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ケツァルコアトルの編集履歴

2012-09-28 08:12:41 バージョン

ケツァルコアトル

けつぁるこあとる

古代マヤ・アステカ文明の主神である天空神。 『羽毛のある蛇』という意味の名を持ち、その名の通り翼の生えた極彩色の蛇として表される。 人間の姿では白い肌の精悍な美男とされる。 テスカトリポカとの政権争いに敗れ、再来の予言とともに外洋へと去ったとされる。

アステカ神話の最強の神

ケツァルコアトル

古代メソアメリカ文明圏の神話に登場する神。

特にメキシコ中央高原の範囲で有名である。


羽毛の蛇神

メソアメリカ文明でもとくに古い都市遺跡「テオティワカン」の出土品からその姿が確認されており、

神殿遺跡には、トラロック神(雨と雷の神)の石彫と一緒にケツァルコアトルの石彫装飾が刻まれている。


「体が羽毛で包まれたガラガラヘビ」という姿の蛇神は

古代メソアメリカ文明では主神として崇拝されてきた立場にあり、

ケツァルコアトルに似た同文明圏の神として、マヤ文明にも「ククルカン」という羽毛の蛇神がいる。


「ケツァルコアトル」も「ククルカン」も、風や雨などの天候に関わる神であり、

雨の神(メキシコ中央高原ではトラロック、マヤではチャック)と同時に

人々の生活に関わる重要な神として大きく崇拝されていたようだ。

また、人々に文明・文化を教えた開拓神としても見られている。


トルテカのケツァルコアトル

メキシコ中央高原のトルテカ族にとっては主神として崇拝され、

その信仰心から、王や神官がケツァルコアトルの名を名乗ることもあったようだ。

下記の伝承に登場するケツァルコアトルは、トルテカの族長ミシュコアトルの息子で、

名を「セ・アカトル・トピルツィン・ケツァルコアトル」、

訳すと「『1の葦』の日に生まれた王子ケツァルコアトル」となる。


トゥーラを首都とするケツァルコアトル王の治世の時代、

トルテカ族は近隣の山で翡翠や金銀の富を手に入れ、

やがて人を生贄にする儀式をやめるようになり、

これらの改革によってケツァルコアトル王は国民が平和に暮らす時代を築いた。


しかしそれを良く思わない呪術師「テスカトリポカ」は、

知略によってケツァルコアトル王を陥れる事を企む。


姿を変えたテスカトリポカ(変化した姿は蜘蛛、老人等の説がある)は、

プルケという酒をケツァルコアトル王に勧める。

勧めるままにプルケ酒を飲み続けたケツァルコアトル王は泥酔して正気を失い、

妻の事も忘れてと同衾するなどの醜態をさらし、国民からの信頼を失う。

トルテカの地からの追放を余儀なくされたケツァルコアトル王は、

持っていた宝を全て隠し、田畑を焼き払い、神殿を破壊して立ち去った。

立ち去る際「1の葦の日に必ず私は戻ってくる」という言葉を残し、

そしてわずかな臣下を連れて一艘の舟を漕ぎ出し、東の海へと消えたという。

(別の伝承では、舟の上で自身を炎で焼き、その遺灰があらゆる色の鳥、または金星に変わったとされる)


この伝承は、テスカトリポカ神を崇拝するアステカ族が、ケツァルコアトル神を崇拝するトルテカ族を征服し、

アステカ族がメキシコ中央高原を支配した史実の抽象化として見られている。


アステカのケツァルコアトル

ケツァルコアトルを主神とするトルテカ族を征服したアステカ族だが、

アステカ族は当時の文明圏において重要な神であるケツァルコアトルも崇拝している。

また、「風の神」という性質から、同じ神性である神「エヘカトル」とも同一視され、

金星の神「トラウィスカルパンテクートリ」とも同一視されている。

(トラウィスカルパンテクートリ神はケツァルコアトルの凶暴面を表しているという)


トルテカの神官王の伝承からケツァルコアトルは生贄の儀式を嫌うものと思われがちだが、

それはトルテカの神官王のほうであり、ケツァルコアトル神自体は生贄の儀式を拒まない。

メキシコ中央高原の範囲にあるチョルーラでは、ケツァルコアトルへの供物として

多数の人間が生贄として命を断たれている記録が残っている。


始原の創造神夫婦「オメテクトリ(夫)・オメシワトル(妻)」の4人の息子のひとりとして扱われる。

闇の神テスカトリポカとは兄弟神でありながら宿敵同士であり、

時には世界創世に協力し合い、対立して滅ぼし合う、永遠のライバルのような関係にある。


第1の太陽の時代、太陽となったテスカトリポカをケツァルコアトルは天から叩き落とし、

ジャガーに変えてその時代の人間(巨人)を食い荒らさせて滅ぼし、

第2の太陽の時代ではケツァルコアトル自身が太陽となるが、

テスカトリポカが風を起こして万物を吹き飛ばしたことによって滅ぼされ、

トラロック(雨の神)が太陽となった第3の太陽の時代では、

ケツァルコアトルは火の雨を降らせて人間を焼き滅ぼして七面鳥へ変える。


第4の太陽の時代が滅んだのち、新たな人間を創造するため

ケツァルコアトルは死の世界「ミクトラン」へと赴き、

そこで冥界の支配者「ミクトランテクートリ」との知略戦も繰り広げることもあり、

第5の太陽が創造された後、その太陽に神々の血を捧げる役割を担ったこともある。

また、第5の太陽が作られる以前にトウモロコシを人間の食料として定めたのもケツァルコアトルである。


白い肌という姿

残された記録では、白い肌に黒い髪と髭を持つ異邦人の姿として表現されるが、

これは500人程度の敵(コルテス率いるスペインのコンキスタドール)に

屈辱的な敗北を喫したアステカの年代記制作者が、

その敗北に何らかの理由をつけるために創作したエピソードではないかという説も出ている。


余談

アメリカで1970年代に発掘された、生物史上最大の飛行生物と謳われる巨大な飛行性爬虫類(翼竜)の化石には、この神格に因んで「ケツァルコアトルス」と言う学名がつけられた。


関連タグ

アステカ マヤ文明

ドラゴン

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