ボルト(BORUTO)
ただのぼると
「お前は…」
「恩を仇で返し」
「木ノ葉に命を狙われる孤独なよそ者……」
「ただのボルトだ…」
経緯
コードとの戦い
秘密結社『殻』の残党であるコードとの一件で、ボルトに取り憑いている大筒木モモシキが再び彼の身体を奪って顕現してしまい、ボルトはカワキに自分ごとモモシキを殺すことを頼み、彼に胸を貫かれ絶命してしまう。
だが、それを良しとしなかったモモシキにより蘇生され九死に一生を得て、これにより身体を完全に奪われてしまう心配も無くなった。
カワキとの対立
しかし、この一連の出来事によりモモシキの存在をより一層危険視したカワキは、自身が慕うナルトを守るために彼とヒナタを復活した楔により覚醒した封印術で異空間に閉じ込め、モモシキをボルトごと抹殺しようとする。
だが当然周囲は反発して彼を止めようとし、その過程でカワキがサラダと対峙した際に彼女を庇ったボルトは、彼の攻撃を受けて右目を失ってしまう。
『全能』の発動
そのまま逃亡し、孤立してしまったカワキはどうすればいいか悩むも、そこでコードから離れ木ノ葉の里へ亡命してきたエイダが現れ、自分の力ならカワキを救えると彼に近づき、ある能力を発動させる。
実はそれまで、あらゆる人間を自身の虜にするとされた彼女の『魅了』の能力の実態は、大筒木の神術の中でも「神術の中の神術」とされる『全能』であることが発覚する。
この能力は、かつて全知全能の神と言える存在まで成り上がった大筒木シバイのもので、あらゆる願望を叶えることができる。彼を始め神となった大筒木達は、この能力で幾度もこの世を書き換えてきたという。
その書き換えられたという事実を、人間が認識する事はほぼ不可能であり、彼女を改造した張本人のアマドも魅了と勘違いしていた。
立場の入れ替え
そして彼女がカワキを通じて叶えた彼の願望とは…エイダが『全能』によって叶えた願い、それはなんと「カワキとボルトの立場を逆にする」というものだった(火影の息子で皆に慕われているボルトを合法的に殺害するには「自分と同じ誰からも信用されず危険視されている余所者」であればよかったと同時に、「尊敬しているナルトの息子になりたい」という願望が反映されたモノ)。
これにより、木ノ葉の里の住人たちはカワキをナルトの息子である『うずまきカワキ』と認識し、ボルトが彼を殺そうとしている危険人物『ボルト』と認識するようになってしまった。
かつてモモシキがボルトに「お前は全てを失う」と予言した通り、彼は両親を失い、右目を失い、仲間を失い、故郷を失い、自分の名前さえも失ってしまい、更には状況を把握したカワキが嘘の報告をしたことで「七代目火影とその妻を殺し、彼らの息子の命を狙う危険人物」として、彼や仲間たちに追われる身となってしまうという、嘗てないほどの絶望的な状況に追い込まれてしまった。
更にモモシキは、これによって精神的に追い詰められたボルトが絶望することで、自ら身体の主導権を自分に明け渡してくるようにと画策する。
サラダの嘆願
何故かサラダとスミレにだけは術が効いていないようで、彼女たちだけはまだボルトを味方と認識できているが、ミツキは仙人モードまで使用して彼を襲撃し、シカダイたちもボルトを敵視し捕らえようと迫る。
状況が飲み込めず混乱するサラダは、彼らと同様に記憶を書き換えられた父・サスケにボルトの救出を涙ながらに嘆願した。
この際にサスケの視点では、娘が万華鏡写輪眼を開眼しながら「同じ班員の大切な仲間うずまきカワキではなく憧れの火影であるナルトを殺したボルト」を助ける事を願うという異常な状況に写った。
しかし、自身の記憶の違和感(後にサスケがボルトに語っているが「体内にモモシキが居るのは、ナルトと共にモモシキを倒した"カワキ"のはず、何故ボルトの中にいる?」「その額当てもカワキに渡したモノだ、なぜお前(ボルト)が持っている?」という違和感を感じているにもかかわらずその絶対に見過ごせない違和感が急速に「そういうモノ」と氷解してしまうのを自覚出来てしまう事)から何かおかしいと感じ、自身の常識を疑ってでも娘を信じると決めたもあって彼に味方することを決める。
里を出るボルトとサスケ
モモシキは「もうお前の出る幕ではない、往生際が悪いぞ、さっさと身体をよこせ」とボルトを唆して身体を奪おうとするが、彼は頑として拒み、むしろ「人の往生際言えた立場か?笑わせんな。出る幕がないのはお前だ、一生引きこもってろ死に損ない」と皮肉を返され「(どういう精神力(メンタル)だこのガキ)」とドン引きされていた。その後一度は仲間たちに討たれる覚悟もしたが、サスケに救われ彼と共に里を出ることとなる。
そこでカワキの目を盗みボルトに会いに来たエイダは、自分が能力を制御できないために意図せずこうした事態になってしまったことを彼に詫び、彼が里を離れる間は千里眼で探すことをせず、カワキやシカマルには上手く誤魔化しておくことを話す。
折れないボルトの旅立ち
驚くことに、これほど過酷な状況に追い詰められながらも、同じ苦しみを長い間味わってきたカワキの心中を察して、ボルトの心は全く折れることはなく、「そうするはずだ…父ちゃんなら…!」と語って暴走するカワキを止め、彼と和解し囚われたナルトとヒナタを救い、里を元に戻すために決意を新たにし、エイダに「自分は大丈夫」「必ず戻る」とサラダに伝えるよう頼む。このメンタルの強さにはモモシキやエイダも驚愕していた。
特にモモシキは上述通りこの苦しみに乗じてボルトの体を奪うべく精神的に揺さぶっており、エイダには本当に12歳なのかとも聞かれていた。
「上等だ……!」
「嫌ってほど思い知らせてやんよ…」
「イチからなァ…!」
「オレが」
「うずまきボルトだクソッたれ」
サスケと共に彼は旅立ち、第一幕はこれにて終幕し、いよいよ物語は“青年編”へと続いていくこととなる。
なんの因果か、ボルトもかつてのサスケの様に里抜けを行う運命になった(サスケも再度の里抜けを行ってしまっているためかなり不味い状況である)。