概要
中米のユカタン半島を中心に、現在のメキシコ南東部からグアテマラやベリーズにかけての「マヤ地域」に栄えた古代文明。
紀元前から文明が発展し、多くの王国が栄枯盛衰を繰り返したが、ついぞ統一されることはないままスペイン人によって征服された。
アステカとはよく並立して述べられるが、あちらは一代の帝国の名であるのに対しこちらはある地域に栄えた文化の総称である。時代もこちらが圧倒的に長いため注意。
特徴
チェチェン・イツァを始めとした、ピラミッド等を含む大規模な都市遺跡で有名。
文化面では特に天文学・暦が発達し、極めて精巧なカレンダーを作成・使用していた。それを発端とした終末論が所謂『マヤの予言』である。
金属、特に金・銅は多く産出したが装飾品としての利用に留まり、鉄器は作成されなかった。
そのため石器を多用しており、戦争で使われる武器は黒曜石などを用いて殺傷能力を高めた石槍や棍棒が主だった。
文字・数学
上述の通り暦法が発達していたが、同時に特徴的なのが『マヤ文字(絵文字)』と呼ばれる独自の表記体系だろう。
彼らが用いていた古典マヤ語を表記するための正方形の絵文字だが、表音文字(音節文字)的特徴と表語文字的特徴の両方を併せ持っていた。
一文字が一語を表すのだが、その際に「それを直接絵にしたような象形文字」と「音節を表すアルファベットを正方形に突っ込んで組んだ文字」というように別の表記をすることができた。
{馬}のことを書くときに「馬」と「ウマ」(一文字)の二通りで書ける、といったイメージ。
現代では漢字の象形・形声が近い。またヒエログリフも似たシステムである。
また、暦の計算に必須な数学も発展していた。20進法を用い、ゼロの概念も独自に発明したと言われる。
神話
多くの古代文明と同様、汎神論的な多神教が信仰されていたとされる。
残念ながらマヤ文字による文書はほぼすべてが征服時に焚書されてしまっており、石碑・遺跡に刻まれたものなどごく断片的情報しか残されていない。
有名な神としてはイシュタム・ククルカン(=ケツァルコアトル)など。
詳細はマヤ神話を参照。