概要
1個の受精卵が分裂して双子になったもの。言うなれば天然のクローンである。
全く同じ遺伝子を持つため基本的に性別、血液型などが同じで、身長や顔貌などの外見も非常に似通っていることが多い。
産んだ母親でさえ育児中に一瞬「あれ?どっちだっけ?」となってしまうこともあるようだ。
これは親の愛が足りないというような話ではなく、個体識別の腕前の話で、家族に双子でもいないと通常は意識されないが、人間一人一人、他の人を見分ける腕前は異なる。
双子を持つ親御さんたち曰く「双子を育ててると顔の部分部分で見わけられるようになってくる」そうだ。
見た目はそっくりでも性格などは違うので、発する雰囲気の微妙な違いでも見分けられるようになってくる。
フィクションではそっくりな事を利用したイタズラや策略はお約束。
また遺伝情報が同じなので身体能力や学力も似てくることが多い(同じ環境で同時に育っている場合がほとんどなので猶更である)。
ただし、成長過程で身につくものが別々であるため、必ずしもまったく同じになるというわけではない。幼少時は家族でも見分けがつきにくかった外見も、成長して別の環境で過ごすと微妙に違ってくることが多い。
指紋や虹彩、静脈パターンもよく似る傾向はあるが基本的にこれらは後天的なものであることから異なる発達を見せるため、生体認証の障害にはならない。ただし、DNAが全く同じなのでDNA鑑定で見分けをつけることはできない。
ちなみに一卵性双生児は1000出産あたり4組の割合で誕生し、民族や人種による差はないとのこと。
なお、受精卵が2つに分裂した後、さらに再び片方もしくは両方で分裂が起こると一卵性三つ子以上になる場合もある(詳細はリンク先参照)。
ただし受精卵は一度の分裂では2卵にしか分かれないため、一卵性の三つ子以上はそれが2回以上起こるという奇跡的な分裂過程が必要となるため非常に稀である。
このため、三つ子以上の多胎児は最初から受精卵が複数存在する二卵性以上であることが多い。
漫画『おそ松くん』の六つ子は「一卵性六つ子」という設定だが現実での事例は無く、現実での一卵性多胎児は五つ子の「ディオンヌ家の五つ子姉妹」等の数例が最多記録となっている。
尚、一卵性双生児の兄弟(あるいは姉妹)の子は血縁上は互いに従兄弟なのだが、遺伝上では異母兄弟(あるいは異父兄弟)と同レベルに近い事になる。更に、一卵性双生児兄弟(男性)と一卵性双生児姉妹(女性)同士の夫婦の間に出来た子は、血縁上は互いに従兄弟同士でありながら、遺伝上は通常の兄弟(同父母兄弟)と同レベルに近いことになる。