主に肝臓の病気(肝臓病)を調べるために使われるが、ALTと異なりASTは心臓や筋肉の病気でも数値が上昇することがある。
概要
そもそもASTとALTは共に肝臓などに存在する酵素のことである。
ASTの正式名称はアスパラギン酸アミノ基転移酵素。昔はGOTとも呼ばれていた。
ALTの正式名称はアラニンアミノ基転移酵素。昔はGPTと呼ばれていた。
大きな違いとしてはASTは肝臓だけでなく心臓や筋肉などにも豊富に含まれているが、ALTはほぼ肝臓にしか存在しないという点があげられる。
肝臓などの細胞が壊されると血液中に流れ出るため、検査では数値が大きいほど多くの細胞が破壊されていると推測することができる。
検査におけるASTとALT
AST、ALT共に単位はU/L。
正常範囲は30以下。31以上は要注意。(ただし、検査を実施している病院によってはAST:35以下、ALT:40以下でも正常と判断される場合がある)
51以上になると要精密検査となることが多い。
特に100以上の場合は明らかに治療が必要な状態と考えられるので、すぐに病院に行くべきである(目安としては100以上で進行した脂肪肝や慢性肝炎の疑い、500以上で重い急性肝炎の疑い、1000以上で劇症肝炎が疑われる。)。
疑われる病気
実はASTとALTの比率である程度病気を推測することができる。
例えば非アルコール性脂肪肝や慢性肝炎ではALTが上昇するが、ASTは上昇しにくい。
ただしALTと共にASTも上昇傾向にある場合は肝炎が進行していたり既に肝硬変になっている危険性もある(肝硬変まで進行するともう治らないので注意)。
アルコール性脂肪肝ではAST、ALT共に上昇する。さらにγ-GTPも上昇する。
急性肝炎では急激に肝臓の細胞が壊されるため、AST、ALT共にかなり上昇する。
逆にALTは低いがASTだけが高い場合は心臓や筋肉、血液の病気が疑われる。
ただし血液検査の数値だけでは何が原因でASTやALTの数値が上がっているかまでは分からないので、精密検査では肝炎ウイルス検査や腹部超音波(エコー)なども行われる。
例えばALTが高かったので脂肪肝だと思って食事や運動に気を付けていたがそれでも数値は下がらず、実は脂肪肝より危険なB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染していた、なんてパターンもある。