ゲゲ郎
げげろう
「お主、死相が出ておるぞ」
「嫌だね、わしは諦めが悪いんじゃ・・・!」
「我が子よ・・・」
概要
CV:関俊彦
正式なキャラクター名は「鬼太郎の父」。
劇中での呼び名である「ゲゲ郎」は、彼の姿を見たどこかで見た事がある少年が『ゲゲッ!?』と反応したことから、水木に付けられたものであり、本名は不明。
行方知れずとなった妻を探し、知己からの情報を得て哭倉村に向かう途中、夜行列車の中で水木と出会う。
その後、村の権力者である龍賀家長男殺害事件に遭遇。容疑者として捕縛された状態で水木と再会する。
当初は野心塗れの水木を軽蔑し、言いつけをまるで無視していたが、彼の良くも悪くも素直な人柄を知り、本心を語り合う内に少しずつ彼に信頼を寄せていく。
容姿
バサバサとした白髪と四白眼(黒目の上下左右が白目)、ひょろりすらりとした長身により、飄々とした雰囲気が醸し出されている。
人間の犬歯にあたる部分には短い牙が生えている。服装は次縹(つぎはなだ)色の着物を着用しており、履物は下駄。先祖代々伝わる家宝として「霊毛組紐」を左手首に巻いている。
髪に隠れて見えにくいが、両目は健在。
人物
一人称は現在と変わらず「わし」の老人口調。
常に冷静沈着、博識と聡明さを兼ね備え、そして何よりも妻にベタ惚れの愛妻家。
平和主義で、不必要な争いは好まず、礼儀作法も弁えている。子供には優しく、時弥のことも「時ちゃん」と呼び可愛がっていた。
普段は達観した様子で物事を語るが、水木との運命的な出会いによって、その姿勢も大きく変化するようになる。
かつては人間嫌いで、人間と関わらずに生活していたが、妻となった幽霊族の女性の影響で人間とも交流をするようになった。実は中々の泣き虫であり、感極まったり酒に酔うと直ぐに泣いてしまい、妻からも「泣き虫」と言われるほど。
またこの頃から風呂好きだったらしく、水木の監視の目を盗んでしたことは天然の露天風呂に浸かることだった(知り合いの妖怪から情報収集するという目的もあったが)。
回想によると、都会で社交的に暮らしていた妻とは対照的に、長らく人里から離れた山奥で原始的な一人暮らしを送っていたと思われる節がある。
戦闘能力
基本的にはリモコン下駄や体内電気、髪を伸ばして敵に巻きつけるなど、息子と同様の能力を用いる。
特に身体能力は木製の柵を一瞬で握り壊せる程のパワーの他、多数の相手を翻弄するスピードなど凄まじい物がある。
- この場面は迫力を出すために、エースアニメーター太田晃博による手描きで制作された。太田はアクションシーンを自ら演じて撮影、その動画を基にして描き上げたという。モップを振り回しての大立ち回りであったらしい。
ファンによる考察
- 人間界での通り名は他にあると思われるが、幽霊族としての個人名自体は持っていない可能性もある。
以下、ネタバレ注意
劇中での活躍
かつては妻と共に幸せに暮らしていたが、ある日妻が失踪したため、その行方を追って各地を放浪していた。
- ゲゲ郎の妻を知る龍賀家次男・孝三が心身喪失したのが10年程前との発言がある為、少なくともそれ位の時間は経過していると思われる。
妻の気配を追って哭倉村へと向かい、夜行列車の中で水木と運命的な出会いを果たす。
哭倉村では村内を探る怪しい余所者として、連続殺人の容疑をかけられ、私刑により殺されそうになる。しかしその事態に驚いた水木が思わず割って入り、その場にいた克典にとりなしを頼んだため、監視と称して厄介払いされた水木共々、長田家の座敷牢へ放り込まれた。
村人同様ゲゲ郎を怪しむ水木と、元々人間を好いていなかったゲゲ郎では当然互いに信頼など無く、東京の話を聞きたがる時弥に明るい話ばかりする水木をゲゲ郎は『お為ごかし』と馬鹿にして彼を鼻白ませ、更には水木の口八丁に騙されたことから初めは互いに険悪ムードだった。
そのため大人しくしていろという水木の頼みもまるで無視して気ままに行動していた。
しかし、危険だという禁域に向かうゲゲ郎を案じ、水木が慌てて追いかけてきたこと、逆にその水木が凶暴化した妖怪に襲われるところをゲゲ郎が助けた事をきっかけに、二人の関係は変化していく。
妻の行方、Mの秘密と、互いの求めるものがこの村にあると睨み、手を組むよう持ち掛ける水木、「何を見ても逃げるでないぞ」と告げた上で承諾するゲゲ郎。本心を語り合う仲になった二人は、ついに村の秘密にたどり着くが……。
※この先重大なネタバレ注意
「友よ、お主が生きる未来……」
「この目で見てみとうなった!」
夫として、父としての選択
闘いの果てに漸く妻と再会したゲゲ郎だが、狂骨の暴走を鎮めるために自らが依り代となることを決意。水木に妻と霊毛ちゃんちゃんこを託し、再会を約束して別れる。
しかし膨大過ぎる怨念を受けきれず、その体は腐り、醜く崩れてしまった。
彼のその後は、終幕後のスタッフロールにおいて、原作『墓場鬼太郎』のエピソードを取り込んだセリフのないカットで語られる。
- 崩れる全身に包帯を巻き、古寺で愛妻と二人、隠れるように生活するゲゲ郎。
- 何かに導かれるように古寺を訪れるが、村での記憶を失っているためゲゲ郎がわからず、逃げ出してしまう水木と、追いすがるゲゲ郎。
- 息を引き取った夫妻と、妻の遺体を埋葬する水木。我が子を案じる執念から、目玉のみの姿となって見守り続けるゲゲ郎。
そしてスタッフロール後のラストシーン、墓から自力で這い出して来た赤ん坊の鬼太郎と、何かを悟ったように鬼太郎を優しく抱きしめる水木。ゲゲ郎はその姿を、遠くから見守っていた。