「俺が白紙に戻せと言ったんだ。それに従うのは当然のことだろうが。頭を下げ、のたうち回ってでも取り消すんだよ。それが無理なら首を吊って死にやがれ」
「俺には今しかねえんだよ。ここで引き下がることは出来ない。俺は政治家のまま死ぬつもりだからな」
概要
政権与党・市民党の幹事長で派閥「直江派」トップ。
綾小路清隆の父である綾小路篤臣が、国会議員時代に師事していた老獪な政治家。
側近の篤臣に人材育成プロジェクト(後のホワイトルームプロジェクト)を提示した張本人である。
略歴
0巻のネタバレ注意
何の後ろ盾もなく、初の国会議員選挙に出馬したものの、惨敗を喫した綾小路篤臣が後ろ盾になってもらうべく取り入り、忠誠を誓った市民党の重鎮。
直江本人は、清廉とは程遠い、権謀術数に長け、敵対者の抹殺も辞さない傲慢・冷酷な性格であり、政界のフィクサーと言える老人。そんな男の下で篤臣は誰もやらないような裏仕事に粉骨砕身したことで直江の信用を得るに至り、その側近に抜擢された。
ある日、直江に呼ばれた篤臣と直江派所属の二世議員の鴨川は、将来の総裁選を睨み、高度育成高等学校の立案という実績を持つ飛ぶ鳥を落とす勢いの若手有望株の鬼島に対抗すべく、全く新しい「人材育成プロジェクト」を提示して、篤臣を計画の責任者に命じる。
失敗に備えて直江は一切関与せず、篤臣の全責任の下で、資金・人員集めからスタートすることになり、篤臣の卓越した手腕によって数年後には「人材育成プロジェクト」は軌道に乗り、篤臣はその計画および施設の名を「ホワイトルーム」と名付ける。
それから10年以上の月日が経ったある日、篤臣と鴨川は直江に呼ばれ、突如、ホワイトルームの中止を命じられる。間近に迫った次期総裁選で直江は鬼島に及ばないことが判明し、総裁選で敗れれば党内での直江の権威は失墜することから、鬼島支持に回って、今の地位を維持することを確約されたのであった。また自身こそが最高の政治家と自負していた直江も、政治家の資質で鬼島に敗れたことを悟っていた。
その手打ちの条件の一つが、ホワイトルームの中止であり、鬼島も高育に続く新たな人材育成計画を水面下で進めており、篤臣のホワイトルームが邪魔なものとなっていた。また直江自身も篤臣の卓越した手腕を脅威に感じ始めており、いずれ自身の後を継ぐ息子の地位を脅かすようになることを予感していた。
市民党の重鎮である両名に睨まれることになった篤臣は、他の者達と同様に自身も直江に切り捨てられたことを悟り、手塩に掛けたホワイトルームを放棄すれば、国会議員こそ続けられるものの、日本のトップに立つという野望は潰えることから、そこで直江から離反した。
直江と決別したことで篤臣は市民党での居場所を失って辞職、下野して引き続きホワイトルームの運営者として再起の日まで力を蓄えることになり、自身に楯突いた篤臣のホワイトルームを潰すべく、直江は関係各所に圧力をかけ続け、以後、二人の暗闘が繰り広げられることになった。
その後、本編2年生編8巻の修学旅行中のニュース番組で、闘病中であった直江が死去したことが報じられた。