人物
名前:イヅツミ(通名:アセビ)
種族:トールマン(※魔獣側の種族は不明)
年齢:不明
出身:東方諸島地域
呪いによって獣人となってしまった年若の女性。
当初は主人公の仲間であるシュローの家来として黒子のような装束で身体的特徴を隠して登場し、彼に従い迷宮に突入した。
しかし、あまり忠義や恩情は抱いていなかったようで、あるモンスターとの戦闘の折に脱走。しばらくライオス一行を尾行していたが、足抜け防止のための呪殺の紋様の解呪のためマルシルを人質に取る形で姿を現す。
しかし本当のところは、黒魔術(正確には古代魔術)を行使したマルシルを利用して大猫と呼ばれる魔物の魂と融合してしまった自身の体を元に戻すのが目的。
この目論見は本人から早々に匙を投げられてしまい頓挫してしまうが、彼女より遥かに古代魔術に詳しいと見られる狂乱の魔術師との接触に解呪の一縷の望みを託し、半ばなし崩しに一行に加わり迷宮の深部を目指すことになる。
能力
身体能力が非常に高く、特に身のこなしが軽い。すばやく正確な動きでたびたび仲間のピンチを救っている。
苦無を得物にしているが体術にも優れ、脆弱な魔物なら蹴りで仕留められるほど。総じて我々が知るところの「忍者」系のジョブに近い特性を持っている。
また、混ぜられた魔獣の特性によって全身は体毛に覆われ耳や尻尾は猫のそれになっており、顔つきも目元などにやや獣っぽい印象が残っている。半獣の身体のためか羞恥心が薄く、異性の前で裸になることに戸惑いがない。四肢の爪も鋭く伸びており、引っ掻きに用いれば当然強力な武器になる。なお、尻尾の生え方や複乳かどうかを確かめようとした変態は仲間たちの手で力づくで抑え込まれた。
また、これは長所でもあり短所でもあるのだが、二つの魂が混ぜこぜになった状態のため、精神依存系の効果に対して人と魔物両方の効果が出てしまうことがある。例えば魔物を鎮静化する術式結界に入ると人間部分の人格まで抑えられ、体格の大きな猫のように大人しくなってしまうし、魅了に対しては人と大猫の魂双方で好みが異なるため、チャームを無効化して反撃することが可能。
性格
一言でまとめると「気まぐれで身勝手」
本人の傾向も多分にあると思われるがまさしく猫のような性格である。
置かれてきた境遇から無頼の気質が強く出ており、連携であったり、味方のピンチを助けたりといったことをあまりしない。人と馴れ合うことも基本的に好まず、当初は仲間を見捨てて単独行動するなど自己中心的なところもみられたが、マルシルに窮地を救われてからはパーティで行動するうち戦闘において味方のフォローを積極的にしたり、多少なり相手の心境を気遣ったりするなど、協力的な姿勢がみられるようになった。
また人の心の機微などを全く無視するというわけでもなく、センシの壮絶な過去を聞いた際には茶化したり、興味ないとして欠伸をすることもなく神妙に聞いていた。むしろその話を聞いてなお「じゃ食べてみるか」とか言い出したライオスに「アイツなんなの」と呆れている。
基本的に良識は弁えており、マルシルやチルチャックとはベクトルの違う常識人枠でもある。ためにツッコミ役として忙しく立ち回ることもしばしば。
また当人が魂を分離したがっているようにアイデンティティは人間に基づいており、獣の部分を殊更に指摘したり獣扱いするのは地雷案件である。
特記事項として幼少時から躾に縁がなかった&されても従う気がなかったためか、食事のマナーがとても悪い。おまけに食料が限られる迷宮内にもかかわらず好き嫌いが激しく、嫌いなものには絶対手を付けない上に極めて飽きっぽい。当然センシからは折に触れ𠮟られているが、彼女でも飽きずに食べられるよう色々と苦心して献立を考えるなどそれなり以上に気を遣ってもらっている。美味しい料理を作ってくれること、自分に親身に接してくれたことから最も心を許しており、どこか祖父と孫のような関係となっている。
