このセリフには元ネタがあることを「ほぼ日」で糸井が言及しており、松尾和子の『再開』という曲の「みんなは悪い人だと云うが 私にゃいつもいい人だった」という歌詞にインスピレーションを得たという。この曲は離れ離れになった恋人を想った歌であるが、実は恋人は刑務所(※「監獄の壁」というフレーズがある)に入ってしまった…という展開である。→当該の記事
ヨクバは、いわば善悪どちらも併せ持つ立ち位置の1人。糸井曰く、「こういうどっちつかずな面を楽しめないと、MOTHER3とは相性がよくないかも」とのこと。
人間誰しもが、多かれ少なかれ良い部分と悪い部分を持っており、その配分は人によって大きく違うだろうが、完全に「この人は全面的にいい人」「全面的に悪い人」と言い切れる人間はめったにいない。そういう意味で、リアルな人間像とも言える。