概要
主に画像生成AI及び生成物を嫌悪している人物への総称。
画像生成AIが普及したタイミングで生まれた言葉である(普及は文章生成AIが早い)
「反AI」という言葉を普及させたのはAI規制派のよー清水氏であるとみられ、彼のポストを境に反AIという言葉が自称他称問わず多用されるようになった。(それ以前は反AIという言葉を含むポストのうち100件以上いいねが付いていたポストは2件しかなく、いずれも意味合いが現在と若干違う用途で使われていた)
2024年現在では自らを反AIと自称する人は減少傾向にあり、規制派の中でも後述するような、規制を目指すあまりに過激な要求をする人達に対する蔑称として使われることが増えてきている
AIおよび機械学習では大量のデータを分析し、そこからわかる傾向を分析・処理し新たなコンテンツを生成したりする。この大量のデータについて所有者の許可なく収集されるケースが度々あるため、反AIではこれについて「著作者が本来持つべき権利を履行すべきだ」と主張している。
ただし「自分は規制派である」と掲げる人の多くはAIそのものではなく、『モラルの欠如した一部の生成AIの利用者』『生成AIに対する法律の不備』に懸念を示している人であり、AI全体の規制を目指す人は少数である。
またchatGPTなどの文章作成AI、音声、3Dモデル、翻訳など多様な生成AIに反発する人物もこの言葉に含まれるとされているが、取り沙汰される分野は画像生成AIに偏っており、翻訳などの画像生成以外の分野は問題視しない人も多い
規制を目指す理由の一つに一部の悪質なAI絵師によるクリエイターへの迷惑行為などがあげられている。
発生経緯
画像そのもののケース
単純には粗製乱造された画像の多さにある。
いわゆる『画像投稿サイト』の場合、ユーザーによる自作イラストを探したい閲覧者にとっては、粗製乱造された画像は検索妨害に等しく、検索効率を著しく下げてしまう。
また、版権キャラクターを用いた二次創作イラストの場合、AIの学習不足から良くても似て非なるキャラクターが、悪いと構成要素だけが合致した別人が生成されるケースもあり、上記の検索妨害に拍車を掛けてしまう。
一卵性双生児などの極似した外見のキャラクターが複数人いる場合、該当キャラ達の特徴を折衷した別人が生成されるケースも……。
更に上記の問題を改善させるため、原作イラストを取り込ませた場合は上記の通り、著作権の侵害に該当するなど法的な問題を抱えている。
更に、上記の著作権の問題と一部重複するが、全く面識のない人物のイラストを(許可を取らず)AIに学習させた上、(同じく許可を取らず)学習させたイラストをAIに生成させる=事実上のモチーフの無断盗用が起こっている。
未だにAIの学習が不足し、人体の構造や動作の無理解が残る現状から、生成されたイラスト群の中には有り得ないシチュエーションや奇形を生み出す事例も……(詳細はこちら)。
より酷いケースだと、同人ゴロによる悪用の末にコンテンツ崩壊もあり得るだろうか。
Pixivに関する問題
多くの画像投稿サイトではAI生成イラストが一気に増え始めた際、従来では考えられないほどの非常識な量の大量連投が起こり、サーバー負荷の問題でAI生成画像の一律禁止の対応を取ったが、Pixivでは禁止せず、代わりに「AI生成」のカテゴリを追加するにとどまった。
これにより問答無用で排除することなく住み分けと共存を目指したものだが、一部のユーザーにおいてはAI生成のカテゴリタグを使用せず、タグの編集をロックする・全て埋める等して第三者による追加をさせず、コメント欄も閉鎖することで、明らかなAI生成画像であるにも関わらず、意図的に住み分けを嫌って自作画像の界隈に踏み込んでくるユーザーが少なからず見られる。
こういうユーザーは無関係のタグを大量に羅列したり、NovelAI登場直後のような非常識な大量連投をする等の検索妨害行為を同時にしている事が少なくなく、その面でも問題になる。
もちろん、AI生成画像に絵柄が似ているだけの自作画像であるケース(AI生成タグを使わないのは当然)もあると思われるが、プロフィール文章などに堂々と「AI生成画像を投稿」等と書いていたり、過去の投稿はAI生成と明記していたものが全く同じ絵柄で途中からAIタグを消してこのような状態になるなど、疑う余地のないユーザーも確かに存在している。
副次ケース
アメリカの一部映画制作グループの中には、大御所・エキストラを問わず実在の俳優をAI生成物に置き換える動きが起こり初めている。