何だかんだで彼女にとってライオスパーティーは居心地が良かったのか、迷宮探索の旅に最後まで同行することになった。自由勝手な性分こそ変わらなかったが、様々な出来事を経て仲間を思うようになり、ある意味一行の中で一番人間的な成長を遂げることになった。
迷宮の事態が解決したら自分を獣人にした魔術師にお礼参りに行くつもりだったようだが(実際に行って帰ってきたのかもしれないが)、最終巻のおまけ漫画で描かれた限りでは黄金郷周辺に帰ってきており、自分の姿に折り合いをつけたのか獣人姿のままで、魔物を狩ってきてはライオスに買い取ってもらったり、食事の席に呼ばれたりしている様子。
来歴
東方諸島で生まれて間もなく何者かの手によって大猫の魔物の魂を混ぜ込まれており、以降は食べるものすら碌に与えられない人間以下の扱いを受ける。なお、母親との記憶が全くないため、物心つく前に離別したか、死亡したものと思われる(深層意識から形作られた幻はモンゴルなどの遊牧民族を彷彿とさせる衣装に身を包んでいる)
しばらく見世物扱いされていたが、ある時シュローの父親に買い受けられ、半本家お抱えの忍びとして育てられることになる。この時点で既に人間不信を極めており、躾を聞かない、言いつけは守らない、目上の相手を敬わないと身内からも問題児扱いされていたため、最終的に足抜け防止のため呪殺の呪いをかけられてしまうこととなる。
当然仲の良い相手などいるはずもなかったが、似たような境遇で素直な気性の持ち主であるイヌタデとはある程度打ち解けていたようだ。
余談
憎まれ口を叩く者同士でチルチャックとも最初は対立していたが、のちに和解。とはいえ作中度々注意されては反抗する間柄だったが。
好物は米と魚。
本格的な魔物食に関しては当初かなり抵抗したが、最近は魔物のハンバーグを喜んで食べるなどかなり変化がみられている。
また蟹に似た味がするバロメッツにはがっつく勢いで食べていた。
なんと、第41話にて「茸嫌い」といって捨ててしまうほどだったキノコを、第55話にて「キノコうまい」と言うまでに成長。
恐るべしはセンシの料理の腕前。
…ただ、続く第56話の「カリカリ茸とタマゴのサンドイッチ」では、イヅツミのものはキノコ抜きになっていることから、恐らくチェンジリングでイヅツミの種族が一時的にオークに変化していたことにより、キノコへの抵抗が無かったものとも思われる。
プロトタイプ?
ダンジョン飯の連載前、つまり「予告」にあたるミニ漫画に、名前こそ公表されていない(これはライオス達も同様)が、
イヅツミの外見をした猫耳の忍者のキャラクターが先行登場している。
その時の彼女は宝箱を見つけたもののそれがミミックであったことを残念がっていたが、他のメンバー(特にライオスに該当するキャラとセンシに該当するキャラ)は食材となるミミックを見つけたことに目の色を変え、鎖でミミック入りの宝箱をぐるぐる巻きにした後に隙間から調味料を流し込み、そのまま(熱で蒸す形で)火焙りにした。
その情景を見ていた彼女の反応は、「そっ、そんなひどい!」と発言しており、口元を両手で覆い隠すなど、どことなく乙女なリアクションをとっており、本編の彼女と比べればギャップを覚えることだろう(本編側では首狩り兎の解体を喜々として行っているため)。
これらの性格や反応などは、本編においてはライオス達がテンタクルスを料理にした時のナマリに受け継がれたものと思われる。
衝撃の事実
連載終了後に発売された「冒険者バイブル完全版」に追加された漫画によるとイヅツミは人に獣の魂を混ぜた獣人ではなく、人間の魂を混ぜた獣で、常に人化した状態にあるとのこと。