概要
本作のヴィランで、「世界A級グルメ機構」なる組織の最高責任者。
名前通りの美食家で、A級グルメ以外をグルメと認めず、B級グルメの壊滅を企んでいる。その手始めにテロ行為・会場の乗っ取りを実行に移し、焼きそばの名人"ソースの健"が秘蔵する「究極のソース」を奪おうとした。
性格・人物像
普段は丁寧だが、激情すると急に言葉遣いが荒くなるという分かりやすい二面性のある人物。
また食事作法にも厳しく、冒頭ではうっかり食器を落としてしまった部下を追放したり、捕まえた人間にテーブルマナーを強制するシーンでは0歳児であろうと取り付けられた機械で罰を与えていた(ただし大人に比べてかなり優しいものではある)。
本人の戦闘能力も高く、ナイフとフォークで人1人を投げ飛ばしてしまう程の戦闘技術や、梯子を外された後の焼きそばのやぐらを最上階までよじ登る身体能力も併せ持つなど組織の長に恥じぬ高スペックを誇る。
一方でクレしんの悪役らしいコミカルな面も見せ、カスカベ防衛隊が「美女がいる!!」と指を適当な方向に指すと、微妙に顔を赤らめながらそっちを向いたりした場面も。
幼少期そして事の結末
幼少期
彼は裕福な家庭だったものの、子供の頃から食事の作法等から厳しく育てられてきた。幼少期のある時、海外で出店していたソースの健が作る焼きそばを見て、感銘を受けるも父親が「汚らわしいもの」と呼び捨てた事により、その焼きそばを食べる事は叶わなかった。これがB級グルメ壊滅を企むきっかけと思われる。
B級グルメに嫌悪感を抱いているのも本心からではなく、両親の「A級グルメこそ至高で、B級グルメなど認めない」という価値観を押し付けられ、「珍妙かつ窮屈な作法」を叩き込まれてきたせい(分かりやすく言えば毒親の被害者とも言える)。常日頃「A級」の美味しいものを食べているはずだが、彼の食事シーンには笑顔が無いのが哀しい(しんのすけにもそれを指摘されている)。
また、ソースを捨てる際苦い顔で顔を背けながら捨てていたり、親はB級グルメを「アレ」「あんなもの」呼ばわりで料理とすら認めていないにもかかわらずキチンと「B級グルメ」と料理どころかグルメと認めている辺り、日頃から自分に嘘をついてる要素は散見される。
ネタバレ注意!
終盤では部下たちを退けてカーニバル会場に辿り着いたカスカベ防衛隊一行の前に本人自ら出撃。
ソースの健を捩じ伏せ、しんのすけからソースの壺を奪い取るとソースの壺を逆さにする(この時、躊躇いからか苦い顔をしながら目を背けている)が、ソースの中身をすり替えていたカスカベ防衛隊に出し抜かれてしまう。
最後の足掻きでやぐらに備え付けられていたスロープをよじ登るも彼らの元に辿り着いた時には既に『究極の焼きそば』は完成されていた。
それでもB級グルメを認めない彼だったがしんのすけに焼きそばを差し出された時は、一度は拒むも「じゃあオラが食べる」としんのすけが食べようとすると「あぁっ!」と惜しむ様子を見せる。
それでも否定する彼だったがしんのすけに乗せられるままに焼きそばを食べそうになると、今度は自分の意思で焼きそばにかぶり付く。
すると焼きそばを噛み締めながら大粒の涙を流す。
「やっぱり…ウマいじゃないか…!!」
幼少期より親の価値観を押し付けられて、あの時「焼きそば」を食べたかった自分の心にも嘘を付いて、いつしか憎んでさえいた「B級グルメ」を初めて食べた彼の顔は、どんなに美味しい「A級グルメ」を食べた時よりも満足と感動に溢れていた。
エンドロールではシレっと数人分をゲットして、得意げになっている彼の姿が描かれていた。よほど食べたかったのだろう。
全てを終えた後は仲間達と共にB級グルメカーニバル会場を修復した後は、ソースの健と共に旅に出たのであった。
余談
冷酷に見えてどこか愛嬌に溢れたクレしんらしい悪役ぶりと、幼少期より親に抑圧されていた哀しい過去からクレしんの悪役の中でもかなりの人気を誇るキャラクターの1人でもある。
その後は襲来!!宇宙人シリリの再登場キャラの一人として登場。温泉街に出店を出していた辺り、ソースの建に弟子入りした模様。
関連タグ
酸っぱい葡萄:本心ではずっと食べたいにもかかわらず、親の躾故に食べることが許されず「あんなものは料理ではない」と屁理屈を捏ねて嫌いになろうとしているのが彼である
クレヨンしんちゃん関連人物
Dr.アカマミレ:悲惨な過去&和解が共通点となっており、元々は風呂好きであったが、30年前に常連だった銭湯の下駄箱の3番の鍵を誰かに取られたという恨みを理由に風呂嫌いになったが、後に改心し、3番の鍵を持っていた草津に譲り渡って和解した。
ケン&チャコ(クレしん):根は悪人ではないが、自分の理想の為に過激な行動に出てしまったボスキャラ繋がり。ただし、彼ら二人は悲惨な過去こそ感じさせるものの、明確に過去を描かれた訳ではないため、単純にグルメッポーイやその他のボスキャラと同じ様に扱えないと言う違いがある。
四膳守:悲惨な過去を送っていたと言う点では、グルメッポーイとは似たもの同士である。また、それらが無理解な家族によってもたらされたものである点も共通している。
黒岩仁太郎:次作の映画のボス。哀しい出来事がきっかけで悪の道に進んでしまった首領。こちらも四膳同様、無理解な家族からの扱いにより道を踏み外した。こちらの末路は映画とコミックで大きく異なり、後者では救いのある最後になっている。