概要
別名、血液検査。
血液を遠心分離器にかけて有形成分(赤血球、白血球、血小板など)と無形成分(血清)とに分離し、血清といわれる液体部分を生化学的に分析し、健康状態や病気の程度を調べる検査である。この検査により内臓系の肝臓や腎臓の異常をチェックすることができる。
主な検査項目
タンパク質
- 総蛋白(TP、トータルプロテイン) - 肝臓、腎臓障害の有無を調べる。
- アルブミン(Alb) - 血清中のたんぱく質の主成分。
- A/G比(アルブミン/グロブリン比) - 肝臓障害(肝臓病)の診断。
- ZTT(硫酸亜鉛混濁試験) - 血清中のタンパクの混濁によって測定し肝臓障害の有無を調べる。
- CRP(C反応性蛋白) - 血清中のCRPを測定し体内での炎症有無を調べる。
血中脂質
- 総コレステロール - 血液中の全てのコレステロールのこと。
- Non-HDLコレステロール - 血液中のHDLコレステロール以外の全てのコレステロールのこと。動脈硬化の危険因子である。
- HDL(善玉)コレステロール - 40未満だと脂質異常症と診断され、動脈硬化の危険性が高まる。
- トリグリセライド(中性脂肪) - 150以上は要注意、特に400以上になると動脈硬化や急性膵炎の危険性が高まる。また30未満もエネルギー不足や免疫力低下などを招くため危険。
- LDL(悪玉)コレステロール - 140以上だと脂質異常症と診断され、特に180以上は動脈硬化の危険性が高まる。逆に59以下も免疫力低下を招くため危険。
糖質
- 血糖(血糖値) - 血液中のブドウ糖濃度を測定し糖尿病の診断、治療の経過観察を行なう。空腹時血糖値100以上は要注意、110以上は耐糖能異常(糖尿病予備軍)、126以上は糖尿病と診断される。
- ヘモグロビンA1C(HbA1C) - 過去1~2か月分の血糖値の平均値に大きく左右される。5.6%以上は要注意、6.0%以上は糖尿病予備軍、6.5%以上は糖尿病が強く疑われる。
色素
酵素
- CHE(コリンエステラーゼ) - 肝臓機能の障害有無を調べる。
- ALP(アルカリホスファターゼ) - 血清中の骨の形成に関与する酵素の濃度を測定し、肝臓の障害、骨、骨盤の異常の有無を調べる。
- γ-GTP(グルタミルトランスペプチダーゼ) - たんぱく質を分解する酵素の1つで肝臓や胆道の病気・障害の有無を調べる一時検査として行なわれる。基準値は50以下で、101以上は要精密検査(要精査)となる。アルコールの飲み過ぎでも上がることがある。
- GOT(AST)(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ) - 肝臓や心臓、筋肉の病気・障害の有無を調べる。基準値は30以下。51以上は要精密検査。詳細はAST・ALTを参照。
- GPT(ALT)(アラニンアミノトランスフェラーゼ) - 肝臓や胆道の障害の有無を調べる。基準値は30以下。51以上は要精密検査。なお脂肪肝ではASTよりALTの方が高くなりやすい(ただしアルコール性脂肪肝は例外でASTの方が高くなる)。詳細はAST・ALTを参照。
- CK(クレアチンキナーゼ) - 全身の筋肉のエネルギー代謝に必要な酵素で骨格筋、心筋、脳の障害の有無を調べる。
- LDH(乳酸脱水素酵素、乳酸デヒドロゲナーゼ) - 体内でブドウ糖がエネルギーとして変わるときに働く酵素で肝臓、心臓、骨格筋、血球の異常の有無を調べる。
- 血清アミラーゼ(AMY) - デンプンなどの糖を分解する消化酵素で膵臓障害の一時検査として行なわれる。
- リパーゼ - 脂肪を分解する消化酵素で膵臓障害の有無、経過観察に行なわれる。
電解質(ミネラル)
- ナトリウム(Na) - 体の水分調節を行なう。
- カリウム(K) - 筋肉や神経の働きに関与している。
- 塩素(Cl) - 体の水分調節を行なう。
- リン(P) - 糖などのエネルギー代謝に関与している。
- カルシウム(Ca) - 骨をつくる、血液を凝固させる、神経や筋肉の働きに関与する。
- 鉄(Fe)
- マグネシウム(Mg)
窒素
- 尿素窒素(BUN) - 腎臓、肝臓の病気の有無を調べる。
- 尿酸 - DNAやRNAの構成成分であるプリン体からできている物質で、痛風(高尿酸血症)や腎臓障害の有無を調べる。
- クレアチニン - 筋肉を動かしたときにできる物質で腎臓障害(腎臓病)の有無を調べる。