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デファイアントの編集履歴

2012-07-27 14:21:32 バージョン

デファイアント

でふぁいあんと

正式には「ボールトンポール デファイアント」。前方銃を持たず、旋回機銃のみを武器とする。大英帝国の生んだ奇妙奇天烈・摩訶不思議。(のひとつ)

ああ無情

イギリス空軍の壮大なカン違いの申し子。

よく考えれば予想できた失敗作。

『デファイアント』とは「挑戦的な」という意味だが、それにしたって程があるだろう


ちなみに旋回機銃は前方には射撃できない。

なぜ気付かなかった


ちなみになぜつくられてしまったかというと、

「低翼単葉機の時代にはお互いの速度が速くなりすぎ、正面切って機銃を撃ち合う余裕などなくなる」

という考え方があったそうな。

実際には超音速の時代に入っても戦闘機の機首から航空機銃が姿を消すことはなかったのだが。

(ちなみにアメリカ軍が似たような想定で失敗こいたのがかのF-4ファントムの初期型である)


空軍の失敗作

旋回機銃は重量があり、戦闘機には重すぎたのである。

同系列のエンジンを積んだハリケーン戦闘機にさえ劣る飛行性能であり、

バトル・オブ・ブリテンの初期に大損害を負って引き上げられている。


原因はもちろん『旋回機銃』である。

前方には射撃できず、そもそも機銃手と操縦は分業である。

よほど連携して攻撃できるのなら話は別なのだが、空戦中にそんな余裕はない。

そもそも旋回機銃は防御兵器なのだ。


たしかに旋回機銃は戦闘機にとって脅威である。

しかし、それは爆撃機が編隊を組んで相互防御している時だけである。

敵機を寄せ付けないための旋回機銃である事を忘れていたのだ。


結局、昼間に戦闘機を相手にしたところで太刀打ち出来ない事が損害から明らかになり、

42年には戦場から引き上げられる事になった。


鳥かごの憂鬱

旋回機銃の機銃手の生存率が低いのも問題だった。

狭いので機銃手はパラシュートを付けられず、緊急脱出も困難だった。

乗り降りには機銃を上に向け、さらに旋回機銃も前方に向けなければならないのだ。

墜落中にそんな悠長な事をしてるヒマは無かった


競作機の存在

駄っ作機として名高いデファイアントだが、競作機があったことはあまり知られていない。

その名はホーカー ホットスパー

名門ホーカー社が競作に参加していたのである。

しかしこのホットスパー、デファイアントやロックと異なり、7.7mm1丁だけだが前方銃を搭載していた。

デファイアントに軍配が上がったのは表向き「飛行性能で劣っていたから」だそうだが、

本音は前方銃をつけたことが気に入らなかっただけだろうと邪推せざるをえない。


まぁ、そのおかげでホーカーは普通の戦闘機(ハリケーンタイフーンテンペスト)に専念できたわけだが。


闇に隠れて生きる

さて、42年には戦場から引き上げられてしまうデファイアントだったが、夜間戦闘機にも転用されている。

戦闘機がダメでも、爆撃機ならそこそこ活躍できると考えたのだ。

こちらは機銃手が斜め銃のような役割をする事で、ある程度の戦果を挙げたようだ。


そのまま転用された機体はNF.Mk1と呼ばれた。レーダーを搭載してNF.Mk1Aとなる。

その後レーダーとエンジンに改良を加えられてNF.Mk2に発展した。

しかし操縦士はレーダー手と兼任で、使いにくいと不評であった。


41年半ばにはモスキートが活躍し始めているので、「つなぎ」だったのだろう。


その後のデファイアント

その後は旋回機銃を取り外し、訓練機や標的曳航機などの雑用機に転用された。

つまりどうでもいい用途に使われたのだ。

(レーダー妨害機に使われた機もあったが)


ユニークだったのはASR.Mk1という型だ。

海で漂流者を探し、圧縮空気で膨らむゴム製救命ボートを投下する役割である。

同じような用途ではアメリカのSB-17救難機があるが、こちらは通常のボートが使われた。また日本では使い捨ての救命ボートという概念がなく直接着水できる大型飛行艇や水上機がこの任に当たった。


関連タグ

第二次世界大戦 イギリス軍 英国面

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