より酷いと実在の俳優の外見データを取って、それを流用したAI生成物だけで映画を作ろうとするグループもいる。
もちろんだが、これらの動きは全ての俳優が反対しており、全米各所で抗議活動が起きている(日本では『ミッション・インポッシブル』シリーズの最新作放映に合わせ、告知活動で来日予定だったトム・クルーズ氏のボイコットが記憶に新しいだろう)。
特に後者の場合、事実上『外見データの売買』であり、起用時に得られる出演料に加え、出演後に発生するDVD・Blu-rayによる副次収入まで失ってしまうため、文字通りの死活問題になっており、俳優達は是が非でも反対している。
文章生成の分野ではAI脚本への抗議も存在し、こちらもイラストと同様に著作権の侵害が孕んでいる。
AIで問題視されていることの例
反AIと一概に言っても、具体的にAIのどこを問題だと思っており、何を要求しているのかは、人によって意見が分かれているのが現状である。
この項では例を挙げる。
- 法律の問題
- 生成AIは、明確に法律に違反している。
- →法律の改正は不要。(必要なものとしては、違反物を起訴しやすくする環境など)
- 生成AIは、明確には法律に違反していないグレーゾーンだが、問題である。
- →法律の改正が必要。
- 生成AIは、明確に法律に違反している。
- 学習法の問題
- 無許諾に著作物を取り込むような、AIの学習法が問題である。
- →違う学習法や、許諾のある著作物のみ取り込んだデータで動くAIであれば、解決される。
- AIの問題は、学習法以外である。
- →学習法では解決されない。
- 無許諾に著作物を取り込むような、AIの学習法が問題である。
- AIとクリエイターの関係の問題
- 現行の生成AIは問題があるが、AI技術そのものは創作業界に有益な可能性がある。
- →将来的にAIの許容や利用をするために、問題点をクリアしたい。
- AIがあるとクリエイターが委縮するなどして、AI技術は創作業界に有害である。
- →AI自体を許容しない。
- 現行の生成AIは問題があるが、AI技術そのものは創作業界に有益な可能性がある。
問題点を具体的にするのが画像生成AI諸問題への解決への一歩となるだろう。
行き過ぎた反AI活動の問題
当然ながらAI生成に難色を示す人々の全てがそうである訳ではないが、モラルやマナーや規約を守らないAI生成画像利用者を排斥することを逸脱し、魔女狩りのような行為に発展しているケースも見られる。
- AI生成画像に絵柄が似ているというだけでAIだと決めつけ、排斥すること。
確かに「ぱっと見でAIっぽいと分かる絵柄」というものはあるが、そういう絵柄だったら必ずAI生成物かというとそうとは限らない。
前述の通り、AIは膨大なデータを学習して平均値を出力するものであるため、AIに似せられたオリジナルが最も多い絵柄パターンであるということでもある。
特に、流行りの絵柄に合わせようと努力してきた人はこの状態に陥る可能性が高いため、「元からAIの絵柄に似ている人(AIに似せられた側の人)」は少なくない。
別パターンとして、AI生成画像普及初期に見られたような、ラーメンを手で食べたり箸が5本あったり、背景の構造物が物理的にあり得ない構造をしていたり等の作画ミスの部類を根拠としてAI生成だと決めつけられてしまうケースもある。
流石に箸5本とかはあり得ないとしても、指の数が1本違ったり、パースが狂って背景の建物の大きさの整合性が取れていなかったりする程度のことは昔から手描きイラストでもままあったことなのだが、この手の作画ミスが1つでもあるとAI生成だ!と決めつける人間が残念ながら存在する。
- 排斥に用いる方法が暴言やコメント・タグなどに対する荒らし行為など、単純に不適切な方法であること。
これは論ずるまでもなく、手段が間違っていれば例え真実を言っていても問題である。
酷い場合、タイムラプスや作画経緯の配信アーカイブなどの証拠が存在していてもなおAIだと決めつけるのをやめず、単純な暴言だけで叩き続ける人間も存在する。
特に企業から依頼を受けて描かれ公の場に出たイラストにこの手の疑惑が降りかかった場合、真実がどうであるかではなく企業に対するダメージを避けるために企業がイラストを取り下げてしまい、それを持ってAIだったという証拠だ!として、イラストレーターへの叩きが加速するという問題もある。